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2019年04月18日

心理学統計の検定を用いて井上靖の「わが母の記」を考える5

2.3 「わが母の記」の不安度

 「わが母の記」は、認知症を患う作者の母が年齢とともに様々な事件を引き起こし、家族を振り回し、次第に衰えていく様子が描かれている。ここでは、この小論の研究テーマ、性別による不安度の違いついて、作成したデータベースを基に考察していく。

解答 性別による不安度の違い
具体度1
・母にしてみれば東京などにすむより知人も多い郷里の生活の方がいいに決まっていた。靖弱い不安1、桑子強い不安2
・母が弟と妹に連れられて東京の家に入って来た時、私は母が別人のようにやつれているのを見た。強い記憶2、強い不安2
・そんな祖母と孫娘の会話を聞いていると、もう心配はなく万事はうまくいくだろうと、私には思われた。弱い不安1、弱い不安1
・「さあ、おばあちゃん、同じことを何度でも言っていいよ。こちらは酔っているから今夜は一向にお応えない」弱い不安1、弱い不安1
・私は思わず笑い出した。私は自分が何を言ったか覚えていなかったし、勿論母からそのようなことを言われたことも覚えていなかった。弱い不安1、弱い不安1

花村嘉英(2019)「心理学統計の検定を用いて井上靖の『わが母の記』を考える」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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