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2018年08月01日

To make a database of Jingoro Sahashi of Ogai Mori and its deviation 9

◆ Scene 3 To avenge

Table 3

Original sentence/translation
澄み切った月が、暗く濁った燭の火に打ち勝って、座敷はいちめんに青みがかった光りを浴びている。
A full moon lit up the darkness and a candle filled the room with a shimmering blue light.
A1 B2 C2 D2
どこか近くで鳴く蟋蟀の声が、笛の音にまじって聞こえる。甘利は瞼が重くなった。たちまち笛の音がとぎれた。
The crickets were chirping. When Amari closed his eyes, then the chirping stopped.
A2 B1 C2 D2
「申し。お寒うはござりませぬか」笛を置いた若衆の左の手が、仰向けになっている甘利の左の胸を軽く押えた。
“Excuse me. Aren’t you cold?” The left hand of Jingoro pressed the left breast of Amari lightly.
A1 B1 C2 D2
ちょうど浅葱色の袷に紋の染め抜いてある辺である。
Amari was wearing an emerald blue kimono and Jingoro touched the emblem.
A1 B2 C2 D2
甘利は夢現(ゆめうつつ)の境に、くつろいだ襟を直してくれるのだなと思った。
Amari dreamed that Jingoro fixed his collar.
A1 B1 C2 D2
それと同時に氷のように冷たい物が、たった今平手がさわったと思うところから、胸の底深く染み込んだ。
A cold feeling like ice came up from the bottom of his breast from where Jingoro put his hand.
A1 B1 C2 D2
何とも知れぬ温い物が逆に胸から咽へのぼった。甘利は気が遠くなった。
Then a warm feeling beyond words rose from his breast to his throat. Amari felt overwhelmed.
A1 B1 C2 D1
三河勢の手に余った甘利をたやすく討ち果たして、髻(もとどり)をしるしに切り取った甚五郎は、鼠(むささび)のように身軽に、小山城を脱けて出て、従兄源太夫が浜松の邸に帰った。
Jingoro got Amari out of the control of Mikawa, and escaped Oyama castle like a mouse, and came back to the house of Gendayu in Hamamatsu.
A2 B1 C2 D1
家康は約束どおり甚五郎を召し出したが、目見えの時一言も甘利の事を言わなんだ。
Ieyasu called Jingoro as promised, but didn’t say anything about Amari to him.
A2 B1 C2 D1
蜂谷の一族は甚五郎の帰参を快くは思わぬが、大殿の思召しをかれこれ言うことはできなかった。
The family of Hachiya saw the old master Jingoro as distasteful, but they received the will of Ieyasu without a word.
A1 B2 C2 D1

花村嘉英(2017)「日本語教育のためのプログラム」より英訳 translated by Yoshihisa Hanamura
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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