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2018年03月02日

シナジーのメタファーを外国語教育に応用する1

1 シナジーのメタファー

 文学分析では、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロの分析方法である。基本のパターンは、縦が購読脳で横が執筆脳となるLのイメージを作り、各場面をLに読みながらデータベースを作成して、全体を組の集合体にし、双方の脳の活動をマージするために、中間にロジックを立てて脳内の信号のパスを探していく。
 執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。こう考えると、私の著作3冊、トーマス・マン、魯迅、鴎外、ナディン・ゴーディマを先行研究にすることができる。また、編者は、文字データに関する校正を担当するため、原稿の調査についても小説の最終原稿の段階を前提にする。
 これまでに考案しているシナジーのメタファーは、「トーマス・マンとファジィ」、「魯迅とカオス」、「森鴎外と感情」そして「ナディン・ゴーディマと意欲」である。それぞれの作家が執筆している時の脳の活動として文体を取り上げ、とりわけ、問題解決の場面を分析の対象にしている。
 シナジーのメタファーは、世界中の小説が対象になるため、どの言語で書かれていても研究の選択肢になる。自分の専門の対照言語以外のことばでも比較を意識して、東西南北になるように調節するとよい。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーを外国語教育に応用する」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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