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2020年01月28日

地下街の住民

私が市の主催する絵画の文化教室に通っていたときの事。 年に一度、文化教室の作品を、市街地の地下街の広間みたいな所で展示をするんです。 私は初めて自分の精魂込めた作品がこういう場で展示されるということもあって、楽しみにして見に行くことにしました。 でも、その場所は広い割には地下駐車場に車を止めた人しか通らないというような所で、 ホームレスの溜まり場になっていたんです。 それでも、私は嬉しくて自分の絵を写真に撮ったり、いっしょに教室に通ってる人の作品を映したりしていました。 すると、カメラのフラッシュがまぶしかったのか、そのすぐそばで昼真から寝ていたホームレスが、 「まぶしいな。いい加減にしろや。寝れないだろ」と、すごい剣幕で怒鳴り始めました。 私はすごく楽しみにして、わざわざ遠くまで足を運んだのに、こんな目に遭い、 すごく不愉快で残念な気持ちになり、『乞食なんか死ねばいいのに』と心の中で思いました。 家に帰ってもやりきれない気持ちでいっぱいになり、 地下道を管理している市のほうへ苦情の電話をかけ、事の次第を話しました。 市役所の方は真剣に私の話を聞いてくれ、早急に対処すると言ってくれました。 一週間後、同じ場所に行きましたが、役所の人が言ったとおりホームレスはその場所に一人もいませんでした。 そして、すがすがしい気分で何日か過ごしていたのですが、あるとき私の家に警察が来て、 「○○さんのことをご存じないですか?」と聞いてきました。 私はその名前に心当たりがなかったのですが、聞くと、 その○○というホームレスが街の不良どもに狩られて死んだそうで、その死ぬ間際に私の差し金だと言ったそうでした。 私は実際にそのホームレスが死んだことにも驚きましたが、自分の名前を出したことにもっと驚きました。 おそらく、絵の作者名を覚えていて、死ぬ間際にその私の名前を出したのでしょうが、非常に気持ち悪いことだと思いました。 <感想> いろんな意味でダークなお話ですね。 タイトルは人間の心の中を指しているのかもしれません。
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