■技術研究本部(当時)の研究開発項目として、対電波放射源ミサイル(XASM−3)というものが存在した
■元々、ASM-3は対レーダーミサイルとして始まったのかもしれない
新空対艦誘導弾XASM-3(E型)
画像引用元: Hunini - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=64205374による
以前、補給本部の部内誌だった「つばさ」に掲載されていたXASM-3の構想図はもっとカクカクしていて、まるでウルトラホーク1号α号の趣がありましたが、大分丸くなったものです(w
実のところ、管理人はASM-3には全く関わっておりません。ただ、XAAM-4やXASM-2でお世話になった技術幹部の方が、開発室長となり孤軍奮闘されていたことから、その推移を見守っておりました。もれ聞くところに依ると、ソ連崩壊後は大規模な艦船による侵攻は予想しえないということから、このプロジェクトについては何時ポシャってもおかしくない状況だったそうで、関係者のご努力の賜物だったと言えるでしょう。
F-2からのXASM-3の発射シーン
退役した護衛艦しらねを標的とした試験の様子も間接的ながらお聞ききして、この手の試験では何時もお世話になる某社さんはさぞご活躍されているんでしょうなとほくそ笑んだりしたものです。
標的艦となったしらねの回航の様子
いやぁ、アスロックやMK42、シースパロー発射装置も付いたままなんですね。何か凄く勿体ないような気がします(w
ところで、この標的艦には従来の標的には無かったある装置が備わっておりました。それは艦船のレーダーを模擬する装置です。ただ、従来の標的のようにMDI(射撃評価装置)も備わっていたため、多くは語りませんが色々と大変だったそうです。。。。
何でこんな苦労してまでこの装置を付けたかというと、XASM-3にはアクティブとパッシブの二種類のレーダーシーカーが備わっており、相手艦船のレーダー波を受信しての艦艇識別と電波妨害時のECCMを行うためです。ASM-3がパッシブ電波シーカによる目標識別等の機能で艦種の識別を行うことは、部内誌上でGM開発官が明言しています。
さて、管理人は某所で以下のような話を聞いたことがあります。
「航空事業部がHARM(AGM-88)の導入を見送ったのは、開発中のXASM-3に対レーダーを担わせるため。」
確かに高速性能とパッシブレーダーを持つXASM-3はその任にふさわしいと言えるでしょう。そして、公開されている公文書の中に以下の文言が出てきます。
対電波放射源ミサイル(XASM−3)
これは会計検査院の平成16年度決算検査報告の中で出てくる文言です。
報告書の内容としては、技術研究開発として研究されていたものの、その後開発に移行していないとして槍玉に上がっています。管理人は知らなかったのですが、技術研究本部(当時)の技術研究項目として「対電波放射源ミサイル(XASM−3)」というものが存在したということでしょう。航空事業部の対レーダーミッションというと、真っ先に挙げられるのは海洋SEADですが、もしかするとXASM-3は元々海洋SEADで使われることをメインに構想されたものなのかもしれません。
そして対レーダーミサイルの代表格はAGM-88HARMですが、このミサイルの弾頭であるWDU-37/B 爆風破砕弾頭は137.75 pounds(約66kg)に過ぎません。このミサイルはレーザー近接/着発信管により起爆し、爆風破片効果により目標を破壊しますが、この程度の弾頭ですとレーダーアンテナを破壊して機能停止に追い込む程度で、レーダー本体を破壊するには威力が小さ過ぎるのではないかとの懸念があります。そのため、完全に相手レーダーを破壊するためには、より大威力のミサイルが求められており、ASM-3の使用はそれに合致したものと言えるでしょう。
【送料無料】 F-2支援戦闘機写真集 / ホビージャパン(Hobby JAPAN)編集部 【本】 価格:3300円 |
タグ:XASM-3
コメントありがとうございます。
意味深なHNですね(w
制式化してから四半世紀位経ってるんですから、もう公にしても良いと思いますけどね。当時、担当者から貰った資料をGM室長からの指示で回収されたという経験がありますが、今時珍しい技術でも無いでしょうに(w
某吉祥寺の履物屋の3代目が、結構前にゲロってたのでやっぱりという印象ですね
当人が、『カラスの集まり』の展示会でAGM-88が、1つの固定アンテナで2次元方位を検出している事を知った事が切っ掛けでIEEEの「Antenna & Propagation」 の論文を元に理論解析を進め再現したものがシーカーとして採用されたっぽいですね。