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はぴせ
元会社員の後期高齡者。自称平均的な日本人。札幌市出身、東京都在住。「心と体の健康維持・増進」を願い、求める極意は「自然体」で「頑張りすぎない程度に頑張って」日々を暮らすこと。
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2015年02月22日
A431・医療法人の介護虐待を責めるだけでは片手落ち!?
「東京北区のシニアマンションで、入居者を日常的にベッドに縛り付けるなど高齢者虐待防止法で禁じられた虐待を行っているとして、北区は介護サービスを提供している事業所を運営する医療法人に改善計画書を提出するよう求めた」と、新聞、テレビが一斉に報じました(2月18日〜)。御覧になった方も多いと思います。

医療法人に理不尽な行為がある時は、それはそれとして厳しく責められるべきは当然ですが、単に拘束を止めさせるだけなのだろうか?が気になります。
「医療法人が拘束を止めるだけで認知症介護の問題は解決に前進するのだろうか?」
「行政も、報道も、問題の本質と向き合っているのだろうか?」
第一感、こんなことが気になります。

契約がどうなっているのか?どの様な実状なのか?を自分で確かめもせずに、批判がましいことを言うのは不適切とも思いますが、理解不足、誤解があるかもしれないことをご容赦願って、思うままを書き出してみます。

問題点1
入居者と医療法人との介護契約はどうなっているのか?が報道には見られません。
24時間介護を医療法人が行うという契約ならば医療法人の非を責めるのも理があるでしょうが、1日の回数と時間を限ってのサービス契約ならば話は異なるはずです。
(介護サービス金額が安い低い場合は、実質的には後者に類すると解されることが多いのではないかと勝手に推測します)

実際に認知症介護を体験した人ならば誰でもが骨身にしみていることでしょうが、被介護者はベッドに縛り付けられるなどの拘束には激しく抵抗します。ベッドに柵を設けることにも抗議します。
要介護度5か4の患者でもベッドから落ちたり、徘徊したりします。汚物を掴み、身辺を汚しまわったりもします。

「家に帰りたい!帰してくれ!」と患者は繰り返し、
「あの言葉が耳から離れない!」「あの様子が忘れられない!」
「希望をかなえてやれなかったことの自責に何時までも悩まされる」と、見送って何年も経った家族が話します。

自宅介護出来る家族なら出来るだけ希望に沿う様に努めますが、先の見えない介護の毎日で家族は心身ともに疲弊し、体調を崩したりします。
訪問介護は主治医、看護士、看護ヘルパーのチームで行われますが、この看護士さんから「家族のケアも私たちの仕事ですから、体調異変は何でもすぐに話してください」と言われもします。自宅介護での家族の体調異変が多く見られることが伺えます。

多くの家庭では自宅介護出来ない状況にあり、無理を重ねると介護者・家族の生活、人生の破滅につながります。
一人住まいの患者を含めて、こんな追い詰められた人々が何百万人もいるのが、認知症介護の現状のはずです。

法律に基づいて改善指示(拘束解除)するのは、目先の不合理をとりあえず正す策として有効でしょうが、
「拘束を外したら当然起こるであろう不都合、事故を誰がどう防ぐのか?!」
が行政からも、報道陣からも伝わってきません。
「医療法人がこの種サービスから撤退したらどうするつもりなのか?」
の解説があって欲しいと願うのです。これが問1です。

問題点2
介護の認定施設がひどく不足していて、民間の豪華な施設新設が相次いでいるようですが、高価で、並みの家族では経済的に負担が大きすぎるのは誰の目にも明らかです。
病院などでは期限を切って退去させられ、次の行き先を探すのが家族の共通の悩みであり、いき詰まっているのが現状のはずです。

「経済的負担が軽く、預かっててもらえるところ」という願いに応じて「高齢者(シニア)向けマンション」なるものが急増していると理解しています。(正しい理解とは言えないかもしれません。)

一般的には「入居者がマンション業者と賃貸契約を結び、同時に医療法人と介護契約を結んでいる」と聞きますが、(当然マンション業者と医療法人とは介護サービスの供給について契約あるのでしょうが)
この度問題のケースではどうなのか?
どの様な内容の介護契約が結ばれているのか?
が気になります。

報道の内容から察すると、江戸川区は「医療法人が契約遂行のコストを抑えるために不法に患者を拘束したと認定した」と思われます。

「24時間介護サービスを徹底する」という契約なら医療法人、契約内容次第ではマンション業者を調査すべきでしょうが、
「1日のサービス回数と時間限定」の介護サービス契約なら医療法人と家族の問題であって、在宅介護と同じ扱いになる訳で、単に医療法人だけの問題ではなくなるのでは?

繰り返しになりますが、「悪」は「悪」として行政の権限で厳しく監視し、罰していただくのは当然ですが、行政のなすべき仕事はこれにとどまらず、認知症介護という社会問題の本質に対処する為の全体計画をかかげ、その一環としてのこの度のような権限行使であって欲しいのです。

介護問題の本質、ポイントとして
(1)被介護者への配慮を優先するか
(2)家族の健康な人生を維持することを優先するか
について軸足をどこに置くか、行政としての考えを明示して欲しいのです。

単純に二者択一出来るような問題でないことは言うまでもありませんが、この度の行政措置とその報道からは、根本的な対応への考えを伺うことが出来ません。(たまたま報道されなかったのかもしれません)

「法律」を言い逃れの材料にするのではなく、市区町村行政の担当者として「自分はこの様な考えで行なう」との意思表示をして頂きたいのです。

東京23区のなかで江戸川区は高齢化率が最も高く、医療・介護難民と呼ばれる高齢者が急増していると聞きます。
「当該行政機関としての上記根本的な対応への考えや如何に?」が問2です。

かなり先進的であるとも伺っています。区の介護の考え、施策の実状などを開示いただけると、同じ悩みを持つ他の市区町村や、心身ともに疲れ切っている家族も注目し、「認知症介護のあり方」についての社会的な同意を形作っていくために、大きな推進力になると思うのです。
如何でしょうか?

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