2020年07月28日
【微生物の優れた作用】発酵食品3選とその理由
発酵食品は、気候風土や産物、嗜好性が反映されています。自然界に生息する微生物が食品にまぎれ込み、気候が発酵に適切な条件であったため、今までにない風味を有する食品が自然にできあがりました。そして、人類がさまざまな試行錯誤と創意工夫を繰り返すことで、しょう油やみそ、納豆、漬物、キムチ、チーズ、パン、ビール、ワイン、日本酒納など多種多様な食品に生み出され、世界各地で発酵食品の食文化が発展を遂げています。
発酵とは、食品に含まれるでんぷんやたんぱく質などを細菌やカビ、酵母などの微生物の酵素で分解し、新たな成分を生成することです。人にとって有用な食品への変化することが発酵であり、もとの食品にはない美味しさや成分が付与されます。発酵で生成するアルコールや有機酸などは食品の風味や保存性を高め、でんぷんやたんぱく質は分解されることで消化吸収がより好ましくなり、ビタミンなどの栄養価が高まる発酵食品もあります。一方、腐敗は微生物により、人にとって有害なものが生成することです。
発酵食品を生み出す微生物は、細菌、カビ、酵母の3つです。細菌は単細胞で形状から球菌、桿菌、らせん状菌などがあり、分裂して増殖します。分裂のスピードはカビや酵母よりも早く、短時間で大量な数に増殖します。乳酸菌や酢酸菌、納豆菌などがあります。カビには、麹カビや青カビ、クモノスカビなどの種類があります。日本で主に発酵に使用されるのは麹カビです。酵母は単細胞で、球状や円筒状などさまざまな形状をしています。増殖の方法は出芽と呼ばれ、酵母から小さな突起が生じ、どんどん大きくなり、分裂します。酵母には、サッカロマイセス属などがあり、パンやビール、ワインなどの発酵に用いられます。キャンディダ属は、海外では食用として培養されています。これらの微生物は、原材料を分解して栄養分を獲得し増殖するときに、さまざまな物質を細胞内に生成し、その一部は外に分泌します。この過程が発酵そのものです。
食生活の乱れや睡眠不足、ストレスなどによって、免疫力が低下し、風邪や便秘などの不調をきたすことがあります。そのようになる前に発酵食品を食べることによって、腸内環境のバランスを整え、健康を維持することが大切です。さまざまな発酵食品がある中、毎日継続して食べられるおすすめの発酵食品を3つ紹介します。
納豆菌は、枯草菌(こそうきん)という細菌で、納豆をつくるために欠かせません。納豆菌は身近に存在し、稲わらに多く生息しています。煮た大豆に納豆菌を加えると、発酵によりたんぱく質をアミノ酸が複数結合したペプチドやアミノ酸に分解し、納豆特有の味とにおいが生成します。納豆菌の種類によっても、においや粘性などの特性が変化します。
納豆菌は芽胞(がほう)と呼ばれる胞子をつくります。芽胞のおかげで乾燥や熱にとても強く、100℃で加熱しても耐えることができます。そのため、納豆を食べた場合、しょう油やビール工場など菌を扱う現場に入ることが制限されることもあります。納豆菌は酸にも強く、生きたまま腸内にたどり着き、善玉菌を活性化させ、腸内環境を改善してくれます。
大豆はもともと栄養価の高い食品ですが、発酵することでビタミンB2や骨の形成促進などに関わるビタミンKを生成します。さらに納豆は大豆由来の大豆オリゴ糖に加え、食物繊維も含まれ、腸内環境を整えます。納豆は納豆菌により、大豆のたんぱく質が分解されているので、消化吸収も向上します。
乳酸菌は糖質を分解し、主に乳酸を生成する細菌です。人の腸内や自然界のあらゆる場所に存在しています。乳酸菌が生成する乳酸により、pHを下げることで食中毒をもたらす細菌などの増殖を抑制します。牛乳を常温で放置すると腐敗が起こりますが、乳酸菌を加えることで乳酸発酵が進み、pH が下がることで、ヨーグルトの保存性が高まります。乳酸発酵したヨーグルトが日持ちするのはこのためです。その他に乳酸菌はアミノ酸を生成し、発酵食品に特有の風味を付与します。
分解する糖と乳酸菌の種類によって、ヨーグルトの風味が異なります。牛乳に乳酸菌を加えると、牛乳に含まれる乳糖を乳酸菌が分解して乳酸発酵し、ヨーグルトができます。ビフィズス菌、ブルガリクス菌などさまざまな乳酸菌が乳酸発酵を行い、多種多様なヨーグルトが生産されています。また、発酵によりビタミンB2の量が増加し、たんぱく質や脂質も分解されるため、消化吸収が高まります。
乳酸菌は善玉菌の代表例であり、腸内で悪玉菌の増殖を防いで腸内環境を整えてくれます。乳酸菌は胃酸により死滅することが指摘されていますが、死滅した乳酸菌でも腸内の善玉菌のエサになることが報告されています。腸内細菌のバランスを保つことで、便秘の改善や免疫力の向上などの効果が期待されます。
みそは米や麦、大豆に麹と塩を混ぜて仕込みます。麹菌は、麹をつくるための糸状菌、つまりカビの一種です。日本をはじめ湿度の高い地域にしか生息していません。麹菌はたんぱく質をアミノ酸に分解するプロテアーゼという酵素やでんぷんを糖に分解するアミラーゼという酵素、脂質を分解するリパーゼという酵素を生成します。麹菌が生み出す酵素の力によって、原材料中のたんぱく質やでんぷん、脂質が分解され、体内での消化吸収効率が高まります。酵素によって生み出されるオリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサとなることで、善玉菌を活性化し、腸内環境を整えます。さらに麹菌はビタミンなども生成します。
みその熟成工程では、耐塩性の乳酸菌が増殖し、乳酸などの有機酸が生成され、pHが下がります。乳酸は、原料臭の抑制と塩辛さを抑える塩なれ効果があります。pHが下がると耐塩性酵母が増殖し、糖から有機酸や香気成分を生成します。これはみその香りの形成に重要な役割を果たしています。
みそは、カビや細菌、酵母により発酵が行われ、数日〜1年をかけてでき上ります。発酵 熟成は、温度や湿度などの管理が非常に微妙で難しく、日々研究開発が進められています。
なお、みそなどの塩分の高い発酵食品は、体に良い反面、過剰摂取は塩分の摂り過ぎにつながり、高血圧や腎機能を低下させる一因となるため、注意が必要です。
発酵とは、食品に含まれるでんぷんやたんぱく質などを細菌やカビ、酵母などの微生物の酵素で分解し、新たな成分を生成することです。もとの食品にはない美味しさや成分が付与されます。発酵で生成する有機酸などは食品の風味や保存性を高め、でんぷんやたんぱく質は分解されることで消化吸収がより好ましくなり、ビタミンなどの栄養価が高まる発酵食品もあります。
食生活の乱れや睡眠不足、ストレスなどによって、免疫力が低下し、風邪や便秘などの不調をきたさないように、毎日継続して発酵食品を食べることによって、腸内環境のバランスを整え、健康を維持することが大切です。
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