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2016年05月21日

月のミステリー 不思議な発光現象(2)

 前回に引き続いて、NHK BSのコズミックフロントNEXTという番組で放送された、月の発光現象について紹介します。これは、色々な原因がある中でも最も驚かされたもので、特定のクレータで発光するという現象です。

これは、1969年にアポロ11号の月面着陸の前に、ドイツの天文台で確認されました。その情報を聞いたアポロ11号の飛行士も目撃しています。

ドイツの天文台は、アポロ11号の月面着陸に際して、NASAからの要請を受けて、米国で月が見えない時間帯に月を監視していました。その時に、アリスタルコスというクレータ発光現象が発生しました。

それは、月面着陸の27時間前の出来事で、アポロ11号は月の軌道に乗った直後でした。その情報を得たアポロ11号の飛行士も肉眼で、青白い光を確認し、窓から見えるクレータは間違いなく他の場所より明るいと報告しています。

この時は、写真撮影はできませんでしたが、NASAは、その後、詳しい調査を行い「アリスタルコス」付近にラドン222というガスがあることをつきとめます。

ラドンはウラン系列の放射性物質で、ウランが崩壊(ほうかい)する時にできる物質です。但し、発光現象との関係は判らないため、実験で確認することにしました。

実際の実験では、安全に扱うことのできるアルゴンガスで行っています。

実験では、アルゴンガスに太陽光の電子を加えることで発光現象が確認され、ラドンガスでも同様に発光することが判りました。

《「アリスタルコス」にラドンガスが集中している理由》
この理由は、次のような推定で説明していました。

およそ、43億年前に直径200kmの小惑星が、月の裏側に衝突しました。その衝撃波は月の表側まで届いて、「ひび」を作りました。この「ひび」は円形に広がっていて「アリスタルコス」の周囲にもあります。

月の内部にはウランの鉱床(こうしょう)があると推定されていますが、衝撃波でできた「ひび」を通して、時折、ラドンガスが噴出します。

ラドンガスは、太陽光があたることで発光します。そして、ラドンガスが噴出する時には、レゴリスという砂埃も舞い上げます。そして、レゴリスも太陽光でキラキラと光ります

これが「アリスタルコス」のような特定のクレータで発光現象が発生している原因の推定です。

月にある特定のクレータから、時折、光が放出されていると想像してみてください。とても信じられない光景です。実際に発光しているところを観てみたいです。
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