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2020年01月04日

スタジオでのドラマ撮影

週刊文春連載 室井滋の『すっぴん魂』より その日はドラマの撮影をしていた。 共演者の男性が「ふざけるな」という台詞を言った時、役者の台詞と台本をチェックしていたスタッフが待ったをかけた。 「○○さん!そこは『バカヤロー!』ではなく『ふざけるな』ですよ」 台詞を言った俳優は慌てて否定した。 「私はバカヤローなんて言ってませんよ!」 室井滋にも、ちゃんと「ふざけるな」と聞こえた。しかしスタッフは引き下がらない。 「いいえ、バカヤローとおっしゃいましたよ」 そんな馬鹿なと室井は思ったが、スタッフもプロだ。 『バカヤロー』と『ふざけるな』は一文字も合っておらず、聞き間違えるはずがないのだ。 そのうち監督が何事だと近寄ってくる。 全員にわけを話すと、驚いたことに撮影現場は『ふざけるな』派と『バカヤロー』派に二分される。結局、話をしていても埒があかないので、モニターで問題箇所を見てみましょう、という事になった。 全員がモニターの前に集まり、再生されたシーンを食い入るように見つめる。 すると、やはり『ふざけるな』派と『バカヤロー』派に分かれるのだった。 現場は混乱した。これでは撮影にならない。 しかし、監督が台本どおり「ふざけるな」と聞こえたと言うので、撮り直しはしなかった。 だが、それからも現場は混乱続きだった。 室井自身も『脚』と言ったはずが、他の人には『腕』と聞こえたり、聞き違いが幾度と続いた。 そうするうちに、いつの間にかスタッフにも耐性がついてきて、聞き違いがあってもそのまま撮影を進めるようになった。 これがスタジオという場所と関係あるのかは分からない。 果たして後日放送されるドラマは、視聴者にはどんな台詞で聞こえるのだろうか…。 <感想> 謎の現象過ぎて気持ち悪い。
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