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2019年02月19日

森鴎外の「山椒大夫」の多変量解析−クラスタ分析と主成分8

◆場面3 甘利を撃つ

正道はうっとりとなって、この詞に聞き惚れた。A2B1C2D2

そのうち臓腑(ぞうふ)が煮え返るようになって、獣めいた叫びが口から出ようとするのを、歯を食いしばってこらえた。A2B2C2D2

たちまち正道は縛られた縄が解けたように垣のうちへ駆け込んだ。A2B1C2D2

そして足には粟の穂を踏み散らしつつ、女の前に俯伏した。A1B1C2D2

右の手には守本尊を捧げ持って、俯伏したときに、それを額に押し当てていた。A2B1C2D2

女は雀でない、大きいものが粟をあらしに来たのを知った。A2B2C2D2

そしていつもの詞を唱えやめて、見えぬ目でじっと前を見た。A1B2C1D2

そのとき干した貝が水にほとびるように、両方の目に潤いが出た。A1B1C2D1

女は目があいた。「厨子王」という叫びが女の口から出た。A1B1C2D1

二人はぴったり抱き合った。A1B1C2D1

花村嘉英(2019)「森鴎外の『山椒大夫』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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