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2020年06月21日
バスに乗れない人
高校三年間、通学に使ったバス。
いつも通るコース上のバス停には、絶対に“バスに乗れない人”が居た。
その人は夏も冬も、いつも青いジャージを上に着ていて待っていた。
運転手はそのバス停に止まらないし、止まっても、その人が乗り込む前に扉を閉めて発進してしまう。
それを見かねて、ある日、例のバス停に差し掛かった時、
「お客さん居ますよ」と言ったら、「居ませんよ」と答えが返ってきた。
周りからの視線やひそひそ話で、バス内の空気は最悪。
自分の頭が沸いたと思って、凹んだまま終点の一番最後に降りようとしたら、
「あれは乗せちゃいけないんだよ」
深い意味もわからなかったので、「そうなんですか」としか答えていなかったけど、
それから暫くたって、新人運転手がバスを運転し始めた頃から、なんとなく理由がわかってきた。
そいつが乗り込むと、バス内の機械がおかしくなるらしい。
整理券を出す機械が止まって整理券が出なくなったり、差し込んだカードが戻ってこなくなったり。
料金を表示する電光掲示板のような表が突然消えたり、
両替やお金を入れる機械が止まったり、上手く作動しなくなったり。
異常が起きたバスは、必ずあのバス停で止まって扉を開けていた。
バスに近付くと青ジャージは見えなくなるけど、
誰かが乗ってきた気配と、バスの中に一歩入った時の足音は聞こえたし、何より空気が変わった。
バスに乗る度に思い出して、ほんのり懐かしく、怖くなる思い出。
<感想>
ろくでもない奴。
posted by kowaidouga at 09:05| 超怖い話(乗り物編)