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2019年10月10日

求職者給付と再就職手当

会社を辞めたり辞めさせられたりした後に

もらえる失業保険は、正式名称を雇用保険の

「求職者給付」

と言います。

就職する意思と能力があって、積極的に仕事を

探しているのに現在職業に就いていない人が

もらえる給付金です。

つまり、失業保険というのは、失業状態に

ある求職者を支援するための制度です。

会社を辞めてフリーランスとして働く人は

失業状態でもありませんし、求職者でもありません。

そのため、

「失業保険はもらえない」

というのが論理的な結論になりますね。

ただ、全国のハローワークはそこまで厳格に

失業保険制度を運用しているわけではありません。

実務では、多少の仕事をしている人であっても

就労しているというほどではなくて

就職活動に支障をきたさない程度の働き方

であれば、できるだけ失業保険を受給で

きるように配慮してくれているようです。

したがって、会社を辞めてフリーランスに

なる人でも失業保険を一切もらえないわけ

ではなく、もらうことは一応可能です。

ただし、会社を辞めてからのフリーランス

としての働きぶりに応じて受給が

制限されることがあります。

どの程度働けばどの程度受給が制限されるのか

と言いますと、失業保険の手続きの流れの中

で変わってくるので、時系列に沿って解説します。

なお、以下の解説では分かりやすいように

目安を明確に提示しますが、その目安が

全国のどこのハローワークでも通用する

とは限りません。

失業保険の運用については地域ごと

さらには同一のハローワーク内でも

担当者ごとに運用が若干異なっているの

が現実です。

★待機期間中
「原則として働いてはいけない」

離職して失業保険の受給を申請して受給資格決定

が出ると、その日から受給期間が始まるまでの

7日間は待機期間となります。

この期間は完全失業状態で過ごさないと

失業保険を受給することはできなくなります。

7日間一切働いてはいけないわけではありませんが

少しでも働いた日は失業状態ではありませんから

その日数分だけ受給期間の開始が先送り

になってしまいます。

もっとも、1秒でも働いたらアウトかと言えば

そこまで厳格ではない可能性もあります。

1日4時間未満の活動であればセーフになる

余地もあるかもしれませんが

建前としては1秒でも働いたらアウトなので

そのつもりでいるべきでしょう。

例としては、アフィリエイトをしている人で

趣味のブログの更新を毎日4時間未満行っていた

場合で問題なく受給できたというケースが

あるようです。

このケースでは「趣味の」ブログの更新だった

からセーフになっただけで、これが収益目的の

ブログの更新だったらアウトになった可能性が

高いと考えられます。

待機期間は7日間連続で完全失業状態で

なくても構いません。

途中で1日働いた日があれば待機期間が

8日間に延びるだけです。

働かない日が通算で7日になったら

待機期間は満了します。

★給付制限中
働いてもいいけれど、程々にしましょう

会社都合で退職した方なら待機期間が

満了すればすぐに受給期間が始まりますが

自己都合で退職した方はその後に3か月間

の給付制限期間があります。

3か月もの間働かないで過ごすと普通は

生活に困るので、この期間中に働くことは

禁止されていません。

ただし、就職したのと同視できるほどに

働いてしまうと失業者ではなくなり

受給できなくなってしまいます。

★どの程度働くと就職したのと同視されるか

「1週間の所定労働時間が20時間以上」
および
「31日以上の雇用が見込まれる場合」

が目安です。

この2点は雇用保険の加入条件に該当するからです。

給付制限中にフリーランスとしての仕事を

するなら、週20時間未満に抑えておかないと

受給できなくなります。

★受給中
思うようには働けない

待機期間が満了し、給付制限がある方は3か月間

の給付制限期間も終わると、いよいよ受給期間

に進みます。

受給期間中も雇用保険の加入条件を満たすほど

に働くと就職したものとみなされるので

働くなら週20時間未満に抑えておかない

と受給できなくなります。

受給期間中はさらに

「1日4時間」

という制限が加わります。

1日4時間以上働くとその日は就労扱い

になってしまい、給付金は支給されません。

ただ、働いたからといって給付日数が

削られるわけではなく、働いた日数分

だけ支給が先送りになります。

とはいえ、受給期間は離職から1年なので

先送りが続いて1年を超えてしまうと

結局支給されなくなってしまいます。

★1日4時間未満働いた場合
労働時間と収入額を申告する必要があり

その内容次第で給付金が支給されなかったり

減額されたりすることがあります。

具体的には、収入額を4時間未満働いた日数

で割って日額を求め、それを以下の計算式

に当てはめて計算します。

(1) 基本手当日額+収入日額−控除額
(2) 前職での賃金日額 × 0.8
 
(1)≦(2) … 全額支給
(1)>(2) … 減額支給
収入日額>基本日額手当 … 不支給

前職での賃金日額8,000円、基本手当日額5,395円の

人の場合で計算すると、4時間未満の収入日額と

給付金の支給状況の関係は以下の通りになります。

0円〜2,292円 … 全額支給
2,293円〜6,400円 … 減額支給
6,401円〜 … 不支給

収入日額が6,400円以内なら1日何時間働いても

受給できるわけではなく、1日4時間未満でなければ

ならない点にはくれぐれも注意しましょう。

★虚偽申告は絶対にいけません

受給期間中の労働時間や収入は「失業認定申告書」

に自分で記入してハローワークに提出すること

により申告します。

自己申告なのだから適当に書けばバレないのでは…

と思うかもしれませんが、それは絶対にいけません。

★収入
振り込みであれば確実にバレます。

手渡しであっても、通常は支払者が

申告するのでバレます。

★労働時間
特に業務委託でやる仕事などの場合は

就業時間が必ずしも明確でないため

ある程度は概算で申告するのもやむ

を得ません。

ただ、おのずから「相場」というものが

ありますから、あからさまに労働時間を

少なく申告すると怪しまれてしまいます。

虚偽の申告などの不正な手口で受給すると

厳しい罰則が待っています。

支給停止になるのはもちろんのこと

受給した金額の全額返金に加えて

その2倍の金額の納付を命じられること

もあります(合わせて3倍返し)。

悪質な場合は詐欺罪などで刑事告発

される場合もあります。

このような大きなリスクを念頭に置いて

申告は必ず正確に行うようにしましょう。

★「再就職手当」を狙うのが正解?

フリーランスが失業保険をもらうのは

不可能ではないものの、かなり厳しい

制約があります。

なにしろ、7日間の待機期間はほぼ働けませんし

その後も1日4時間以上、週20時間以上

働くといつまでたっても受給できません。

会社を辞めて、それまでの副業を本業に

してバリバリ稼ごうと思っていた人に

とっては、失業保険をもらうために

仕事をセーブするのは本末転倒でしょう。

やる気のあるフリーランスは失業保険を

当てにすべきではないということになります。

無理に失業保険をもらわなくても

「再就職手当」

ならもらえる可能性があります。

再就職手当とは、失業保険の受給期間中に

再就職した場合、一定の要件を満たせば

まとまった金額を受給できるものです。

自営業を開始した場合にも適用されます。

失業保険の給付金よりは金額が下がりますが

再就職手当ならいくら働いていても

もらえるのですから、ありがたい制度です。

再就職手当を受けるためにもいろいろな

要件がありますが、フリーランスにとって

最も重要なのは、事業の開始日です。

前職から離職する前から副業として収入を

得ている方も多いと思いますが

そういった場合でも受給は可能です。

失業保険の「7日間の待機期間」が満了するまでは

内職として従事し、受給期間が開始した後

に事業の開始を決意した

という形を取れば良いのです。

待機期間が満了する前に開業届を出してしまう

と受給できなくなるのでご注意ください。

失業保険の制度は、実際のところかなり

ややこしいです。

地域によって、担当者によって運用が違う

ところもあるのですからなおさらです。

起業してバリバリ働くために会社を辞めた

フリーランスにとって、余計なことで頭を

悩ませるのは本末転倒かもしれません。

でも、もらえるものはもらっておきたいですね。

失業保険は誰もが知っているでしょうが

再就職手当については知らない方も

多かったのではないでしょうか。

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開始時間:22:30〜
準備物:ZOOMのダウンロード
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