2007年05月21日
●五月晴(さつきばれ)の朝
5月21日、朝6時半に出社し、オフィスの窓を開けた。
ビルの谷間が、切り抜かれたようにブルーに染まっていた。
まだ、誰も見ていない今朝の太陽が、その光を、向かい側のビルのガラスに反射させている。
「ああ、五月晴だな」と思った。
「一年」は、もしかすると5月のためにあるのかもしれない。
3月の淡い緑も、今は濃緑となって街中を包みこんでいる。
朝のひんやりとした空気が澄みわたり体内を通り抜けた。
心の中にしこっていたモノが、大気の中に、洗われ溶けていく。
この季節さえあれば、又一歩から始められる。
そう思えるのが五月だ。
公園に、一番人が多いのも五月。
家の中にじっとしていることができず、春の陽光に誘われるのだ。
抗争する頭の中の雑念を捨て、ただひたすらジョギングをするひと。
風にゆれる枝葉の影に、活字をさえぎられながらも、ひたすら単行本の誌面に目を落とすひと。
ヘッドホンから流れるラルゴの旋律に、過ぎし日と、明日からの未来を乗せ、今という現実になお、戸惑いを隠せないひと。
人の数ほど、思いも千差ある。
けれど、その一つ一つを包み込んでも、
5月の青い空は、余りあるほど遠く深い。
2007.05.21
シュー
《2007.05.21撮影》