2019年06月11日
日本人女性は公共の場でCPRを受けにくい
日本だけではなく、外国でも『家以外』の場所では女性が相手だとためらってしまう結果の心肺蘇生(CPR)ーまして自動除細動(AED)は上半身はだかにしないといけないので更にためらう
日本人女性は公共の場でCPRを受けにくい
All-Japan Utstein Registry 2019年04月08日 17:40
京都府立医科大学救急医療学教室の松山匡氏らは、
総務省消防庁の全国ウツタイン登録データベースを用いて
日本における心肺蘇生(CPR)被実施率の性差を解析。
その結果、公共の場で院外心停止(OHCA)となった65歳未満の女性は、
男性に比べてその場に居合わせた目撃者(バイスタンダー)によるCPRを受けにくいことが
示されたとMayo Clin Proc(2019; 94: 577-587)に発表した。
自宅での実施率は女性が高い
2013年1月1日〜15年12月31日に登録されたOHCA患者37万3,359例のうち、
公共の場または自宅においてバイスタンダーがいる状況で
院外心停止OHCAとなった18歳以上の8万4,734例を解析対象とした。
解析の結果、公共の場でのバイスタンダーCPR被実施率は男性よりも女性で低かった
〔57.0%(1万5,213例中8,672例)vs. 54.2%(5,766例中3,123例)、P<0.001〕。
一方、自宅でのバイスタンダーCPR被実施率は男性よりも女性で高かった
〔44.0%(3万9,539例中1万7,390例)vs.46.5%(2万4,216例中1万1,263例) 、P<0.001〕。
多変量ロジスティック回帰分析の結果、
公共の場でのバイスタンダーCPR被実施率に関しては有意な性差は認められなかった
〔調整後オッズ比(aOR)0.99、95%CI 0.92〜1.06)。
一方、自宅でのバイスタンダーCPR被実施率は女性の方が有意に高かった(同1.08、1.04〜1.13)。
わいせつ行為ではないとの法的保護が必要
しかし、18〜64歳の女性に限定すると、
公共の場でのバイスタンダーCPR被実施率は男性に比べて低かった
(aOR 0.86、95%CI 0.74〜0.99)。
また、バイスタンダーが家族以外であった場合のバイスタンダーCPR被実施率は、
年齢を問わず女性の方が低かった。
特定のサブグループの女性に対するバイスタンダーCPR被実施率が低かった結果について、
松山氏らは「理由は不明だが、日本では自動体外式除細動器(AED)の使用を含む
バイスタンダーCPRを女性に実施した場合、
わいせつ行為と誤解される可能性があるからではないか」と指摘。
「日本固有の文化的因子が、
自分とは異なる性の患者に対するバイスタンダーの意識に影響していることが示唆された。
そのため、医療の専門家ではない一般の救助者が法的保護を受けられると確信できない限り、
日本における家族以外の若年女性者に対するCPR実施率の向上は困難な可能性がある」と述べている。
他国でも類似報告、原因究明が必要
米・Mayo ClinicのJacob C. Jentzer氏らは同誌の付随論評(2019; 94: 561-563)で
「International Cardiac Arrest Registryの検討でも同様の結果が報告されており、
国や地域に固有のバイアスや社会的規範の違いが関連している可能性がある」と指摘。
また、複数の先行研究を挙げて、
冠動脈造影などのOHCAに有益な可能性がある他の治療・手技に関しても、
男性に比べて女性で被実施率が低いことを指摘している。
さらに、「この研究は、バイスタンダーCPRが"救命の連鎖"の重要な構成要素であり、
一般人に対する適切なCPR訓練が確実に実行されるためには、
公衆衛生的介入が必要であることを強調している。
バイスタンダーの存在下でOHCAとなった全ての患者が、
神経学的障害なしに生存率を高める可能性がある
バイスタンダーCPRという重要な治療を確実に受けられるように、
性差が生じる理由をさらに研究する必要がある」と付言している。(太田敦子)
日本人女性は公共の場でCPRを受けにくい
All-Japan Utstein Registry 2019年04月08日 17:40
京都府立医科大学救急医療学教室の松山匡氏らは、
総務省消防庁の全国ウツタイン登録データベースを用いて
日本における心肺蘇生(CPR)被実施率の性差を解析。
その結果、公共の場で院外心停止(OHCA)となった65歳未満の女性は、
男性に比べてその場に居合わせた目撃者(バイスタンダー)によるCPRを受けにくいことが
示されたとMayo Clin Proc(2019; 94: 577-587)に発表した。
自宅での実施率は女性が高い
2013年1月1日〜15年12月31日に登録されたOHCA患者37万3,359例のうち、
公共の場または自宅においてバイスタンダーがいる状況で
院外心停止OHCAとなった18歳以上の8万4,734例を解析対象とした。
解析の結果、公共の場でのバイスタンダーCPR被実施率は男性よりも女性で低かった
〔57.0%(1万5,213例中8,672例)vs. 54.2%(5,766例中3,123例)、P<0.001〕。
一方、自宅でのバイスタンダーCPR被実施率は男性よりも女性で高かった
〔44.0%(3万9,539例中1万7,390例)vs.46.5%(2万4,216例中1万1,263例) 、P<0.001〕。
多変量ロジスティック回帰分析の結果、
公共の場でのバイスタンダーCPR被実施率に関しては有意な性差は認められなかった
〔調整後オッズ比(aOR)0.99、95%CI 0.92〜1.06)。
一方、自宅でのバイスタンダーCPR被実施率は女性の方が有意に高かった(同1.08、1.04〜1.13)。
わいせつ行為ではないとの法的保護が必要
しかし、18〜64歳の女性に限定すると、
公共の場でのバイスタンダーCPR被実施率は男性に比べて低かった
(aOR 0.86、95%CI 0.74〜0.99)。
また、バイスタンダーが家族以外であった場合のバイスタンダーCPR被実施率は、
年齢を問わず女性の方が低かった。
特定のサブグループの女性に対するバイスタンダーCPR被実施率が低かった結果について、
松山氏らは「理由は不明だが、日本では自動体外式除細動器(AED)の使用を含む
バイスタンダーCPRを女性に実施した場合、
わいせつ行為と誤解される可能性があるからではないか」と指摘。
「日本固有の文化的因子が、
自分とは異なる性の患者に対するバイスタンダーの意識に影響していることが示唆された。
そのため、医療の専門家ではない一般の救助者が法的保護を受けられると確信できない限り、
日本における家族以外の若年女性者に対するCPR実施率の向上は困難な可能性がある」と述べている。
他国でも類似報告、原因究明が必要
米・Mayo ClinicのJacob C. Jentzer氏らは同誌の付随論評(2019; 94: 561-563)で
「International Cardiac Arrest Registryの検討でも同様の結果が報告されており、
国や地域に固有のバイアスや社会的規範の違いが関連している可能性がある」と指摘。
また、複数の先行研究を挙げて、
冠動脈造影などのOHCAに有益な可能性がある他の治療・手技に関しても、
男性に比べて女性で被実施率が低いことを指摘している。
さらに、「この研究は、バイスタンダーCPRが"救命の連鎖"の重要な構成要素であり、
一般人に対する適切なCPR訓練が確実に実行されるためには、
公衆衛生的介入が必要であることを強調している。
バイスタンダーの存在下でOHCAとなった全ての患者が、
神経学的障害なしに生存率を高める可能性がある
バイスタンダーCPRという重要な治療を確実に受けられるように、
性差が生じる理由をさらに研究する必要がある」と付言している。(太田敦子)
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8870368
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック