2020年06月21日
【解説】グルテンフリー製品の開発
グルテンフリーとは
最近では、グルテンフリーの食品をスーパーやコンビニでもよく見かけます。グルテンフリーをうたい文句に米粉を代替原材料とした街のベーカリーも散見されます。小麦粉を使用しない食品として、小麦アレルギーの方々を対象に健康に高い関心をお持ちの方々からも支持を集めているようです。
加工食品においても、グルテンフリーのラーメンやパスタ、スープ、スイーツの開発が加速しています。小麦粉を米粉に置き換えることをはじめ、使用する原材料に細心の注意を払い、味の基本となるしょう油やみそにも小麦が含まれるため、しょう油の場合は丸大豆のみの原材料を厳選し、うま味が不足する場合は、魚醤を併用したります。麺も米粉やこんにゃくを使用します。
グルテンとは、小麦粉に含まれるグルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質で構成されています。小麦粉に水を加えて練ることで、弾力と伸張性の高い性質が形成され、パンなどのいわゆる生地ができあがります。この性質が、パンやラーメン、うどん、パスタなどの小麦粉を使用した食品を生み出し、世界中の食文化を支えています。とろみ付けやつなぎなどの目的で、カレールー、てんぷらやコロッケの衣、ハンバーグ、さらには中華まんや餃子の皮にも小麦粉が使用されています。
しかしながら、小麦粉に含まれるグルテンでアレルギー反応が出る方々がいらっしゃいます。可能性がある症状としては、グルテンが消化されにくいことで不調となるグルテン過敏症が知られています。このような場合、小麦粉を使用した製品を食べないグルテンフリーを実践することで、改善が期待されます。加工食品の場合は、原材料やアレルゲン表示を確認することが重要です。
グルテンフリーの食品は主にアレルギー反応が出る方々向けの製品です。グルテンフリーがダイエット法の一種と認識されていることがあるかもしれませんが、ダイエット効果の科学的根拠は今のところ見受けられません。
グルテンフリーのメリットとデメリット
グルテンフリーのメリット
グルテンを摂取することで、不調やアレルギー反応を起こす方々に対し、腹痛や便秘、下痢などの消化器症状、消化吸収の低下による栄養失調、思考力減などさまざまな症状の改善効果が期待されます。
また、体質によってはグルテンの摂取を控えることで体に良い影響をもたらす可能性があるかもしれません。
グルテンフリーのデメリット
バランスのとれた食生活が健康の一番のポイントです。アレルギー反応でお困りの方々以外がグルテンフリーにこだわりすぎて、様々な食品を食べることの機会損失となり、必要な栄養の不足につながり、逆に体調を崩すこともありえるかもしれません。
グルテンフリーの期待の原材料
アメリカではグルテンフリーの原材料として、イネ科のたかきびの一種ホワイトソルガムが注目されています。 たかきびはブレンドされた雑穀の原材料としても、認知度が高まりつつあります。食物繊維やビタミン類、マグネシウム、鉄分を多く含み、味にクセが無く、さまざまな料理に相性抜群です。
まとめ
現在の食生活の多くの場面で小麦粉が使用されており、そこからグルテンを摂取しています。これらの食品すべてを一切摂らずに健康を維持するのは極めて困難です。しょう油やみそをはじめとした調味料など、少量でも頻繁に食品に使用されています。このためグルテンフリーで自炊することも大変です。そこで加工食品メーカーは、徹底的にグルテンフリーとなる原材料を調査し、グルテンアレルギーをお持ちの方々のためにグルテンフリーのラーメンやパスタといった加工食品を開発、提案します。
一方、ダイエットのためにグルテンフリーの食品を取り入れるのであれば、残念ながら科学的根拠は今のところ見受けられません。
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