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2021年02月23日

寡婦年金

国民年金から支給される年金に

「寡婦年金」

という年金があります。

年金制度の中で唯一

「婚姻期間」

が支給要件に含まれている

珍しい年金です。

また、遺された妻が60歳から65歳

に達するまでの間の

「期間限定」

の年金です。

★寡婦年金とは?

「寡婦年金」は、第1号被保険者の

独自の給付制度です。

★支給要件
(1) 死亡日の前日において、死亡日の
属する月の前月までの第1号被保険者
としての保険料納付済期間と
保険料免除期間を合算した期間が
10年以上ある夫が死亡

(2) 死亡の当時、夫と生計維持関係
があり、かつ夫との婚姻期間が
10年以上

(3) 亡夫が障害基礎年金の受給権者
でないこと、老齢基礎年金の支給を
受けていないこと

※(2) 事実婚でも対象ですが
一定の証明(健康保険の被扶養者に
なっていた場合はその証明や
葬儀の喪主になっている場合
はその証明など)が必要です。

★他の年金との併給

まず、死亡を支給事由とする給付

に関してです。

国民年金からは

「遺族基礎年金」
「死亡一時金」
「寡婦年金」

があります。

★「死亡一時金」と「寡婦年金」
「死亡一時金」と「寡婦年金」

は選択受給(いずれか一方を
選択して受給する)

となるので、両方は受給

できません。

「遺族基礎年金」と「寡婦年金」

そして、「遺族基礎年金」と

「寡婦年金」も選択受給ですが

受給する時期が異なれば

両方受給することも可能です。

たとえば、「遺族基礎年金」は

障害を有しない子と生計を

同じくする場合には18歳の

年度末までしか受給できません。

しかし、その後時間が経過して

寡婦である妻が60歳に

到達すると「寡婦年金」も

受給できるということです。

★「死亡一時金」と選択受給の際の注意点

「遺族基礎年金」と同様に

「寡婦年金」は再婚した場合には

受給権は消滅してしまいます。

よって、「死亡一時金」を受給せず

「寡婦年金」を選択したものの

60歳到達前に再婚した場合には

「両方とも受給できなかった」

ということが起き得ます。

★「遺族厚生年金」と「寡婦年金」

「遺族厚生年金」と「寡婦年金」も

選択受給の関係です。

よって、受給額を計算してどちらが

多いかを確認しておくのが望ましい

と考えられます。

しかし、「寡婦年金」は寡婦が

60歳から65歳に達するまでの

有期年金であるのに対して

「遺族厚生年金」

は遺された妻が受給する場合に

30歳以上であれば、期間の到来

を持って消滅する年金では

ありません。

従って、選択替えが可能です。

「遺族厚生年金」→「寡婦年金」→「遺族厚生年金」

★「寡婦年金」の受給額

「寡婦年金」の受給額は

夫の第1号被保険者としての

期間で計算された

「老齢基礎年金」の3/4

です。

たとえば、20歳〜60歳まで全て

第1号被保険者であった場合の

「老齢基礎年金」

は約78万円ですが

「寡婦年金」はその3/4である

約58万5,000円です。

★「寡婦年金」受給の際の留意点

「寡婦年金」受給の際の留意点を

見ていきましょう。

★「在職老齢年金」

60歳以後も会社で働く場合には

「在職老齢年金」を避けて通る

ことはできません。

しかし、報酬に応じて全部または

一部が支給停止となる

「在職老齢年金」の対象に

「寡婦年金」は含まれません。

従って、「寡婦年金」の年金額が

少ないからといって「老齢厚生年金」

を選択して、その結果、報酬との

兼ね合いで「老齢厚生年金」が全て

止まってしまうのであれば

むしろ「寡婦年金」を選択するほう

がお得だということです。

★婚姻期間

現代は旧来と比較して晩婚化の

時代ですね。

「寡婦年金」は年金制度の中で唯一

婚姻期間が支給要件に含まれる

年金です。

よって、婚姻期間が10年に

満たない場合にはそもそも

支給されませんので注意が必要です。

しかし、その場合でも「死亡一時金」
(原則として夫の第1号被保険者
 としての期間が36ヶ月)

は受給できる可能性があります。

★繰上げ請求

遺された妻が「老齢基礎年金」を繰り上げ

請求してしまうと「寡婦年金」の受給権

が消滅してしまします。

繰上げ請求によって生涯にわたって

老齢を支給事由とする年金の受給額

が減額するだけはでなく、せっかく

「寡婦年金」の受給権を有していた

ににも拘らず、一切を受給できない

事態にもなりかねません。

よって、繰上げ請求は慎重に

判断すべきです。

「寡婦年金」は他の年金と比べて

あまり耳にすることのない制度

なのかもしれません。

しかし、いざ受給権を得たとしても

知識がなければ失権してしまう

可能性があります。

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連絡先:t.yokoi@imple.net
担当:横井
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