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2019年06月12日

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分9

【カラム】
A平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.1 標準偏差0.32 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.25低い、標準偏差0.43普通、中央値1.0低い、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.9高い、標準偏差0.22低い、中央値2.0高い、四分位範囲2.0高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
CDの数字がそれぞれ高いため、新情報が次々と繋がり火事の場面を描いている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 火事の場面。
A 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 炎の中に火の舌が見える。 
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 炎が屋根を抜いて立ちあがる。
C 5.5、視覚+それ以外、直示、新情報、解決 → 繭倉が燃えている。
D 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 火事の恐ろしさから島村が駒子を抱く。
E 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 駒子は泣きだす。
F 6.5、視覚+それ以外、隠喩、新情報、解決 → 駒子泣き止む。繭倉の映画。
G 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → けが人が出た。
H 6.5、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 皆が家事を見ていた 。
I 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 宿の番頭などが家事を見に来た。
【場面の全体】
 視覚情報が9割以上あり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりも多い。火事の場面のため、視覚情報が役に立っている。

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分8

◆場面3

二人は振り向くなり、「火事、火事よ!」「火事だ。」
火の手が下の村の真中にあがっていた。駒子はなにか二声三声叫んで島村の手をつかんだ。
A1+2B1C2D2

黒い煙の巻きのぼるなかに炎の舌が見えかくれした。その火は横に這って軒を舐め廻っているようだった。
A1B1C2D2

「どこだ、君が元いたお師匠さんの家、近いんじゃないか。」
「ちがう。」「どのへんだ。」「もっと上よ。停車場寄りよ。」炎が屋根を抜いて立ちあがった。
A1B1C2D2

「あら、繭倉だわ。繭倉だわ。あら、あら、繭倉が焼けてるのよ。」と、駒子は言い続けて島村の肩に頬を押しつけた。「繭倉と、繭倉よ。」A1+2B1C2D1

火は燃えさかって来るばかりだが、高みから大きい星空の下に見下すと、おもちゃの火事のように静かだった。そのくせすさまじい炎の音が聞こえそうな恐ろしさは伝わって来た。島村は駒子を抱いた。
A1+2B1C2D2

「こわいことないじゃないか。」
「いや、いや、いや。」と、駒子はかぶりを振って泣き出した。その顔が島村の掌にいつもより小さく感じられた。固いこめかみが顫えていた。A1+2B1C2D2

火を見て泣き出したのだが、なにを泣くのかと島村はいぶかりもしないで抱いていた。駒子は不意に泣きやむと顔を離して、「あら、そうだった、繭倉に映画があるのよ、今夜だわ。人がいっぱいはいっているのよ、あんた…。」A1+2B2C2D1

「そりゃあ大変だ。」「怪我人が出てよ。焼け死ぬわ。」二人はあわてて石段を駆け登った。
A2B1C2D2

上の方で騒ぐ声が聞こえるからだ。見上げると高い宿屋の二階三階も、たいていの部屋が障子をあけた明りの廊下に人が出て火事を見ていた。A1+2B1C2D2

庭のはずれに並んだ聞くの末枯が宿の燈か星明りかで輪郭を浮かべ、ふと火事が写っていると思わせたが、その菊のうしろにも人が立っていた。二人の顔の上へ宿の番頭などが三四人ころぶように下りて来た。
A1B1C2D2

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分7

【カラム】
A平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
B平均1.2 標準偏差0.45 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.9 標準偏差0.42 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.7 標準偏差0.48 中央値2.0 四分位範囲1.25
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.4普通、標準偏差0.5普通、中央値1.5普通、四分位範囲1.0低い
CD 平均1.8高い、標準偏差0.45普通、中央値2.0普通、四分位範囲1.62高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
CDの平均と四分位範囲の数字が高いことから、新情報がテンポよく繋がっている。但し、問題解決はここではなく後回し。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 5.5、視覚+それ以外、直示、新情報、解決 → 葉子は看病する人ではない。
A 4.5、視覚+それ以外、直示、旧情報、解決 → 一人だけ看病する。
B 7.5、視覚+それ以外、隠喩、新情報、未解決 → 駒子はやきもち焼き。
C 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 駒子をよくしてもらいたい。
D 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 島村は何もできないという。
E 5、視覚、直示、新情報、解決 → 島村内湯に出かける。
F 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 葉子が子供と内湯に来る。
G 7、視覚以外、直示、新情報、未解決 → 葉子が内湯で歌う。
H 8、視覚以外、隠喩、新情報、未解決 → 葉子の歌は生き生きとしている。
I 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 葉子の声が湯上り後も残っている。
【場面の全体】
 視覚情報の割合が6割りであり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりも低いため、視覚以外の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分6

◆場面2 葉子が気持ちを打ち明ける

「なにがおかしいんだ。」
「だって、私は一人の人しか看病しないんです。」「え?」
「もう出来ませんの。」
「そうか。」と、島村はまた不意打ちを食わせて静かに言った。A1+2B1C2D1

「毎日君は蕎麦畑の下の墓にばかり参ってるそうだね。」「ええ。」
「一生のうちに、外の病人を世話することも、外の人の墓に参ることも、もうないと思ってるのか?」「ないわ。」A1+2B1C1D1

「それに墓を離れて、よく東京へ行けるね?」
「あら、すみません。連れて行って下さい。」
「君は恐ろしいやきもち焼きだって、駒子が言ってたよ。あの人は駒子のいいなずけじゃなかったの?」
A1+2B2C2D2

「行男さんの?嘘、嘘ですよ。」
「駒子が憎いって、どういうわけだ。」
「駒ちゃん?」と、そこにいる人を呼ぶかのように言って、葉子は島村をきらきら睨んだ。「駒ちゃんをよくしてあげて下さい。」A1+2B1C2D2

「僕はなんにもしてやれないんだよ。」葉子の目頭に涙が溢れて来ると、畳に落ちていた小さい蛾を掴んで泣きじゃくりながら、「駒ちゃんはわたしが気ちがいになると言うんです。」と、ふっと部屋を出て行ってしまった。A1+2B1C2D2

島村は寒気がした。葉子の殺した蛾を捨てようとして窓をあけると、酔った駒子が客を追いつめるるような中腰になって拳を打っているのが見えた。空は曇っていた。島村は内湯に行った。A1B1C2D1

隣の女湯へ葉子が宿の子をつれて入って来た。着物を脱がせたり、洗ってやったりするのが、いかにも親切なものいいで、初々しく母の甘い声を聞くように好もしかった。そしてあの声で歌いだした。
A2B1C2D2

裏へ出て見たれば 梨の樹が三本 杉の樹が三本 みんなで六本
下から鳥が 巣をかける 上から雀が 巣をかける
森のなかの螽斯 どういうて囀るんや お杉友達墓参り
墓参り一丁一丁一丁や A2B1C2D2

手鞠唄の幼い早口で生き生きとはずんだ調子は、ついさっきの葉子など夢かと島村に思わせた。
A2B2C2D2

葉子が絶え間なく子供にしゃべり立てて上がってからも、その声が笛の音のようにまだそこらに残っていそうで、黒光りに古びた玄関の板敷きに片寄せてある、桐の三味線箱の秋の夜更けらしい静まりにも、島村はなんとなく心惹かれて、持ち主の芸者の名を読んでいると、食器を洗う音の方から駒子が来た。
A1+2B1C2D2

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分5

【カラム】
A平均1.3 標準偏差0.48 中央値2.0 四分位範囲1.24
B平均1.3 標準偏差0.48 中央値2.0 四分位範囲1.24
C平均1.8 標準偏差0.45 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.3普通、標準偏差0.48普通、中央値2.0高い、四分位範囲1.24普通
CD 平均1.7高い、標準偏差0.5普通、中央値2.0高い、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
平均はクラスタABの方が小さい、つまり視覚と直示が多く、新情報も多いことから、登場人物の島村が駒子を観察していることがわかる。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 5.5、視覚+それ以外、直示、新情報、解決 → 場面の始まりで落ち着きがある。
A 7、視覚、隠喩、新情報、未解決 → 駒子が囁いている。
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 駒子の身体の魅力。
C 7、視覚、隠喩、新情報、未解決 → 駒子の皮膚は清潔。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 駒子が身体を崩す。
E 7、視覚、隠喩、新情報、未解決 → 色気が溢れる。
F 5、視覚以外、直示、旧情報、解決 → 都々逸で誰の三味線かわかる。
G 6.5、視覚+それ以外、直示、新情報、未解決 → 三味線の稽古の様子。
H 5、視覚、直示、旧情報、未解決 → 島村の問いかけに答える。
I 5、視覚以外、直示、新情報、解決 → 駒子は夜明けに帰らず昼までいる。
【場面の全体】
 全体で視覚情報は7割5分であり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりも低いため、視覚意外の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分4

◆場面1 駒子の三味線の稽古

三曲目に都鳥を弾きはじめた頃は、その曲の艶な柔らかさのせいもあって、島村はもう鳥肌たつような思いは消え、温かく安らいで、駒子の顔を見つめた。そうするとしみじみ肉体の親しみが感じられた。
A1+2B1C2D1
細く高い鼻は少し寂しいはずだけれども、頬が生き生きと上気しているので、私はここにいますという囁きのように見えた。A1B2C2D2
あの美しく血の滑らかな脣は、小さくつぼめた時も、そこに写る光をぬめぬめ動かしているようで、そのくせ唄につれて大きく開いても、また可憐にすぐ縮まるという風に、彼女の体の魅力そっくりであった。
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白粉はなく、都会の水商売で透き通ったところへ、山の色が染めたとでもいう、百合か玉葱みたいな球根を剥いた新しさの皮膚は、首までほんのり血の色が上がっていて、なによりも清潔だった。A1B2C2D2
しゃんと坐り構えているのだが、いつになく娘じみて見えた。
最後に、今稽古中のを言って、譜を見ながら新曲浦島を引いてから、駒子は黙って撥を糸の下に挟むと、身体を崩した。A1B1C2D1
急に色気がこぼれて来た。
島村はなんとも言えなかったが、駒子も島村の批評を気にする風はさらになく、素直に楽しげだった。
A1B2C2D2
「君はここの芸者の三味線をきいただけで、誰だか皆分けるかね。」
「そりゃ分かりますわ、二十人足らずですもの。都々逸がよく分るわね、一番その人の癖が出るから。」
A2B1C1D1
そしてまた三味線を拾い上げると、右足を折ったままずらせて、そのふくろはぎに三味線の胴を載せ、腰は左に崩しながら、体は右に傾けて、
「小さい時こうして習ったわ。」と、棹を覗き込むと、
「く、ろ、かあ、みい、の・・・・・。」と、幼げに歌って、ぽつんぽつん鳴らした。
A1+2B1C2D2
「黒髪を最初に習ったの?」
「ううん。」と、駒子はその小さい時のように、かぶりを振った。A1B1C1D2
それから泊まることがあっても、駒子はもう強いて夜明け前に帰ろうとはしなくなった。
「駒子ちゃん。」と、尻上がりに廊下の遠くから呼ぶ、宿の女の子を火燵へ抱き入れて余念なく遊んでは、正午近くにその三つの子と湯殿へ行ったりした。A2B1C2D1

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分3

3 多変量の分析

 多変量を解析するには、クラスタと主成分が有効な分析になる。これらの分析がデータベースの統計処理に繋がるからである。
 多変数のデータでも、最初は1変数ごとの観察から始まる。また、クラスタ分析は、多変数のデータを丸ごと扱う最初の作業ともいえる。似た者同士を集めたクラスタを樹形図からイメージする。それぞれのクラスタの特徴を掴み、それを手掛かりに多変量データの全体像を考えていく。樹形図については、単純な二個二個のクラスタリングの方法を想定し、変数の数や組み合わせを考える。
 作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、グループ分けをする。例えば、A:五感(1視覚と2それ以外)、B:ジェスチャー(1直示と2比喩)、C:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
まず、ABCDそれぞれの変数の特徴について考える。次に、似た者同士のデータをひとかたまりにし、ここでは言語の認知ABと情報の認知CDにグループ分けをする。得られた変数の特徴からグループそれぞれの特徴を見つける。
 最後に、各場面のラインの合計を考える。それぞれの要素からどのようなことがいえるのであろうか。「雪国」のバラツキが縦のカラムの特徴を表しているのに対し、ここでのクラスタは、一場面のカラムとラインの特徴を表している。
 なお、外界情報の獲得に関する五感の割合は、視覚82%、聴覚11%、嗅覚4%、触覚2%、味覚1%とする。(片野2018)

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分2

2 「雪国」の執筆脳は認知発達

 「雪国」の購読脳を「無と創造」という組にする。無については、川端(1979)の中で高田瑞穂が次のように定義している。
 無は、孤児として育った川端の原点ともいえる感情であり、あらゆる存在よりも広くて大きい自由な実在である。無とはこの青空よりも大きい見たこともない父母に通じ、愛と死が融けあって康成の文学が誕生した。特に、雪国の中では、無が愛と組になると止揚の暗示、つまり愛情となり、愛と死が組になれば、天井へ飛躍したり、時には地下へ埋没する。二つの矛盾対立する概念は、止揚により相互に否定し合いながら、双方を包むより高次の統一体へ発展していく。
 また、創造についても、川端が作品を書きながら、動物の生命や生態をおもちゃにして、一つの理想の鋳型を定め、人工的に畸形的に育てているとする。「雪国」の中では、島村がふと思い、呟き、動く存在で、駒子については指で覚えている女、葉子も眼に火がついてる女として繰り返されるところに康成の創造がある。
 共生の読みのゴールは、「無と創造」という購読脳の出力が入力となり、リレーショナルなデータベースを作成しながら、一文一文をLに読むと次第に見えてくる。人工知能の世界でいう何がしとか健常者の脳の活動でいう何がしということがつかめればよい。イメージとして、まだ知識のない人工知能が特定の目的を意識して次第に育っていく感じがよい。そう考えると、人間に見たてて川端と組みが作れそうである。
 花村(2018)では、購読脳の「無と創造」という出力が、人工知能の認知発達で目的達成となるかどうかを問題にした。また、人工感情と組になりそうな情報の認知1のセカンドのカラムとして顔の表情を設定し、(1)の公式を考えた。

(1)「無と創造」(購読脳の出力)→「(五感)情報の認知1と顔の表情」→「人工感情」→「認知発達」

 同時にデータベースを作成しながら(1)を確認し、川端康成の執筆脳について「川端と認知発達」というシナジーのメタファーを考察した。

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分1

1 先行研究との関係

 これまでに、「雪国」の執筆脳を感情として、「川端康成と認知発達」というシナジーのメタファーを作成している。(花村2018)この小論では、さらに多変量解析に注目し、クラスタ分析と主成分について考察する。それぞれの場面で川端康成の執筆脳がデータベースから異なる視点で分析できれば、自ずと客観性は上がっていく。

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

心理学統計の検定を用いて川端康成の「雪国」を考える7

3 まとめ

 川端康成の「雪国」に登場する男と女についてデータベースから心理学統計による人物評価をしてみると、採択した場面については、驚きの度合に関して差がないことが分かった。

参考文献

川端康成 雪国 講談社文庫 1979
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風社 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 2019    
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日语教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 川端康成の「雪国」のデータベース 2017
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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