ここは都心のオフィスビルの狭間、、、。
放心状態だった恭亮は抵抗もせず、人気のないこの広場まで二人組について来てしまった。
「おっさん! オレラ今金無くて困ってるからさぁ、小遣いくんない?」
坊主頭にグラサンをかけてる身長170cm位で中太りの方が言った。
この発言を聞いてやっと自分の置かれた状況を把握した恭亮。 実は段々ワクワクしてきていた。
現役を引退しているとはいえ、空手の鍛錬を怠った事はない恭亮、、、。
生まれて初めてのカツアゲに嬉しさすら感じていた。
小さい頃から群を抜いて背が高かった恭亮は周りから一目置かれていた。
そのせいか同級生から喧嘩をふっかけられた事もなく、
大学になって空手を始めるまでは人を殴った事もなかった。
そんな恭亮に『オヤジ狩り』という名のカツアゲが初めて訪れた。
「あのさぁ、オレもお金に余裕なんてないんだよ! 他あたりなよ。」
と、恭亮。
「なんだぁ? さっきトロ6で何等か当てたじゃねーか!」
と、もう片方の筋肉質な男が言った。 コイツは180cmはあるだろう。
「いや、あれはね、、、。 ちっ!」
恭亮は説明が面倒臭くなって舌打ちをした。
「舌打ちなんてしてんじゃねーよ! 早く金出しな、のっぽのひょろいおっさん!」
とグラサン豚小僧が言った。 コイツはさっきからおっさんおっさん煩い。
「あのなぁ、オレはまだ30ちょいだぜ、お兄さんだろ! コラッ!」
敢えてドスの利いた声で恭亮は言った。
コレでたじろぐだろう。
もしかしたら、コレだけでこの災いを回避出来ちゃうかもしれない。残念だが。(苦笑)
「そんな声出したってオレラはビビったりしねーよ!
こっちは痛い目に合わせてから金とったっていーんだぜ!」
と言いながらマッチョ小僧が指をポキポキと鳴らした。
そう簡単に引いてはくれない様だ、、、。
それにしても、今の時代でも指ポッキンを使う若者がいるんですなぁ。 クスッと笑っちまいそうだ。
「別にこっちもお前らが束でかかって来てもいーんだぜ!
痩せてるからってなめんなよ!」
と恭亮。 この時点で臨戦態勢の構えに入った。
「おっ! やる気だぜこのおっさん!」
グラサン豚小僧、両手を広げて驚いた様子。 オーバーリアクションな奴だ。
「やっちまおうぜ!」
「おう!」
マッチョ小僧がグラサン豚小僧にこたえる。
「ボコボコにしたるよ、おっさん!」
今度はグラサン豚小僧まで指をポキポキと鳴らした。
「お前らには出来ないかもしれない。」
恭亮は大好きな漫画の一度は言ってみたかった台詞を言った。
この台詞を言える日が来るなんて、夢にも思わなかった。
(今日は色々とある日だ。)
そう思うも束の間、
奇声を発しながら二人が同時に殴りかかって来た!
「おらぁ〜っ!」 →第九話に続く。
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