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人材難の時代へ(後編)

 今回は、3つについて述べます。

 1つは、企業にとって、どのように人材を確保していくかです。

 以前、最低賃金引き上げについてテレビで取り上げていました。
 その番組では、「最低賃金の引き上げは、最低賃金水準で働く労働者にとっては良いことだが、企業には経営に悪影響を与えるので歓迎されない」というストーリーをもとに取材をす進めていたようでした。
 狙いを中小企業に定め、ある製造業の企業に「最低賃金の引き上げは困るのではないのですか」と質問しました。
 企業の方は「うちの会社は技術が売り物であり、腕の良い職人を集めるのに最低賃金では誰も来ない。最低賃金が上がろうが影響はない」と答えていました。

 前編のとおり、人材確保は、徐々に難しくなっていきます。
 企業としては、待遇面を含め働きやすい環境を追求しながら丁寧に人材確保活動を行い、就職してくれた人材には長く勤めてもらうよう、工夫をすべきです。

 通年雇用がある一方で、例えば畑での農作業は冬期間はできないように、毎年一定の時期に雇用したいという企業もあると思います。
 この場合、同じ方が来てくれた方が望ましいと思います。
 賃金、仕事内容、職場環境などを含めて、「全体として来年もここで働きたい」と思ってもらえることが重要です。

 賃金は重要な要素ですが、通勤手当なども含めて、「(賃金が違うのは別として)正規職員と同じように扱ってもらっている」と思われることが理想的です。

 2つは、行政等が行う求職者支援活動についてです。

 一般には、パソコン実務とか、各種資格取得などが思いつきます。
 これについては、丁寧に幅広く行うことが必要です。

 特に、これまで「職場教育」を受ける機会に恵まれなかった人に対しては、より強力にすすめるべきです。
 例えば、協力してくれる企業を募集し、一定期間(半年程度)、インターンシップのように働いてもらう方法はどうでしょうか。

 集合研修の後、半年間働いて、再度集合研修を行い、別の企業で半年間働いて、再度集合研修を行う。集合研修の際には、お互いの経験を共有したり、意見交換を行って、自分の目指す方向を固め、必要な技術等を習得していくという流れです。
 協力企業には、一定の助成金などを交付するとともに、行政等がどのような支援施策に取り組んでいけば良いかについて助言をお願いするのです。

 これらの取り組みで、「職場教育人間」を増やしていくことは、本人にとっても企業や社会にとっても大きなプラスになります。

 3つは、行政による非正規職員の待遇改善への取り組みです。

 最低賃金の引き上げはもちろんですが、賃金以外についてできるだけ正規職員との違いを少なくしていくことが重要です。

 例えば、通勤については、正規・非正規を問わず共通しているのですが、通勤手当には大きな違いがある企業もあると思います。
 通勤における持ち出しを無くすだけでも、実質的な手取り増につながります。

 賃金水準については、企業経営への影響も大きいですが、例えば「(一定の算定基準を定めた上で)正規職員と非正規職員の賃金水準の基準」を設ける方法もあるのではないでしょうか。
 基準の取り方は難しいですが、非正規職員の賃金は正規職員の××%を下回ってはならないというような感じです。
 この方法だと、一律的な最低賃金にかかわらず、賃金水準の高い企業では非正規職員の賃金水準も高くなります。

 これも難しいのですが、非正規職員の待遇改善に取り組んでいる企業に対して、行政としての(助成金以外の)支援策があると良いと思います。

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