「ふぅ。」
夕方の仕事を終えた恭亮。
ランチから帰ってきた後はドキドキして仕事が手につかなかった。
もう既に当選番号は出ているはずだが、
この高揚感をしばらく感じてたいと思った恭亮は、自宅で確認する事にした。
それにしても、これ程の高揚感は空手の全国大会以来、久しく経験してない。
恭亮の現役最後の試合は28歳の12月だった。
全国大会の第一試合目、
対戦相手の正拳突きを肝臓にくらって一瞬ガードを下げた隙に、
上段蹴りを左頬にもらってしまい、失神して倒れた恭亮。
痛烈の一本負けを喫し、引退を決意した。
・・・帰宅準備を済ませた恭亮は、
いつもの様に高額当選したらお金を何にどう使うのかを想像しながら帰路につくのだった。
自宅に着いた恭亮はすぐさまパソコンに電源を入れた。
トロ6抽選結果のページは【お気に入り】に登録してあるので、
数回のクリックで当選番号が分かる、、、。
恭亮は鞄にしまって置いた抽選券を取り出した。
五口までが一枚の抽選券にまとめられている為、合計20枚もの抽選券だ。
これを全てチェックするのは、、、「めんどくせぇ〜っ!」
声に出してしまう位面倒に感じた恭亮は、
明日の昼休みに宝くじ売り場で当選確認をすれば良いと思った。
(あそこなら機械を使えば一瞬で当選してるか否かが調べられるハズ、、、。)
翌日の昼休み、、、。
恭亮は多少息を切らしながら、この見慣れぬ宝くじ売り場にやって来た。
先日購入した宝くじ売り場を敢えて避けたところ、相当歩くハメになってしまった。
汗っかきでもある恭亮。 かなりの汗だくだ。
前に二人並んでいたので、その後ろへと並んだ。
すぐに恭亮の後ろにも大学生位の男性二人が並んだので、良いタイミングで並べた様だ。
数十秒待ったのち、恭亮に順番がまわって来た。
「すみません、コレお願いします。」
恭亮は購入する時と全く同じ台詞を言って、抽選券20枚を差し出した。
すると宝くじのお姉さんは「かしこまりました!」と言い、機械に抽選券を入れてゆく。
「あっ! 一口4等が当たってますね!おめでとうございます!」
「あと、5等が二口当たってますので、4等の当選額の九千四百円と合わせまして、
合計一万千四百円のお渡しとなります。」
恭亮は嬉しいのか悲しいのかも分からないまま、その金額と明細書を受け取った。
その様子を後ろで見ていた二人は何やらコソコソと会話をしている。
どうやら二人は友達同士の様だ。
「どうも。」
そう言ってその二人に場所を譲ろうとしたが、
何故か二人は宝くじの購入を止めたらしく、何も言わずに向こうへ行ってしまった。
大して気にも留めず、続いて恭亮も宝くじ売り場を後にした。
まだ頭が真っ白だ。 何も考えてずにボーっと歩き続ける。。。
しばらくそのまま歩いていたら、
後ろに気配を感じたので振りかえると、先程後ろに並んでいた二人組が居た。
「おっさん! ちょっとそこの広場まで顔貸してくんない?」 →第八話に続く。
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