2020年08月30日
【メンデルの法則】期限表示のない野菜とその種
スーパーで売られている製品のほとんどに、消費期限や賞味期限が表示されています。缶詰やレトルト食品はもちろん、肉や魚介類にもパッケージに日付入りのシールが貼りつけられています。
ところが、野菜だけは消費期限も賞味期限も明示されていません。おそらく消費期限付きの大根やトマトを見た人はいないでしょう。その理由は単純で、野菜の場合、自分の目で見て消費期限を判断できるからです。もともと食品衛生法が、消費期限や賞味期限の表示を義務づけているのは、その食品の変化の程度が見た目で判断しにくいものです。例えば、肉や魚介類は、どれくらい悪くなっているか、見た目では判断しにくいです。大丈夫だろうと思って食べたら、予想以上に細菌などが繁殖し、お腹をこわすこともあります。まして、缶詰やレトルト食品の場合は、実際に食べてみないと、いたんでいるかどうかわからないことが多いです。
それに比べて、野菜は鮮度が落ちてくると、変色したりしおれたりします。さらに時間が経つと黒ずんでべとついたりします。消費者が、見た目でもう食べられないと判断しやすいので、消費期限も賞味期限も表示されていません。
イチゴやトマトには、緑色のヘタがついています。ヘタは葉が変形したもので、果実が大きくみずみずしいものほどヘタも大きくなります。
しかし、ときどきヘタの部分が茶色に変化していることがあります。そういう見た目が良くないヘタは、農薬をかけすぎているなど、適切ではない作り方をしたことの動かぬ証拠です。そもそもヘタは、花器のもっとも外側にあって、果実の保護を担っています。車でいえば、バンパーのようなもので、そのため外界からの影響をもっとも受けやすい場所です。農薬の影響も端的に表れます。病気にかかったからといって、濃度の高い農薬を乱用するとヘタはすぐに変色してしまいます。また、農薬を散布する回数が多すぎたり、混合してはいけない農薬を混ぜ合わせたときも、薬害の影響はヘタにあらわれます。さらに朝は、ヘタの上に夜露がたまり水玉になっていることがありますが、それが十分に乾かないうちに農薬を散布すると、薬害が出やすくなります。ほかに肥料のやりすぎによる濃度障害やビニールハウスの開放不良など、管理が不十分な影響も、ヘタの状態にあらわれます。
要するに、野菜づくりの状況が、ヘタにはっきりと表れるということです。トマトやナス、イチゴなどヘタのある青果類を買うときには、実の状態とともにヘタの様子にも十分注意が必要です。
その昔、農家の人たちは、自分の畑に植える野菜の種を自分自身で採取していました。ところが、現在自分でつくった野菜から種を自家採取する品種は、サトイモなど数える程度になっています。
ホウレンソウや小松菜、トマト、ダイコンなど野菜の9割以上は、その種や苗をJAや種苗メーカーから購入することが常識です。農家が種を自家採取し、それをまいても、売れるような野菜には育たないためです。
JAや種苗メーカーが農家に販売する種は、F1と呼ばれています。F1とはメンデルの法則に基づいた一代雑種のことです。例えば、野菜で美味しいけれど病気に弱い系統とあまり美味しくないけれど病気に強い系統があれば、F1はこの2つの系統をかけ合わせることで、美味しくて病気に強い雑種を作り出すことができます。
ところが、美味しくて病気に強い野菜から種を採っても、次の世代には劣性遺伝が現れる可能性があります。つまり、あまり美味しくなく病気にも弱い野菜の芽が出てくる可能性があります。そうするとせっかく植えても、品質がバラバラになり、効率が悪くなります。農家としては、毎年お金を払うことになっても、JAや種苗メーカーからF1の種を購入する方が、美味しくて病気にも強い野菜をつくり続けることができるというわけです。
ちなみにF1の種は、国内だけでなく、アメリカやカナダ、イタリア、オーストラリアなどで採取されており、海外依存度がかなり高い状況です。
野菜だけは消費期限も賞味期限も明示されていません。その理由は、野菜の場合、自分の目で見て消費期限を判断できるからです。
野菜づくりの状況が、ヘタにはっきりと表れます。ヘタの部分が茶色に変化している場合は、農薬をかけすぎているなど、適切ではない作り方をしたことの動かぬ証拠となります。トマトやナス、イチゴなどヘタのある青果類を買うときには、実の状態とともにヘタの様子にも十分注意が必要です。
JAや種苗メーカーが農家に販売する種は、F1と呼ばれています。F1とはメンデルの法則に基づいた一代雑種のことです。野菜で美味しいけれど病気に弱い系統とあまり美味しくないけれど病気に強い系統があれば、F1はこの2つの系統をかけ合わせることで、美味しくて病気に強い雑種を作り出すことができます。
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