2024年05月06日
政治・経済 【過去問から学ぼう:第4回】
前回と続きで、「大学入学共通テスト」から学んでいきましょう。
設問1
国の法制度(A)や地方自治体(B)に関心がある生徒Xと生徒Yは、自分たちが住むJ市のまちづくりの取り組みについて調べている。
かつて、K寺の門前町として栄えたJ市(C)には、多くの観光客が訪れており、K寺はJ市の重要な観光資源となっている。市の中心市街地は、駅からK寺へ至る表参道といsての中央通りを中心に発展してきた。駅前には大型店舗が集まり、表参道には個人商店が軒を並べている。また、K寺の門前には空き家(D)などをリノベーションした店舗やカフェが多数立地し、地元の農産物(E)を加工した食品を販売している。
生徒たちがJ市のWebページを調べたところ、市が「市街地活性化プラン」を策定し、次のような事業を展開しているのが分かった。
空き家等活用事業:
空き家等を活用し、店舗やカフェ、民泊などの施設として利用する場合に、改修費や設備費を補助するとともに、長期的な安定経営をめざし、経営指導員による継続的指導を行う。
歴史的街なみ整備事業:
K寺周辺地区の歴史ある街なみを保全し、伝統と文化が感じられる景観を形成することを目的に、まちづくり協定で規定する範囲の景観の整備に対する助成を行うとともに、道路の美装化を進める。
生徒たちはとくに空き家などの活用に関心を持ち、空き家や民泊(F)に関する法律(G)についても、立法過程(H)を含め、調べてみることにした。
問4 下線部Dについて、生徒Xは、国土交通省のWebページで「空き家等の対策の推進に関する特別措置法」(以下、「空家法」という)の内容を調べ、次のメモを作成した。空欄ア、イに入る語句を選べ
1.「空家等」(空家法第2条第1項)
・建築物やそれに附属する工作物で居住等のために使用されていないことが常態であるもの、及び、その敷地
2. 「特定空家等」:次の状態にある空家等(空家法第2条第2項)
(a) 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
(b) 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
(c) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
(d) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
3.特定空家等に対する措置(空家法第14条)
・特定空家等の所有者等に対しては、市町村長は、特定空家等を取り除いたり、修繕したりするなど、必要な措置を取るよう助言や指導、勧告、命令をすることができる。
・上記(a)または(b)の状態にない特定空家等については、建築物を取り除くよう助言や指導、勧告、命令をすることはできない。
X:空家法によると、市町村長は、所有者に対し建築物を取り除くよう命令し、従わない場合は代わりに建築物を取り除くこともできるみたいだよ。
Y:そうなんだ。でも、市町村長が勝手に私人の所有する建築物を取り除いてしまってもよいのかな。
X:所有権といえども、絶対的なものとはいえないよ。日本国憲法第29条でも財産権の内容は( ア )に適合するように法律で定められるものとされているね。空家法は所有権をそんちょうして、所有者に対し必要な措置を取るよう助言や指導、それから勧告をすることを原則としているし、建築物を取り除くよう命令できる場合を限定しているよ。でも、空家法が定めているように、( イ )には、所有者は、建築物を取り除かれることになっても仕方がないんじゃないかな。
Y:所有権には所有物を適切に管理するせきにんが責任が伴うということだね。
( ア ) @公共の福祉 A公序良俗
( イ ) @周辺住民の生命や身体に対する危険がある場合 A周辺の景観を著しく損なっている場合
さて、この設問はきちんと文章を読めば解ける問題ですね。
とはいえ、一応、日本国憲法第29条をみてみましょう。
第29条第1項 財産権は、これを侵害してはならない
第29条第2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める
といわけで、( ア )は@、( イ )は@となります。
次回もよろしくお願いいたします。
↓ 政治経済で問題集であれば、以下の参考書もご検討してみてはいかがでしょうか
設問1
国の法制度(A)や地方自治体(B)に関心がある生徒Xと生徒Yは、自分たちが住むJ市のまちづくりの取り組みについて調べている。
かつて、K寺の門前町として栄えたJ市(C)には、多くの観光客が訪れており、K寺はJ市の重要な観光資源となっている。市の中心市街地は、駅からK寺へ至る表参道といsての中央通りを中心に発展してきた。駅前には大型店舗が集まり、表参道には個人商店が軒を並べている。また、K寺の門前には空き家(D)などをリノベーションした店舗やカフェが多数立地し、地元の農産物(E)を加工した食品を販売している。
生徒たちがJ市のWebページを調べたところ、市が「市街地活性化プラン」を策定し、次のような事業を展開しているのが分かった。
空き家等活用事業:
空き家等を活用し、店舗やカフェ、民泊などの施設として利用する場合に、改修費や設備費を補助するとともに、長期的な安定経営をめざし、経営指導員による継続的指導を行う。
歴史的街なみ整備事業:
K寺周辺地区の歴史ある街なみを保全し、伝統と文化が感じられる景観を形成することを目的に、まちづくり協定で規定する範囲の景観の整備に対する助成を行うとともに、道路の美装化を進める。
生徒たちはとくに空き家などの活用に関心を持ち、空き家や民泊(F)に関する法律(G)についても、立法過程(H)を含め、調べてみることにした。
問4 下線部Dについて、生徒Xは、国土交通省のWebページで「空き家等の対策の推進に関する特別措置法」(以下、「空家法」という)の内容を調べ、次のメモを作成した。空欄ア、イに入る語句を選べ
1.「空家等」(空家法第2条第1項)
・建築物やそれに附属する工作物で居住等のために使用されていないことが常態であるもの、及び、その敷地
2. 「特定空家等」:次の状態にある空家等(空家法第2条第2項)
(a) 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
(b) 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
(c) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
(d) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
3.特定空家等に対する措置(空家法第14条)
・特定空家等の所有者等に対しては、市町村長は、特定空家等を取り除いたり、修繕したりするなど、必要な措置を取るよう助言や指導、勧告、命令をすることができる。
・上記(a)または(b)の状態にない特定空家等については、建築物を取り除くよう助言や指導、勧告、命令をすることはできない。
X:空家法によると、市町村長は、所有者に対し建築物を取り除くよう命令し、従わない場合は代わりに建築物を取り除くこともできるみたいだよ。
Y:そうなんだ。でも、市町村長が勝手に私人の所有する建築物を取り除いてしまってもよいのかな。
X:所有権といえども、絶対的なものとはいえないよ。日本国憲法第29条でも財産権の内容は( ア )に適合するように法律で定められるものとされているね。空家法は所有権をそんちょうして、所有者に対し必要な措置を取るよう助言や指導、それから勧告をすることを原則としているし、建築物を取り除くよう命令できる場合を限定しているよ。でも、空家法が定めているように、( イ )には、所有者は、建築物を取り除かれることになっても仕方がないんじゃないかな。
Y:所有権には所有物を適切に管理するせきにんが責任が伴うということだね。
( ア ) @公共の福祉 A公序良俗
( イ ) @周辺住民の生命や身体に対する危険がある場合 A周辺の景観を著しく損なっている場合
さて、この設問はきちんと文章を読めば解ける問題ですね。
とはいえ、一応、日本国憲法第29条をみてみましょう。
第29条第1項 財産権は、これを侵害してはならない
第29条第2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める
といわけで、( ア )は@、( イ )は@となります。
次回もよろしくお願いいたします。
↓ 政治経済で問題集であれば、以下の参考書もご検討してみてはいかがでしょうか
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