2015年11月25日
超初心者向け知的財産のお話 その22
かえるくんです
前回は不正競争防止法の概要のお話でした。
結構、知的財産管理技能検定でも出題される分野です。
改めて
産業財産権各法と不正競争防止法の違いについて簡単に言いますと
産業財産権各法は「権利化」によって守る役割を果たしますが、一方
不正競争防止法は「行為を規制する」ことで守る役割を果たします。
不正競争防止法は英語で
Unfair Competition Prevention Act といいます。
まさに Act 行為 を規制します。
では侵害者から被害を受けた場合はどのような賠償を求めることができる
でしょうか。ざっくり、以下のようなことを侵害者に請求できます。
差止請求権(3条1項)
不正競争行為によって営業上の利益を侵害される(おそれのある)
者が、侵害の停止又は予防を請求できます。
廃棄除去請求権(3条2項)
侵害行為を構成した物や侵害行為によって生じた物の廃棄、侵害
行為に供した設備の除却を請求できます。
信用回復措置(7条)
営業上の信用を害された者は、侵害した者に対して、謝罪広告や
取引先への謝罪文発送など信用の回復に必要な措置を取らせる
ことができます。
損害賠償請求(4条)
文字通り損害賠償できます。損害額の推定は規定によりを定めら
れています。
ここで不正競争防止法が日本の法律と何処で接点を持つか
ざーっと、見てみます(経済産業省知的財産政策室資料より)。
民法との関係:不法行為法の特別法
民法第709条 → 不法行為による損害賠償請求権
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を
侵害した者は、 これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
不正競争防止法 → 差止請求権の法定
知的財産法との関係:知的財産法の一環
「不正競争」に該当する行為の規制(=行為規制)により知的財産
の保護等を図る
刑法・刑事訴訟法との関係:贈賄及び営業秘密にかかる不正行為
の処罰による補完など
営業秘密侵害罪に係る刑事訴訟手続の特例
独占禁止法等との関係:競争秩序維持の一翼
独占禁止法‥「公正かつ自由な」競争秩序の維持
民法・知的財産法が不正競争防止法と深いかかわりをもっているのは、
当然ですが刑法・刑事訴訟法や独占禁止法とも深く関わってきます。
実際、刑事罰として営業秘密侵害罪が確定した場合、10年以上の
懲役もしくは千万円以下の罰金に処し、また併科されます(平成27年度
から増額)。また両罰規定が適用され企業が加害企業と認められると
平成27年度から5億円を上限とした罰金が科されます。
結構な金額です・・・
独占禁止法については産業財産権各法の行使については適用されません
が不公正な取引方法という部分などで関わってきます。
詳細は後日、お話します。
今日はもう少し、話を営業秘密に戻してお話します。
特許など権利化する判断と営業秘密にする判断の使い分けについてですが
特許など権利化がベターなケースは
@製品の外観・構造→分解して公知になる
A分析可能な物質→分析すれば公知
Bソフトウェア→リバースエンジニアリングで公知
※リバースエンジニアリングは製品等を分解して調べること
C一般的な方法の発明→実施行為により方法が判明
Dクロスライセンスする発明
※企業どうして互いの特許を無料で使う契約
E他社が近いうち到達可能な技術
こんなケースは権利化したほうがよいですよね
逆に営業秘密による秘匿化がベターなケース
@製造方法、工程や温度・時間→分解しても知られません
A分析が困難な物質
B個別発注による産業用装置→装置はユーザーだけが所持
C機器制御ソフトウェア→リバースエンジニアリングが困難
D金型図面など→製品からの分析が困難
E他社が到達するのに何年もかかる技術
さきほどの逆パターンですね。
バレやすかったり、すぐに追いつかれる技術は権利化
その逆は営業秘密による秘匿化・・・簡単に言えばそうなります。
さて、これで知的財産のお話が1周しました。骨格的なお話はできた
と思います。ですが、これではガイコツです。
絵文字が不適切ですみません
これから肉付けをして、全体像が見えるようにします。
正直、知的財産管理技能検定の合格はこれだけ(1周分)では厳しいです。
次回からは2周目に入ります。全部で何周するかは、未定ですが
肉付けが終わったら、服を着せて、便利なアイテムも持たせようと
おもいますのでよろしくお願いします。
次回は特許の話に戻ります。
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