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2020年06月27日
生死の境
寒い。ここは寒い。
俺は今どこに居るのだろうか。
凍えてしまいそうだ。
ああ、ずっと下のほうに赤い渦が見える。
「俺?」
名前、俺の名前は何だったろうか。
思い出せない。怖い。
誰か居ないのか?
自分の名前が分からない…誰か、誰か!
誰か、母さん、俺の名前を言ってくれ!
赤い渦からたくさんの黒い手が伸びてきた。本当にたくさんだ。
黒い手に足をひっぱられる…
違う!俺にはちゃんと名前があるんだ。
ちょっと忘れてるだけ、すぐに思い出すから足をひっぱらないでくれ!
なあ、俺の名前は何だったかなあ!?
誰か名前呼んでくれよ!
誰か!!
私の兄がバイクで事故を起こし、生死の境を11時間さまよった時に、「死ぬ一歩手前に見た」という光景の手記です。
兄は事故直後、救急車に乗せられた時にうわ言で、
「俺の名前…名前を呼んでくれ…」とずっとつぶやいていたそうで、
救急隊員の方が免許証を見て、
「○○さん!あなたは○○さんですよ!」と言い続けてくれたそうだ。
その方のおかげか兄は奇跡的に命をとり止め、後遺症もなく今でも元気です。
<感想>
名前っていうのはそれぐらい意味があるものなんですね。
posted by kowaidouga at 09:05| 超怖い話(記憶・夢編)