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2016年06月14日

フェロモンを使った蟻の交信方法


 蟻(あり)は好きな生き物の一つです。子供の頃は庭の蟻を、時間を忘れて観察することを頻繁(ひんぱん)にしていました。今でも、蟻を見ると熱中してしまう程です。

蟻は、頭とお腹と胸の一部が膨らんでいて、つなぎ目のくびれはとてもシャープです。長くて細い足をちょこまか動かして、いつも動き回っています。あの特徴的な形と動きは、蟻の大きな魅力です。

でも蟻と蜂(はち)の形は似ています。蜂に羽がなければ蟻のようにも見えます。調べてみると、生物学的な分類では、蟻は、あの獰猛(どうもう)なスズメバチに近い種類でした。

そうはいっても、日本にいる蟻は、蜂(はち)のように毒針で刺(さ)すこともなく、たとえ噛(か)まれてもたいしたことはないため安全です。

そして、怪獣映画のロボットのような顔をしています。まさに子供達の友達といっても良い存在です。

蟻を観察していると、虫の死骸(しがい)や道に落ちた飴(あめ)などに群がることがあります。そして、巣まで行き交う蟻で行列ができます。

普段は一匹でばらばらに庭を歩き回っている蟻が、食べ物などを見つけた時に、どのようにして仲間に連絡しているのでしょうか。考えてみると不思議です。

そこで、仲間への連絡方法を調べてみました。

まず、えさを見つけた蟻は、えさの一部を口にくわえて巣に持ち帰ります。巣に帰る途中で、腹にある分泌線から、においを地面につけながら歩きます。

これはフェロモンの一種で、そこに戻るための目印と、付近にいる仲間への連絡を兼ねています。
仲間の蟻は、このにおいをたどって、えさまでたどり着くことができます。

仲間の蟻は、えさにたどり着くと同じようにして、えさをくわえて巣まで持ち帰ります。その道中でにおいを付けて歩くので、さらに仲間の蟻が増えていきます。そして、徐々に、えさと巣の間に大行列ができ上がります。

このフェロモンは、揮発性(きはつせい)のため数分でなくなります。そのため、えさがなくなると目印もなくなって行列は直ぐに消失します。

蟻の情報連絡は、このようなフェロモンで行っていました。

世界的にみるとかなり凶暴(きょうぼう)な蟻もいるようですが、日本にいる蟻は親しみやすい昆虫です。

蟻を見ていると、不思議なことに他のことは何も考えられなくなります。私にとって蟻は、はりつめた気持ちをほぐしてくれる仲間です。これからも機会を見つけて蟻を観察しようと思います。
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