2016年07月23日
介護士がやってしまいがちな声かけ忘れの原因
介護の声かけの難しさはどこにあるのか
「入居者と関わる際には、何をするにもまずは声をかけてから行うようにしましょう。」
現在介護士として働かれている方も、スクールや職場などで介護指導の担当者などから、そう教わった方も多いと思います。
しかし実際に現場で働いていると、これがなかなか難しいなと感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は、声かけの重要性とともに介護士さんが陥りがちな「介護の恐い一面」についてお伝えしていきます。
入居者に声をかける場面は意外と多い
入居者に声をかける場面にはどのようなものがあるのかというと、以下が挙げられます。
・入居者の居室へ入るとき(「失礼します」など)
・入居者の居室を出るとき(「失礼しました」など)
・介助に入る前(「これから〇〇をします、よろしいでしょうか」など)
・介助中(「〇〇しますね、横を向いてください」など)
・介助後(「どこか気になるところはございませんか」など)
・レクリエーションのとき(レク中の談話など)
・普段からのコミュニケーション(挨拶、体調を伺う、傾聴など)
1日を通してみてみると、本当に多くの場面で入居者に声をかけるタイミングというものはあります。仕事中に1度も入居者に声をかけない日というのはないでしょう。
私たち介護士は、入居者の日常生活のお世話をするのが主な仕事ですから、必ずどこかの場面では入居者と顔を合わせて声をかけるのが普通です。
生活のお世話をするのも介護の一環ですから、上に挙げたものの他にも、洗濯物を居室に届けてタンスに直す際や、居室の清掃やベッドメイクをするなどの、入居者と直接的には関わらないような場合でも、必ず声をかけてご本人の了解を得てから行うようにするのが基本です。
しかし、最初はきちんと声をかけてから入居者の介護や日常生活上のお世話などを行っていた介護士さんでも、段々と慣れてくると声かけを忘れがちになることが増えてきます。
その原因はどこにあるのでしょうか?
声かけを忘れがちになる大きな原因とは
介護という仕事に慣れてくると、声かけを忘れてしまうことが多くなる原因はいくつかありますが、その最も大きな原因について分かりやすくお伝えしていきます。
それは、介護士が上から目線になってしまうというものです。
介護の仕事というものは、「介護される側」と「介護する側」がいてこそ成り立つ仕事です。しかし介護される側の立場である入居者は、常に「お世話をしてもらっている」「迷惑をかけている」などの理由から、介護する側の介護士に対して感謝の念を抱く方が少なくありません。
「ありがとうございます」
「ご迷惑をおかけします」
と、入居者に言われたことのある介護士さんは多いでしょう。
本来であれば、介護もサービス事業ですから介護される側の入居者は「お客様」であって、介護する側の介護士は「従業員」です。
たとえお礼を言われても、それはサービスに対するお礼でなければならないはずです。
しかし、お金を払ってサービスを利用している立場であるにも関わらず、入居者は上述したような「お世話をしてもらっている、迷惑をかけている」という気持ちから、感謝の言葉をサービスではなく介護士個人に向けておっしゃってくださる方がほとんどです。
そのようなことが続くうちに、本来のお互いの立場というものに逆転が起こり、自分の立場を勘違いしてしまっている上から目線の介護士が多くなってしまうのです。
「自分は介護してやっている、お世話してやっている」
そのように入居者に対して思っている介護士さんがいるとすれば、それが大きな間違いであるというのは言うまでもありません。
同時に、そのような姿勢で仕事をしていることを入居者は見抜きます。
特に認知症の方の中にはそのような横柄な態度に敏感な方も多いため、興奮することが多くなったり、落ち着きが無くなったりするなどのケースも多くなります。
これを読まれている方の中にも、入居者に上から目線で接していたり、モノを言ったりしている介護士さんがいるのではないでしょうか?
もしそうでなくとも、周りにそのような介護士さんがいれば、一度お互いの本来の立場というものを見つめ直す機会を作ってもらえればと思います。
声かけの重要性を分かっているのにやらない介護士も多い
介護を始めたばかりの頃は誰もが、時間をかけすぎるぐらいひとつひとつ丁寧な声かけをしています。
そして介護の仕事に慣れた後でも、入居したばかりで初めて関わる入居者がいる場合には、どのような反応をされるか分からないため、きちんと声かけが出来ています。
声かけが大切なのを理解はしているということですね。
まずは友好的な信頼関係を築くためにも、声かけが必要な手段だとわかっているからです。
しかし、そのような方の介護にも慣れてきて関係構築ができてくると、他の業務のこともあるからと、また効率的に仕事をするようになります。そこで、段々と声かけの頻度が少なくなっていくのです。
必要な声かけ以外はしなくなる、と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
これは声かけが大切なのは理解しているにも関わらず、上から目線で入居者に接するようになってしまっている介護士さんには、特によくみかける行動のひとつです。
こうなってくると、その後の声かけの頻度はその介護士さんの気分次第ということになってきます。
時間にゆとりのあるときはご本人の目の前に行って笑いかけたりするのに、忙しいときには険しい顔をして声もかけずにタンスに洋服を直したりするようになります。
廊下をすれ違うときでも、ニコリともせず入居者のすぐ横をさっと通り過ぎていく介護士さんもいます。
会釈をしようとしている入居者にもまるで気づくことはありません。
このような場面を、実際の介護現場で起こっているところを見かけると、やはり介護士の接し方について疑問を持たずにはいられません。
上から目線になっていることで起こる弊害と、それを防ぐ方法とは
介護サービスを受けている方はお金を払っているのにもかかわらず、さらに介護士個人へ感謝の気持ちを伝えたり会釈までしてくださいます。
サービスを提供する側が無視して横を通り過ぎるなんてことは、普通に考えてもおかしいと思いませんか?
これが介護の世界に昔からある、上から目線の介護士によるサービスの弊害です。
介護の世界では昔から、このようなことが続いています。
ですがこういう問題は、あまり表に出てくることはありません。
会議でも声かけの口調については議題として出ても、その議論の中で「すれ違うときに声をかけましょう」とか、「会釈をしましょう」などといったことが意見として出ることはほとんどないと思います。
ではその弊害を作る原因とは、介護サービスのどこにあるのでしょうか?
それは、昔ながらの介護の風潮や、周りの介護士さんも同じようにやっていること、そういうことに慣れてしまってまったく気づけなくなっていることが原因として考えられると思います。
たとえ入職したばかりの頃に「おや?これはおかしいぞ」と感じたとしても、周りに流されやすいのが人の常です。最初は気を遣って会釈や声かけをしていても、いつの間にか周りの介護士さんと同じような対応をしてしまうということになりがちになります。
本来であれば、このような原因にはリーダーや他の上司が気づいて改善していかなければなりません。
そして介護士さんも、声を大にして「こんなのおかしいですよ!」と言わなければなりません。
変に周りの介護士さんとの人間関係を大切にしてしまうと、いつまで経っても何も変わらないといった風潮が続くということになります。
誰かから始めないといけません。
介護する側とされる側の関係を、本来あるべき関係に戻すためには、介護士さんの気づきと、気づいたあとの勇気ある行動が必要です。
まずは自分の仕事ぶりを振り返ってみることから始めてみましょう。
それが最初の小さな一歩につながると信じて、違いの分かる介護士さんであってほしいと思います。
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