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2019年08月12日
熱中症対策ー初期治療
急に来た真夏
日本に四季がなくなり、夏、夏、夏、冬
熱中症の死者、1週間で57人...搬送1万8千人〔読売新聞〕
2019年08月07日 15:39
総務省消防庁は6日、
7月29日〜8月4日の1週間
に熱中症で救急搬送された
人が全国で1万8347人に
上り、このうち24都道府県で57人が死亡したと発表
した。いずれも速報値。
前週(7月22〜28日)は
搬送者5664人、死者11人
で、大幅に増えた。
最高気温が35度以上の
猛暑日が各地で観測されて
おり、同庁が警戒を呼びかけている。
1週間の搬送者数は今年最多。
重症者は729人に上り、
搬送者のうち65歳以上は9963人(54.3%)だった。
都道府県別では東京都が最も多い1857人で、
愛知県1342人、埼玉県1307人と続いた。
熱中症ー40℃のお湯の霧吹き、扇風機、
シャーベット状の氷で鼠径部を冷やす!
古典的熱射病は体温調節不良の小児、
高齢者で多く薬剤(β遮断薬、抗コリン薬など)に注意
現在、世界的に気温が上昇して熱波が襲い
また、都市のヒート・アイランド化が進行しています。
天災による死亡は熱波が一番多いのです。
現在、古典的熱射病で多いのは高齢者と、
夏に車に閉じ込められた小児です。
運動時でなく、
「熱波(heat waves)時に薬を処方されている慢性疾患の高齢者」
で多い。
高齢者は体温調節が不十分で
高齢者の熱射病の死亡率は50%を超えます。
古典的熱射病は発汗がないことが多く、
中枢神経症状を呈し呼吸性アルカローシスが多く、
また横紋筋融解はまれです。
皮膚は末梢が拡張していれば赤いし、
血管の虚脱があれば青白くなります。
以前、近くの観光ホテルのサウナで
倒れていた方が搬入されました。
昏睡、体温42℃でしたが
確かに発汗はありませんでした。
即座に冷却を始めましたが亡くなられました。
思春期前の小児(prepubertal children)も
古典的熱射病のリスク群です。
小児は体表面積/体積の比が大きく熱を体外から吸収しやすく、
また体温調節機能が不十分で
効率的な熱伝導ができずに蓄熱します。
また発汗が少なく熱放散が少ないとのことです。
小児の熱による死亡は
特に車内に閉じ込められたときで
数時間以内に死亡することがあります。
労作性熱中症(exertional heatstroke)は
健康成人で激しいスポーツで起こります。
思春期以後の活動的な人に多く季節は関係ありません。
熱産生が放散を上回るのです。
1984年ロサンゼルス・オリンピックで
初めて女子マラソンが採用されました。
世界中が息を呑んだ、
スイスのGabriela Andersen Schiess選手
の鬼気迫るゴールシーンです。
もう35年も前の映像ですが、
今でも強烈に瞼に焼き付いています。
彼女はゴール直前の給水所での給水に失敗しました。
また当日ロサンゼルスは気温32℃でした。
労作性+運動性の熱中症、脱水
でもうろうとしながらのゴールでした。
医師が駆け寄り手をかけよう
としますが彼女は拒否します。
手をかけた瞬間、
彼女は失格となるからです。
医師は、彼女が汗をかいていた
ことからまだ余力があると判断しました。
彼女はゴールと同時に倒れ込みました
が2時間後には完全回復したとのことです。
44人中37位でした。
労作性熱射病は
周囲環境が高温でなくても
運動により最初の60分で
起こることもあります。
コーチや周囲の期待に応えて
限界以上の運動を行うことが
リスク因子です。
アルコールや薬乱用などは
音楽祭でのエネルギッシュな
音楽とともに誘因になります。
ただ労作性熱中症では、
治療が即座に始められる
ことが多く死亡率は低い(5%以下)そうです。
冷却は40℃水をスプレー+扇風機、
シャーベット状氷を頸・腋下・鼠径に、
38℃で中止。
治療は対症、保存的です。
熱射病の治療は冷却
と臓器機能の維持に尽きます。
スプレーで40℃のぬるま湯を全身にかけて扇風機、
シャーベット状の氷を頸部、腋下、鼠径に当てます。
冷水を皮膚に散布して
扇風機を使うと皮膚血管収縮と震え(shivering)
を起こしますのでやってはなりません。
しかし現場ではぬるま湯なんてない
でしょうから25〜30℃の水でも仕方がありません。
中枢神経症状の回復があれば予後良好です。
熱射病の20%で脳障害が残り死亡率は高いのです。
【参考文献】
熱射病(heat stroke)総説
N Engl J Med(2019; 380: 2449-2459)
日本に四季がなくなり、夏、夏、夏、冬
熱中症の死者、1週間で57人...搬送1万8千人〔読売新聞〕
2019年08月07日 15:39
総務省消防庁は6日、
7月29日〜8月4日の1週間
に熱中症で救急搬送された
人が全国で1万8347人に
上り、このうち24都道府県で57人が死亡したと発表
した。いずれも速報値。
前週(7月22〜28日)は
搬送者5664人、死者11人
で、大幅に増えた。
最高気温が35度以上の
猛暑日が各地で観測されて
おり、同庁が警戒を呼びかけている。
1週間の搬送者数は今年最多。
重症者は729人に上り、
搬送者のうち65歳以上は9963人(54.3%)だった。
都道府県別では東京都が最も多い1857人で、
愛知県1342人、埼玉県1307人と続いた。
熱中症ー40℃のお湯の霧吹き、扇風機、
シャーベット状の氷で鼠径部を冷やす!
古典的熱射病は体温調節不良の小児、
高齢者で多く薬剤(β遮断薬、抗コリン薬など)に注意
現在、世界的に気温が上昇して熱波が襲い
また、都市のヒート・アイランド化が進行しています。
天災による死亡は熱波が一番多いのです。
現在、古典的熱射病で多いのは高齢者と、
夏に車に閉じ込められた小児です。
運動時でなく、
「熱波(heat waves)時に薬を処方されている慢性疾患の高齢者」
で多い。
高齢者は体温調節が不十分で
高齢者の熱射病の死亡率は50%を超えます。
古典的熱射病は発汗がないことが多く、
中枢神経症状を呈し呼吸性アルカローシスが多く、
また横紋筋融解はまれです。
皮膚は末梢が拡張していれば赤いし、
血管の虚脱があれば青白くなります。
以前、近くの観光ホテルのサウナで
倒れていた方が搬入されました。
昏睡、体温42℃でしたが
確かに発汗はありませんでした。
即座に冷却を始めましたが亡くなられました。
思春期前の小児(prepubertal children)も
古典的熱射病のリスク群です。
小児は体表面積/体積の比が大きく熱を体外から吸収しやすく、
また体温調節機能が不十分で
効率的な熱伝導ができずに蓄熱します。
また発汗が少なく熱放散が少ないとのことです。
小児の熱による死亡は
特に車内に閉じ込められたときで
数時間以内に死亡することがあります。
労作性熱中症(exertional heatstroke)は
健康成人で激しいスポーツで起こります。
思春期以後の活動的な人に多く季節は関係ありません。
熱産生が放散を上回るのです。
1984年ロサンゼルス・オリンピックで
初めて女子マラソンが採用されました。
世界中が息を呑んだ、
スイスのGabriela Andersen Schiess選手
の鬼気迫るゴールシーンです。
もう35年も前の映像ですが、
今でも強烈に瞼に焼き付いています。
彼女はゴール直前の給水所での給水に失敗しました。
また当日ロサンゼルスは気温32℃でした。
労作性+運動性の熱中症、脱水
でもうろうとしながらのゴールでした。
医師が駆け寄り手をかけよう
としますが彼女は拒否します。
手をかけた瞬間、
彼女は失格となるからです。
医師は、彼女が汗をかいていた
ことからまだ余力があると判断しました。
彼女はゴールと同時に倒れ込みました
が2時間後には完全回復したとのことです。
44人中37位でした。
労作性熱射病は
周囲環境が高温でなくても
運動により最初の60分で
起こることもあります。
コーチや周囲の期待に応えて
限界以上の運動を行うことが
リスク因子です。
アルコールや薬乱用などは
音楽祭でのエネルギッシュな
音楽とともに誘因になります。
ただ労作性熱中症では、
治療が即座に始められる
ことが多く死亡率は低い(5%以下)そうです。
冷却は40℃水をスプレー+扇風機、
シャーベット状氷を頸・腋下・鼠径に、
38℃で中止。
治療は対症、保存的です。
熱射病の治療は冷却
と臓器機能の維持に尽きます。
スプレーで40℃のぬるま湯を全身にかけて扇風機、
シャーベット状の氷を頸部、腋下、鼠径に当てます。
冷水を皮膚に散布して
扇風機を使うと皮膚血管収縮と震え(shivering)
を起こしますのでやってはなりません。
しかし現場ではぬるま湯なんてない
でしょうから25〜30℃の水でも仕方がありません。
中枢神経症状の回復があれば予後良好です。
熱射病の20%で脳障害が残り死亡率は高いのです。
【参考文献】
熱射病(heat stroke)総説
N Engl J Med(2019; 380: 2449-2459)