2020年08月29日
【人気】寿司の裏話
蕎麦にしろ、ラーメンにしろ、ピザにしろ、出前は早いにこしたことはありません。すぐ食べたいことに加えて、つくりたてが1番美味しいからです。冷めたピザなどは、食べても全然おいしくありません。蕎麦やラーメンも、出前の途中で道に迷われでもしたら台無しです。
寿司はどうでしょう。寿司は麺類ではないし、もともと温かいものでもありません。寿司なら出前に時間がかかっても、味はそう変わらないのではと思う人もいるかもしれません。しかし、実際には寿司も時間が経てば、どんどん味が落ちていきます。シャリは冷えてかたくなり、巻物は湿気を吸って海苔の切れが悪くなります。それでも、普通に時間内に届けば、店で食べるのとそう変わらない味を楽しめるのは、そこに寿司職人の工夫があるからです。寿司店では出前の寿司を握るとき、店内で出す寿司とは、握り方を微妙に変えています。店内で出す場合は、ギュッと握りますが、出前の場合はふわりと握ります。そうするとある程度時間が経ってからでも、シャリをやわらかく食べることができます。ベテラン職人は、親指の使い方だけで、いくらでも調整ができるのです。
また、柔らかく握られている分、出前の寿司は店内の寿司よりも、見た目が少し大きく見えます。見た目が大きめの寿司が届けば、うれしいでしょう。多少時間が経っても美味しく感じるのは、このことも影響しているからかもしれません。
スーパーやコンビニでも売られている寿司が、寿司職人の手ではなく、機械で握られていることは、誰でも想像がつくでしょう。大きな回転寿司店で、厨房が目につかないところにある場合、寿司ロボットが握っていることが多いです。人間はロボットが握ったシャリにただネタを置いてベルトに乗せるだけです。だが、それではあまりにも味気ないということで、最近は回転寿司でも、目の前で職人が握っている店が増えています。しかし、そういう店でも油断はなりません。一見職人が握っているように見えても、実はロボットが握っているという場合もあるからです。
どういうロボットが潜んでいるかというと、それはおひつ型ロボットです。外見は普通のおひつと変わりませんが、内部構造が異なります。職人が手を入れると、ちょうどいい形に握られたシャリが出てくるという仕組みになっています。これだとまさかおひつ型のロボットが握っているとは気づきません。ロボットが握った寿司というと興醒めするかもしれませんが、味に関する心配は無用です。寿司ロボットは優秀で、シャリの大きさややわらかさを自在に調整できます。ベテランの職人が握ったものと比べても、引けをとらないシャリをつくり上げます。実際のところ、おひつ型ロボットの場合でも、ロボットが握っていることに気づかないようです。むろん、店にとってのロボットのメリットは、その圧倒的な生産性です。なんといっても、ロボットは疲れを知りません。ロボット1体で、ベテラン職人2〜3人分の働きをします。もし、ロボットを使わずにすべてを人手で握ると、寿司の値段は倍になるようなので、お客としてもロボットはありがたい存在です。
店がロボットの存在を隠すのは、お客をだますためではなく、お客の気分を損ねないための雰囲気づくりであり、サービスであると考えた方が、現実的でしょう。
東京の寿司屋には、タイとブリを置かないところがあります。確かに回転寿司でもカウンターの寿司屋でも、東京のほとんどに寿司屋で、タイもブリも食べられますが、超のつく高級寿司屋ほど、タイとブリは置いていません。そういう高級店の腕のたつ職人にとって、東京で手に入るタイとブリは、握りたくないシロモノなのです。腕のたつ職人にとって、タイといえば明石産のことを指します。関西では明石のタイを特別に「魚(うお)」と呼ぶように、まさに魚の王様扱いです。実際明石産の天然のタイは、ほかのタイを口にしたくなくなるほど美味しいです。
ところが、東京の一般的な寿司屋に出回るタイは、実はタイですらないことが多いです。チカダイと呼ばれているアフリカ原産で、ティラピア類に属する熱帯魚の一種です。形と味がタイに近いことから、1962年以来日本に持ち込まれ、さかんに養殖されています。イズミダイとも呼ばれます。
また、アマダイと呼ばれているのは関西ではグジという細長い魚です。刺身にしてもなかなか美味しい魚ですが、タイとは別の種類です。
超高級寿司屋となれば、明石のタイでなければ握りたくないのに、ましてやタイ以外の魚をタイとして握りたくもないわけです。当然仕入れからタイは除外されることになります。
一方、ブリも超高級寿司屋の職人にとっては、金沢の寒ブリを指します。しかし、金沢の旬の寒ブリは、京都の料亭へ行くことはあっても、東京へまわってくることはまずありません。そのため、ブリの仕入れも見合わせることになります。
こうして、東京の超高級寿司屋からは、タイとブリが消えていきます。そこで寿司の主役はおのずとマグロになります。東京には世界中から最高級のマグロが集まっています。もちろん、世界で一番高い値段がつくからです。
寿司店では出前の寿司を握るとき、店内で出す寿司とは、握り方を微妙に変えています。店内で出す場合は、ギュッと握りますが、出前の場合はふわりと握ります。そうするとある程度時間が経ってからでも、シャリをやわらかく食べることができます。
回転寿司で活躍しているのは、おひつ型ロボットです。外見は普通のおひつと変わりませんが、内部構造が異なり、職人が手を入れると、ちょうどいい形に握られたシャリが出てくるという仕組みになっています。味に関する心配は無用で、シャリの大きさややわらかさを自在に調整できます。
超高級寿司屋となれば、タイは明石産、ブリは金沢産です。調達が困難なため、東京の超高級寿司屋からは、タイとブリが消えていきます。そこで寿司の主役はおのずとマグロになります。東京には世界中から最高級のマグロが集まっています。
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