2020年06月21日
【畑の共生者】抜群のたんぱく質含量を誇る大豆
畑から大豆を抜いて根っこを見てみると、根っこにこぶのようなものがたくさんくっついています。これは根粒と呼ばれる部分で、この中に根粒菌という微生物が住んでいます。根粒菌は大気中の窒素を取り込み、大豆の生育に欠かせないたんぱく質の原料となる窒素を大豆に供給する働きをしています。科学的に空気中の窒素を取り込むためには、1000気圧、500℃が必要で、莫大なエネルギーを消費しますが、根粒菌は酵素反応により、簡単にやってのけることができます。大豆に限らずマメ科植物は、根粒菌と助け合っているのです。
特に日本人は昔から大豆を食べており、大豆をうまく食生活に取り入れることで、現在の長寿の一因になっていると考えられます。乾燥した大豆のおおよそ30%はたんぱく質です。たんぱく質は、健康維持に不可欠な栄養素です。この大豆たんぱく質は、根粒菌の働きもあり、必須アミノ酸がバランスよく含まれています。肉や卵は良質のたんぱく質を豊富に含む代表例ですが、大豆たんぱく質はこれらに負けない良質のたんぱく質です。大豆たんぱく質には、血中コレステロールの低下作用、肥満の改善効果などの生理機能も期待されています。
大豆たんぱく質は、植物性たんぱく質の中で最も動物性たんぱく質に近い良質のたんぱく質で、消化吸収に優れます。
大豆は、食物繊維やカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ビタミンE、ビタミンB1をはじめとしたB群、葉酸など様々な栄養素が含んでいます。
加工食品では、抗酸化の目的で大豆由来のビタミンEを使用します。ビタミンEにはα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、σ-トコフェロールの4種類があり、最も抗酸化力の高いγ-トコフェロールが豊富です。老化の原因のひとつには活性酸素による酸化作用が関係していると報告されており、抗酸化作用のあるビタミンEを摂ることで、老化の防止が期待されます。
また、総コレステロールを低下させる大豆レシチン、腸内細菌を増殖させるオリゴ糖、
血中脂質の低下が期待できる大豆サポニン、骨粗しょう症の予防や更年期の不調を改善するといわれるイソフラボンといった多くの機能性物質が含まれています。
大豆はさまざまな食品に加工され、食生活で広く浸透しています。豆乳、豆腐、みそ、しょう油、納豆、きなこ、大豆油、おから、油揚げ、枝豆(大豆を青いうちに収穫したもの)、豆もやし(大豆を発芽させたもの)など多岐にわたっています。
大豆が持つ栄養素のなかでもっとも注目すべき点は、根粒菌との共生により成しえた良質なたんぱく質です。たんぱく質は、体を構成するうえで欠かせない成分で、魚や肉に匹敵する豊富なたんぱく質を大豆は、含んでいます。
たんぱく質の栄養価を評価するアミノ酸スコアは、100に近いほど優れています。大豆のアミノ酸スコアは最高値の100となり、消化吸収も良く、体内での合成できない必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。
また、大豆はたんぱく質以外に総コレステロール値を低下させる大豆レシチンや抗酸化作用を持つビタミンE、腸内細菌を増やすオリゴ糖、更年期の不調改善が期待される大豆イソフラボンなど健康に寄与する成分が豊富に含まれています。
ただし、大豆が身体に良いからといっても、意識すべき点は食事の栄養バランスです。全体のバランスを考えながら、日々の食生活に大豆を取り入れましょう。
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