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2019年09月24日

給与所得者控除

給与所得控除・・・

一昔前、

「自営業者は必要経費が認められているのに
 サラリーマンは認められないので不公平だ」

という議論がマスコミでよく取り上げられていました。

サラリーマンはスーツ代、勉強費用、仕事関連で

必要な交際費も認められていないという議論です。

果たして、それは本当なのでしょうか?

確定申告をされた方は確定申告のフォームを

埋められたと思います。

一番上の「収入金額等」にある給与の欄に

2018年の年収を入れます。

次の欄「所得金額」の給与の欄に数字が自動的

に入ります。その数字は「収入金額等」の欄の

ものと比べ、かなり低くなっています。

そして、それをベースにその下の

「所得から差し引かれる金額」

の欄で社会保険料控除、生命保険料控除、基礎控除等

の所得控除の金額が差し引かれ

「課税される所得金額」が求められます。

収入 − 給与所得控除 = 総所得金額
「収入金額等」 − 給与所得控除 = 「所得金額」

総所得金額 − 所得控除 = 課税所得
「所得金額」−「所得から差し引かれる金額」=「課税される所得金額」
(下の段は、「確定申告書」の表記を使用した場合)

給与所得控除とは、所得控除以前に給与収入から

引き去られる金額で、総所得金額を求めるために

使われます。所得控除が

「個人的な事情を加味して税負担を調整するもの」

であるのに対し、給与所得控除は

「給与所得者に対し一律に認められる必要経費」

なのです。

給与所得者には、大きな給与所得控除が

認められています。以下の表を見てください。

年収300万円から1000万円の給与所得者に対し

108万円から220万円の給与所得控除が

認められています。

比率にして、36%から22%に当たります。

すなわち、大ざっぱに言えば、20%から40%の経費が

自動的に認められているのです。

自営業者が経費の一つひとつに領収証を添付して

申告しなければいけないのに比べて、手間が全く

かからないのでかなり有利です。

これだけあれば、スーツ代も、勉強代も、仕事を

する上で必要な交際費も出てくるということになります。

そこで「150万円の壁」という言葉をお聞きになった

ことがありますよね。

これらは、主婦の方の給与収入(パート収入)が

その金額を超えたら、配偶者控除や配偶者特別控除

が受けられなくなったり、減額されたりする金額を

指しています。

配偶者控除や配偶者特別控除
(以下「配偶者(特別)控除」とします)

が満額(38万円)から徐々に減っていく起点が

給与収入150万円となり

「150万円の壁」

といわれています。

また、平成30年からは、働き手の「合計所得金額」が

1000万円を超えると、配偶者(特別)控除が

受けられなくなり、「合計所得金額」が900万円を

超えても配偶者(特別)控除は満額の38万円から

減額されることになりました。

「合計所得金額」は次のように算出されます。

収入 − 給与所得控除 = 総所得金額
総所得金額 + 株式等の譲渡所得・配当所得
(譲渡損失の繰り越し控除前) = 「合計所得金額」
※給与所得以外に株式関連所得しかない方なら
 上記の認識で十分です。

働き手の「合計所得金額」が1000万円を超える場合は

「150万円の壁」を意識しても意味がないということ

になりました。なぜならば、その場合、配偶者の収入が

ゼロであったとしても配偶者(特別)控除は

受けられないからです。

「合計所得金額」は、配偶者(特別)控除だけでなく

その他家族の扶養控除の判定に使われるので

しっかり覚えておきましょう。

ちなみに「合計所得金額」を算出した後に引かれる

「所得控除」はいくら積み上げても

上記の判定には影響しません。

上記で説明した通り、給与所得控除は

サラリーマンの必要経費であるだけでなく

各種控除が受けられるか否かの判定に

考慮される要素になっています。

そして給与所得控除はサラリーマン独特のものです。

少なくとも、必要経費に関して、サラリーマンが

税務上、自営業者に比べて不利な扱いを受けている

のではないということは分かっていただけたと思います。

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