2016年12月16日
アガサ・クリスティから (88) (ミス・マープルと十三の謎*アスターテの祠ー8)
(ミス・マープルと十三の謎*アスターテの祠ー8)
その時・・・・・ダイアナが気でも狂ったように悲鳴を上げた・・・。
「私があの人を殺してしまったのだわ・・・ああ、神様、どうしよう!そんなつもりじゃなかったのに。私は殺してしまったのだわ。」
ダイアナ・アシュレイは身をよじって、死んだように草の上に倒れ込んだ。
失神したダイアナを見たロジャース夫人は叫び声をあげた。
「ああ、おそろしいこと、こんなところから、もう出ましょうよ!私たちだって、ああどうかなってしまうわ、ああ、こわい。」
エリエットは牧師の肩をつかんで言った。
「ありえないことだ、君、こんなことは有り得ないことじゃないか。人ひとりこんな風に死んでしまうなんてことは。それ・・・それは有り得ないことだ。」
牧師はエリオットをなぐさめた。
「説明はつきますね。おいとこさんはきっと心臓が弱かったんです。あのショックと興奮で・・・。」
「君は知らないんだ。」
エリオットは牧師に真っ赤な血が付いた手を見せた。
「ショック死じゃないんだ。ぐさりとやられたんだ。・・・心臓をやられたんだ。おお、だのに凶器はないんだ。」
死体を調べ終えた医者シモンズは、真っ青になって体のふるえが止まらないようだった。
「皆、頭が変になってしまったんだろうか?ここは、なんというところだろう?・・・こんなことがおこるなんて。」
医者が説明したところによると、ちょうど細い短剣でさされたような傷があったらしい。
しかし、その短剣はどこにも見当たらないままだった。
皆、顔をあわせた・・・。
エリオットが「あるはずだよ、どこかに落ちているんだろう、きっと。」と大声で言った。
皆は目を皿のようにして探し回ったが、何も見つからなかった。
突然、ヴァイオレット・マナリングが言い出した。
「ダイアナが手になにか持っていたわ。剣のようなもの、私は見たわよ。リチャードを脅かしたとき、それがキラリとしたのよ。」
エリオット・ヘイドンは首を振って、反対した。
「いいや、リチャードはダイアナに三ヤードとは、近寄らなかったんだ。」
レディ・マナリングは地面に倒れ込んでいるダイアナ・アシュレイの上に身をかがみこんだ。
失神しているダイアナは何も持っていなかったようで、その足元の地面にも何もなかった・・・レディ・マナリングは娘に本当に見たのかどうか?聞いた・・・母親のレディ・マナリング自身はダイアナが何かを持っていたところは見ていなかったのだ。
(次号に続く)
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