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2019年11月09日

会社を辞めてフリーランスになると「失業保険」はもらえない?

会社を辞めてフリーランスになると

「失業保険」はもらえない?

会社を辞めたり辞めさせられたりした後に

もらえる失業保険は、正式名称を雇用保険の

「求職者給付」

と言います。

就職する意思と能力があって、積極的に仕事を

探しているのに現在職業に就いていない人が

もらえる給付金です。

つまり、失業保険というのは、失業状態にある

求職者を支援するための制度です。

会社を辞めてフリーランスとして働く人は

失業状態でもありませんし、求職者でもありません。

そのため、

「失業保険はもらえない」

というのが論理的な結論になります。

ただ、全国のハローワークはそこまで厳格に

失業保険制度を運用しているわけではありません。

実務では、多少の仕事をしている人であっても

就労しているというほどではなくて、就職活動に

支障をきたさない程度の働き方であれば

できるだけ失業保険を受給できるように

配慮してくれているようです。

したがって、会社を辞めてフリーランスになる

人でも失業保険を一切もらえないわけではなく

もらうことは一応可能です。

ただし、会社を辞めてからのフリーランスとして

の働きぶりに応じて受給が制限されることがあります。

ガッツリ働く人であれば、受給するのはほとんど無理でしょう。

どの程度働けばどの程度受給が制限されるのかと

言いますと、失業保険の手続きの流れの中で

変わってくるので、時系列に沿って書きます。

なお、以下の解説では分かりやすいように目安を

明確に提示しますが、その目安が全国のどこの

ハローワークでも通用するとは限りません。

失業保険の運用については地域ごと、さらには同一

のハローワーク内でも担当者ごとに運用が若干異

なっているのが現実です。

これは、気まぐれに制度を運用しているわけではなく

失業保険を申請した人にはできるだけ適法に

受給してもらおうという職員さんたちの努力

の結果であると考えられます。

いずれにせよ、全国一律の運用ではないという

現実がありますので、実際に申請する際は

管轄のハローワークに「自分の場合はどうなのか」

ということを確認する必要があります。

★待機期間中

「原則として働いてはいけない」

まず、離職して失業保険の受給を申請して

受給資格決定が出ると、その日から受給期間が

始まるまでの7日間は待機期間となります。

この期間は完全失業状態で過ごさないと

失業保険を受給することはできなくなります。

7日間一切働いてはいけないわけではありませんが

少しでも働いた日は失業状態ではありませんから

その日数分だけ受給期間の開始が先送りに

なってしまいます。

もっとも、1秒でも働いたらアウトかと言えば

そこまで厳格ではない可能性もあります。

1日4時間未満の活動であればセーフになる余地も

あるかもしれませんが、建前としては1秒でも

働いたらアウトなので、そのつもりでいるべきでしょう。

例としては、アフィリエイトをしている人で

趣味のブログの更新を毎日4時間未満行っていた

場合で問題なく受給できたというケースがあるようです。

このケースでは「趣味の」ブログの更新だったから

セーフになっただけで、これが収益目的のブログの

更新だったらアウトになった可能性が高いと考えられます。

待機期間は7日間連続で完全失業状態でなくても構いません。

途中で1日働いた日があれば待機期間が8日間に

延びるだけです。

働かない日が通算で7日になったら待機期間は満了します。

★給付制限中

「働いてもいいけれど、程々にしましょう」

会社都合で退職した方なら待機期間が満了すれば

すぐに受給期間が始まりますが、自己都合で退職した方

はその後に3か月間の給付制限期間があります。

3か月もの間働かないで過ごすと普通は生活に

困るので、この期間中に働くことは禁止されていません。

ただし、就職したのと同視できるほどに働いてしまう

と失業者ではなくなり、受給できなくなってしまいます。

★どの程度働くと就職したのと同視されるか

「1週間の所定労働時間が20時間以上」
 および
「31日以上の雇用が見込まれる場合」

が目安です。

この2点は雇用保険の加入条件に該当するからです。

給付制限中にフリーランスとしての仕事をするなら

週20時間未満に抑えておかないと受給できなくなります。

かなり厳しいですが、仕方ありません。

★受給中

「思うようには働けない」

待機期間が満了し、給付制限がある方は3か月間の

給付制限期間も終わると、いよいよ受給期間に進みます。

受給期間中も雇用保険の加入条件を満たすほど

に働くと就職したものとみなされるので

働くなら週20時間未満に抑えておかないと

受給できなくなります。

受給期間中はさらに

「1日4時間」

という制限が加わります。

1日4時間以上働くとその日は就労扱いになって

しまい、給付金は支給されません。

ただ、働いたからといって給付日数が削られる

わけではなく、働いた日数分だけ支給が先送りになります。

とはいえ、受給期間は離職から1年なので

先送りが続いて1年を超えてしまうと

結局支給されなくなってしまいます。

★1日4時間未満働いた場合
労働時間と収入額を申告する必要があり

その内容次第で給付金が支給されなかったり

減額されたりすることがあります。

具体的には、収入額を4時間未満働いた日数で

割って日額を求め、それを以下の計算式に

当てはめて計算します。

(1) 基本手当日額+収入日額−控除額
(2) 前職での賃金日額 × 0.8
 
(1)≦(2) … 全額支給
(1)>(2) … 減額支給
収入日額>基本日額手当 … 不支給

前職での賃金日額8,000円、基本手当日額5,395円

の人の場合で計算すると、4時間未満の収入日額

と給付金の支給状況の関係は以下の通りになります。

0円〜2,292円 … 全額支給
2,293円〜6,400円 … 減額支給
6,401円〜 … 不支給

収入日額が6,400円以内なら1日何時間働いても

受給できるわけではなく、1日4時間未満でなければ

ならない点にはくれぐれも注意しましょう。

★虚偽申告は絶対にいけません
申告は必ず正確に行うようにしましょう。

受給期間中の労働時間や収入は「失業認定申告書」

に自分で記入してハローワークに提出することに

より申告します。

自己申告なのだから適当に書けばバレないのでは…

と思うかもしれませんが、それは絶対にいけません。

★収入
振り込みであれば確実にバレます。

手渡しであっても、通常は支払者が申告するのでバレます。

★労働時間
特に業務委託でやる仕事などの場合は就業時間が

必ずしも明確でないため、ある程度は概算で

申告するのもやむを得ません。

ただ、おのずから「相場」というものがありますから

あからさまに労働時間を少なく申告すると

怪しまれてしまいます。

虚偽の申告などの不正な手口で受給すると

厳しい罰則が待っています。

支給停止になるのはもちろんのこと、受給した金額

の全額返金に加えてその2倍の金額の納付を

命じられることもあります(合わせて3倍返し)。

悪質な場合は詐欺罪などで刑事告発される場合もあります。

このような大きなリスクを念頭に置いて

申告は必ず正確に行うようにしましょう。

★やる気があるなら「再就職手当」を狙うのが正解?

フリーランスが失業保険をもらうのは不可能では

ないものの、かなり厳しい制約があります。

なにしろ、7日間の待機期間はほぼ働けませんし

その後も1日4時間以上、週20時間以上働くと

いつまでたっても受給できません。

会社を辞めて、それまでの副業を本業にして

バリバリ稼ごうと思っていた人にとっては

失業保険をもらうために仕事をセーブする

のは本末転倒でしょう。

したがって、やる気のあるフリーランスは

失業保険を当てにすべきではないということになります。

でも、無理に失業保険をもらわなくても

再就職手当ならもらえる可能性があります。

再就職手当とは、失業保険の受給期間中に

再就職した場合、一定の要件を満たせば

まとまった金額を受給できるものです。

自営業を開始した場合にも適用されます。

失業保険の給付金よりは金額が下がりますが

再就職手当ならいくら働いていてももらえる

のですから、ありがたい制度です。

再就職手当を受けるためにもいろいろな要件が

ありますが、フリーランスにとって最も重要

なのは、事業の開始日です。

前職から離職する前から副業として収入を

得ている方も多いと思いますが、そういった

場合でも受給は可能です。

失業保険の「7日間の待機期間」が満了するまでは

内職として従事し、受給期間が開始した後

に事業の開始を決意したという形を取れば良いのです。

待機期間が満了する前に開業届を出してしまう

と受給できなくなるのでご注意ください。

制度はややこしいですがもらえるものは

もらっておきたいですね。

失業保険の制度は、実際のところかなりややこしいです。

地域によって、担当者によって運用が違う

ところもあるのですからなおさらです。

起業してバリバリ働くために会社を辞めた

フリーランスにとって、余計なことで頭を

悩ませるのは本末転倒かもしれません。

でも、もらえるものはもらっておきたい

ところでもあります。

失業保険は誰もが知っているでしょうが

再就職手当については知らない方も

多かったのではないでしょうか。

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