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2018年03月02日

シナジーのメタファーを外国語教育に応用する4

3 副専攻で資格を取る

 学歴を土台にして職歴を作る、こうしたキャリアの形成は、社会人にとって当たりまえのことである。サラリーマンの育成にも実務を踏まえて、資格を取るというルールがある。私の場合、主の専門は、人文、特に、ドイツ語学文学、言語学で、社会、情報、バイオ、メディカルは、副専攻である。
 二十代から三十代にかけて、立教大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻博士前期及び後期課程で主の専門の基礎を作り、続けてドイツ・チュービンゲン大学大学院新文献学部博士課程でドイツ語学、言語学(意味論)を専攻しながら、トーマス・マンのイロニーとファジィ理論の整合性について研究を進めた。その後、技術翻訳の仕事をしながらシナジー学会で研究発表をし、「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」という著作を四十代前半に出版した。
 計算文学という用語は、誤解されやすい。情報科学の専門家が数理や技術の知識を用いて小説を分析すると理解されがちだからである。人文科学で行う計算文学は、Tの逆さの認知科学の定規を縦横に言語の認知と情報の認知からなるLのフォーマットに置き換えて、小説のリレーショナル・データベースを作成する。データベースの分析は、統計処理と論理計算のどちらか一つを条件にする。そして、作家の執筆脳の組(例えば、トーマス・マンとファジィ、魯迅とカオス、森鴎外と感情、ナディン・ゴーディマと意欲)を作ることができれば、シナジーのメタファーに到達するため、人文科学からの計算文学も成立する。(花村2005、2015、2017) 

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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