2020年08月20日
アンゾフの成長ベクトルって? ★成長についての考察★
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成長って言葉、良いですよね。
なんとなく自分がエラくなれる様な気がして。
スポーツとかに打ち込んだ事のある人は、例えば「100m泳げるようになる」とか、「県大会で優勝出来る様になる」なんて言うのが成長でしょうか?
とにかく自分を成長させる事が出来れば、最終的に名誉や名声などを手に入れる事も出来、ひいては将来を約束されるなんて事もあるやもしれません。
これは会社についても同じ様な事が言えます。
お店や会社にとって、売上を伸ばしたりシェアを拡大したりする事は、これから先どれだけ安定した利益を得続けられるか大事な問題です。
会社をいかに成長させてゆくか?
この会社の成長を計るために欠かす事が出来ないのが「アンゾフの成長ベクトル」と言う手法なのです。
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「アンゾフの成長ベクトル」とはいったいナニモノなのでしょう?
「アンゾフの成長マトリックス」とも呼ばれ、イゴール・アンゾフというアメリカの学者が提唱した経済手法の事です。
会社には販売すべき「製品」や「サービス」とその売り先である「市場」がありますね。
この「製品」と「市場」について、それぞれの「新規」と「既存」を考えてみます。
「既存の製品」と言ったら今まで販売してきた製品そのままです。
これに対して「新規の製品」と言ったら、今までのものとは違い、新たに開発する製品のことですね。
同様に「新規の市場」と言ったら今まで販売してきた市場とは違った新しい分野の市場のことです。
これから事業を効率よく成長させるには、今持っている「既存の製品」を「既存の市場」に売るのが良い」のか、「既存の製品」を「新規の市場」に売り込んだ方が良いのか検討して行くわけですね。
★既存の製品を既存の市場に販売する
★新規の製品を既存の市場に販売する
★既存の製品を新規の市場に販売する
★新規の製品を新規の市場に販売する
と4つの方向性があるわけです。
それぞれの方向性が事業を展開する上での「戦略」で、名前もついています。
順に名前をあげて、説明して行きましょう。
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★ 「市場浸透戦略」
(既存の製品を既存の市場に販売する)
既存の顧客に対して、既存の製品をもっと買ってもらうための方法を考えます。
既存製品や既存市場の特性を良く洗い出し、効果的な広告宣伝を行ったり、キャンペーン価格を導入したりと、マーケティング的な手法を検討して効果を上げようとする戦略です。
★「新製品開発戦略」
(新規の製品を既存の市場に販売する)
既存の顧客に対して、新たな製品を投入する戦略です。顧客が何を欲しているか充分に調査し、相手を満足させる性能・価格を実現させる事が大切です。既存顧客の満足度を上げて関係性を深めてゆく必要があります。
★「新市場開拓戦略」
(既存の製品を新規の市場に販売する)
新規の顧客に既存の製品を購入してもらう方法を考えます。製品の持つ可能性を見極め、どの様な市場に生かせるか的確に見極める目が必要となります。もとは心臓の薬だったものを応用してほかの用途向けに販売し、爆発的に売れた例があります。「バイアグラ」です。
★「多角化戦略」
(新規の製品を新規の市場に販売する)
新規の顧客に新規の製品を投入していくため、初めて事業を立ち上げた時同様に大きなエネルギーが必要となり、リスクも高くなります。
一方で戦略が持つ可能性が最も大きいのもこの場合で、リターンも大きくなります。
また、少しでもエネルギーを低く抑え、また事業効果を上げるために、既存製品で利用できる部品、生産ライン、販促経路などを流用する工夫が必要です。
共通部品を利用すれば生産コストが低く抑えられますし、同じ販促経路に乗れば抱き合わせキャンペーンなどで何倍もの売上を上げる事が出来るかもしれません。
「シナジー」って言う言葉を聞いた事があるかもしれませんが、それがこの事です。
日本語に訳すと「相乗効果」ですね。
ふむふむ…、事業を成長させようとすると新規と既存の両面から検討してみればいいのね。
でもそれって当たり前じゃないの?
製品と市場については当然考えているし、新製品や新市場に目を向ける大切さはみんな知ってんじゃん。
今更「戦略」とかって言うほどのもんかなー?
本当に効果あるの?
などと言う意見もあるかもしれません。
言いたくなる気持ちもわかります。
それでは具体的に、ひとつの会社を想定して考えてみましょう。
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そこそこ販売実績がありますが、どうも業績が伸び悩んでいる会社があります。
そこで社長は考えました。
「これではいかん、新しい市場と新しい製品に目を向けてみよう。来月から新製品開発プロジェクトと新市場開拓プロジェクトの二つを立ち上げよう。営業と工場からそれぞれ優秀な人材を集めて両面から攻める。もちろん既存の製品も売れ行きを伸ばせないか、販促方法を考えてくれ。上手くすれば業績倍増も可能かもしれない…。」
と、社長は気合いっぱいで指示を飛ばします。
市場開発プロジェクトと製品開発プロジェクト。
なんかモチベーションが上がって、会社の業績もアップしてゆきそうな感じがしてきました。
でもこれ、ダメな例です。
全ての方向に向けて力を分散し、検討を進めてゆくのは最も効率が悪い方法です。
まずプロジェクトを立ち上げても、出来ることはたかが知れています。
課長クラスが10人ほど集まり頭を振り絞ったところで、びっくりする様な製品が出来たり画期的な市場が見つけ出せるとは思えません。
せいぜいが現状調査の延長線上で終わってしまうでしょう。
また優秀な人材をプロジェクトに抜かれてしまうと、現場の競争力が落ち、そこそこ売れていた既存製品の売り上げまで落ちてしまうかも知れません。
これではいけませんね。
必要なのは全社一丸となって「方向性を決める事」です。
まずは自社の持っている製品の可能性を、責任ある立場の人間の立ち合いのもとで充分に突き詰め、どの方向に舵を取るのかしっかりと決めてゆく事こそが成功の鍵なのです。
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少し前カメラ女子がはやりましたが、そのデジタルカメラを例にとって考えてみましょう。
一口にデジタルカメラと言っても、「画像が綺麗」「暗闇でも映る」「簡単で面白い画像加工が出来る」「バッテリーが長持ちする」「素早く立ち上がりシャッターチャンスを逃がさない」「Instagramに簡単にあげられる為のワイヤレス伝送機能がついている」…など、製品の持つ要素は数えきれないほどあるのです。
それらの要素を徹底的に洗い出して、どの要素が市場の中で求められているのか分析するところから始め、他の市場で有効にその強みを活かせると判断できた場合は、「新規市場の開拓」戦略をとります。
「バッテリーの持ち」や「立ち上がりの速さ」などの技術がカメラとは全然違った他の分野に活かせると考えられたら、それを使った新しい製品を立ち上げる「新製品開発」戦略に進むべきでしょう。
また、これらの要素にまだまだ伸びしろがありそれを伸ばすことが売上向上につながる最良の方法と考えられた場合は、既存の方向性に徹底的に販促する「市場浸透戦略」に進むべきと言えます。
この様に徹底した現状分析の結果、会社の進むべき方向性をしっかりと決めるのが何より大切なわけですね。
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そして世の中全般の環境変化に目を向けると言うのも重要な事です。
カメラの世界では最近、なんとインスタントカメラ「写ルンです」が再流行しています。
女子高生が「エモる〜」とか言ってウケているらしいですか、少し前には誰も予想していなかったリバイバルヒットですね!
もしも、写ルンです以上に「エモり」そうな製品のアイデアがあったら、それを立ち上げて新しい市場に売り込む「多角化戦略」を取るのも良いかもしれません。
しかしその「多角化戦略」にはリスクがつきものです。
エモりやレトロの流行が一気に収束した場合、全く売れない製品が残り、大打撃を食ってしまいますからね。
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如何でしたでしょうか?
「製品」「市場」を「既存」「新規」の方向性で戦略立ててゆく「アンゾフの成長ベクトル」。
企業や事業の成長性を見極めるための、大事な着眼点だと言うことが良くわかりますね!
しかもそれを、しっかりと方向性を見極める為に使わなければ意味がないと言う事も重要です。
水泳の北島康介が「背泳ぎ」が苦手(かどうか定かではありませんが)だったとして、「背泳ぎ」の練習ばかりしていたら、「平泳ぎ」で金メダルは取れなかったかも知れませんものね。
「平泳ぎ」の成長性を見極めた結果、その方向に突き進んだために成功した例と言えるでしょう。
何事についても、しっかりと方向性を見極めて、大きな成長に繋げてゆきたいものですね。
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