2020年05月26日
隣人の女性
聞いた話なんだけど結構怖かった。
友人Aの借りてた部屋は一階の一番端、すぐ横にはOLらしき女性が住んでいた。
で、そのOLさんはAの事が好きだったらしい。
明らかに色目使ってきたり、何かと訪ねて来たりで、露骨という恋愛下手って感じだったそうだ。
彼はなんとも思ってなかったが……というのは、そのOLさん、えらく痩せてるし青白いし、綺麗ではなかった。
そもそも、彼が引越して来た当初は、病気で療養でもしてんのか?と思っていた。
働いている様子が無かったからだった。
それに、あの青い顔……と思うと、気の毒にこそ思えど恋慕とは程遠い。
しかし、暫くしてから働き始めたらしく、
きちっとした格好の彼女と朝も度々会うし、帰りもはち合わせる事が会った。
ウマが会うと言うわけじゃないが、まぁ、よい隣人関係だったとか。
しかし、その女性は日に日に衰えている様に見えた。
心配にはなっていたが、夜は良く笑い声が聞こえてきたから、取り立てて心配はしなかった。
ところが、ある日を境に姿を見なくなった。一週間程すると異臭がした。
管理人と共に見に行くと死んでいた。餓死であった。
死体とその部屋の組み合わせに彼はゾッとした。
部屋に備え付けの家具や何かは、全て取り払われていた。
床板もなく、壁はバリバリに壊れ、彼の部屋のクローゼットが背を見せていた。
そこには一面に彼の似顔絵らしきものと、陰毛が張り付けられていた。多分、古風な恋のまじないだろう。
彼女は仕事等していなかった。
彼の気を引く為にさもしている風に見せ、快活そうに何もない部屋で笑っていた。
収入は手持ちの物を売ってまかなっていたのだ。だから彼女は水と少々の食べ物で食い繋いでいた。
彼女は『ゆいごん』と書いた染みが滲んだ紙を持っていた。
裏に『Aさん』と書いてあるだけで内容はなかった。
なんで彼がそんなに好かれたのか、なんで仕事しなかったのか知らないけど、何となくゾッとした話。
<感想>
たとえお愛想だったとしても、
まともに話をしてくれたのがその人だけだったんじゃないかな?
posted by kowaidouga at 09:05| 超怖い話(人間編)