2019年04月03日
コーヒーは睡眠を妨げない!
コーヒーは睡眠を妨げない!
アルコールは睡眠時間の「質」を悪くする
2019年02月21日 06:05
一般には、アルコールやコーヒー(カフェイン)の摂取は睡眠を妨げたり、睡眠の質を低下させたりしてしまうといわれる。
しかし、名古屋市立大学大学院公衆衛生学准教授の西山毅氏らの研究によると、コーヒー摂取量については日常の睡眠時間に影響を及ぼさないことが明らかになったという。
一方、アルコール摂取量については睡眠時間を延ばすことがあらためて確認されたが、睡眠の「質」に好影響というわけではないようだ。同氏が、結果を第29回日本疫学会(1月30日〜2月1日)で発表した。
『約1万人』のデータをメンデルランダム化により解析
睡眠を妨げたり、睡眠の質を低下させたりするといわれるアルコールやコーヒーの摂取。
これまで西山氏らが行った3万例超を対象とした睡眠時間に関するメタ解析から、アルコール代謝に関わることで知られるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子多型「rs671」がゲノムワイドに有意に関連することが分かっている(Nishiyama T, Nakatochi M, et al. Genome-wide association meta-analysis and Mendelian randomization analysis confirm ALDH2 influencing on sleep duration in the Japanese population. Sleep [in press])。
同氏によると、rs671はアルコール摂取量による規定を介して睡眠時間に影響すると考えられるという一方、
rs671はコーヒー摂取量ともゲノムワイドに有意な関連を示していることも報告されている(Nakagawa-Senda H, et al. Sci Rep 2018; 8: 1493)。
このことから、コーヒー摂取量が睡眠時間に影響している可能性が示唆された。
そこで、同氏らは今回、アルコールとコーヒー摂取量が睡眠時間に対してどのような影響を及ぼすかを検討するため、メンデルランダム化による解析を行った。
日本の多施設共同コホート研究であるJ-MICCの参加者のうち、基準に合致した1万770人の日常睡眠時間、アルコールおよびコーヒー摂取量、性、年齢、睡眠薬服用状況などに関するデータを検討。
対象者の内訳は男性5,008人、女性5,762人で、平均年齢はそれぞれ54.5歳、53.1歳、1日当たりのアルコール摂取量は1.8ドリンク、1.6ドリンク、コーヒー摂取量は25.2g、4.6gであった。
なお、J-MICCは前述したメタ解析にも用いられた研究である。
ビール350mL当たり睡眠時間は約4.2分延伸するが..
まず、アルコール摂取量が睡眠時間に与える因果効果について解析したところ、アルコール摂取量は睡眠時間を有意に延伸させることが示された。
西山氏はこの結果について、「rs671にはアルコール摂取量を経由せず睡眠時間に影響を与えるhorizontal pleiotropy(水平多面発現)が存在することになるが、メンデルランダム化解析ではhorizontal pleiotoropyが存在しないことが前提条件であるため、アルコール摂取量に関する解析が正しくない可能性がある」として、曝露変数をアルコール摂取量だけでなく、コーヒー摂取量も含めた2変量メンデルランダム化解析を行った。
その結果、アルコール摂取量については有意な因果効果が確認されたが、コーヒー摂取量では認められなかった。
また、horizontal pleiotropyの可能性を検討するため、感度分析としてMR-Egger法を用いた解析を行ったが、horizontal pleiotropyの存在については否定的な結論が得られた。
同氏は「今回の研究により、
『コーヒー摂取量は睡眠時間に影響を与えない』ことが分かった。
一方、アルコール摂取量についてはビールに換算して350mL当たり睡眠時間を約4.2分延伸させることが確認された」とまとめた。
「ただし、アルコール摂取で睡眠時間が延伸するのは、『睡眠の質が低下する』ことによる、いわば代償。
『基本的にアルコールは睡眠に好影響は及ぼさない』」と付言した。
(松浦庸夫)
アルコールは睡眠時間の「質」を悪くする
2019年02月21日 06:05
一般には、アルコールやコーヒー(カフェイン)の摂取は睡眠を妨げたり、睡眠の質を低下させたりしてしまうといわれる。
しかし、名古屋市立大学大学院公衆衛生学准教授の西山毅氏らの研究によると、コーヒー摂取量については日常の睡眠時間に影響を及ぼさないことが明らかになったという。
一方、アルコール摂取量については睡眠時間を延ばすことがあらためて確認されたが、睡眠の「質」に好影響というわけではないようだ。同氏が、結果を第29回日本疫学会(1月30日〜2月1日)で発表した。
『約1万人』のデータをメンデルランダム化により解析
睡眠を妨げたり、睡眠の質を低下させたりするといわれるアルコールやコーヒーの摂取。
これまで西山氏らが行った3万例超を対象とした睡眠時間に関するメタ解析から、アルコール代謝に関わることで知られるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の遺伝子多型「rs671」がゲノムワイドに有意に関連することが分かっている(Nishiyama T, Nakatochi M, et al. Genome-wide association meta-analysis and Mendelian randomization analysis confirm ALDH2 influencing on sleep duration in the Japanese population. Sleep [in press])。
同氏によると、rs671はアルコール摂取量による規定を介して睡眠時間に影響すると考えられるという一方、
rs671はコーヒー摂取量ともゲノムワイドに有意な関連を示していることも報告されている(Nakagawa-Senda H, et al. Sci Rep 2018; 8: 1493)。
このことから、コーヒー摂取量が睡眠時間に影響している可能性が示唆された。
そこで、同氏らは今回、アルコールとコーヒー摂取量が睡眠時間に対してどのような影響を及ぼすかを検討するため、メンデルランダム化による解析を行った。
日本の多施設共同コホート研究であるJ-MICCの参加者のうち、基準に合致した1万770人の日常睡眠時間、アルコールおよびコーヒー摂取量、性、年齢、睡眠薬服用状況などに関するデータを検討。
対象者の内訳は男性5,008人、女性5,762人で、平均年齢はそれぞれ54.5歳、53.1歳、1日当たりのアルコール摂取量は1.8ドリンク、1.6ドリンク、コーヒー摂取量は25.2g、4.6gであった。
なお、J-MICCは前述したメタ解析にも用いられた研究である。
ビール350mL当たり睡眠時間は約4.2分延伸するが..
まず、アルコール摂取量が睡眠時間に与える因果効果について解析したところ、アルコール摂取量は睡眠時間を有意に延伸させることが示された。
西山氏はこの結果について、「rs671にはアルコール摂取量を経由せず睡眠時間に影響を与えるhorizontal pleiotropy(水平多面発現)が存在することになるが、メンデルランダム化解析ではhorizontal pleiotoropyが存在しないことが前提条件であるため、アルコール摂取量に関する解析が正しくない可能性がある」として、曝露変数をアルコール摂取量だけでなく、コーヒー摂取量も含めた2変量メンデルランダム化解析を行った。
その結果、アルコール摂取量については有意な因果効果が確認されたが、コーヒー摂取量では認められなかった。
また、horizontal pleiotropyの可能性を検討するため、感度分析としてMR-Egger法を用いた解析を行ったが、horizontal pleiotropyの存在については否定的な結論が得られた。
同氏は「今回の研究により、
『コーヒー摂取量は睡眠時間に影響を与えない』ことが分かった。
一方、アルコール摂取量についてはビールに換算して350mL当たり睡眠時間を約4.2分延伸させることが確認された」とまとめた。
「ただし、アルコール摂取で睡眠時間が延伸するのは、『睡眠の質が低下する』ことによる、いわば代償。
『基本的にアルコールは睡眠に好影響は及ぼさない』」と付言した。
(松浦庸夫)
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8681928
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック