2020年06月28日
笑顔の父
小四の頃の話。
当時、父と二人暮らしでした。
父は毎朝六時に朝食を作り、作業着姿で慌しく出勤して、
その後、私はひとりで支度をして登校してたんだけど、その日は頭が痛かった。
たいした事はなかったんだけど、まあいいやズル休みしちゃえって、学校行かずにゴロゴロしてた。
父の帰りは夜だしバレないだろと思ってたら、その日にかぎって昼頃父が帰ってきた。
うわー絶対怒られるよと必死で言い訳考えてたら、何でか父はニコニコ笑いながら「散歩に行こう」と言い出す。
怒られなきゃ何でもいいやと、私は深く考えずに父と出かけた。
近所の川土手を父と手をつないで歩いた。その間どんな会話してたか覚えてない。
娘と手ぇつないでニコニコ散歩なんてする人じゃなかったんだけど、楽しかったから変だとは思わなかった。
しばらく歩いてたら、急につないだ手に痛いくらい力がこもった。
「痛い」と言っても、父はニコニコしながら私の手をひっぱる。
引っぱりながら土手下に降りようとする。
普段はその程度で泣くような子供じゃなかったんだけど、 その時は骨が折れそうなくらい手が痛いのと、父の不自然な笑顔が怖くて大声で泣き出してしまった。 父はびっくりしたみたいに手を離した。 父の顔を見られなくて、そのまま座りこんでわんわん泣いた。 しばらく泣いてると、知らないおばさんが私の肩をたたいて話しかけてきた。 顔を上げたら父がいない。 置いてかれたと思ったらますます泣けてきて、おばさんはそんな私を近くの交番につれて行ってくれた。 迷子という事で、住んでいたアパートの大家さんに連絡。(当時、ウチには電話がなかった) それから少しして、大家さんから連絡もらった父が、血相変えて私を引き取りに来ました。
その時、初めて気がついたんだけど、父はいつも作業服姿で出勤してた。 当然、帰宅する時も作業服。交番へ私を迎えに来た時も作業服姿。 なのにその日、私と川土手を散歩した父は、それまで見た記憶のないポロシャツとスラックス姿でした。 父は仕事場にいる時に大家さんから電話をもらったと言い、交番からの帰り道で私はすごい怒られた。 いつもの父でした。 でも、その数時間前に一緒に居たのも父だったはず。 何だったんだろ、アレ。
<感想>
悪意のある者の仕業とも考えられますが、 お父さんが愛する娘と散歩したいという気持ちだけが先行し、 あらわれたのだと思いたい。
普段はその程度で泣くような子供じゃなかったんだけど、 その時は骨が折れそうなくらい手が痛いのと、父の不自然な笑顔が怖くて大声で泣き出してしまった。 父はびっくりしたみたいに手を離した。 父の顔を見られなくて、そのまま座りこんでわんわん泣いた。 しばらく泣いてると、知らないおばさんが私の肩をたたいて話しかけてきた。 顔を上げたら父がいない。 置いてかれたと思ったらますます泣けてきて、おばさんはそんな私を近くの交番につれて行ってくれた。 迷子という事で、住んでいたアパートの大家さんに連絡。(当時、ウチには電話がなかった) それから少しして、大家さんから連絡もらった父が、血相変えて私を引き取りに来ました。
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posted by kowaidouga at 09:05| 超怖い話(奇妙編)