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2019年08月19日

家族に遺族年金を遺せなかった事例

10年以上の加入で「老齢年金」は

受け取れたけど・・家族に遺族年金を

遺せなかった事例を紹介します。

2017年8月分(10月支給)から

「10年以上」

の加入期間で老齢年金が受給

できることになりました。

これはあくまでも老齢年金を受給

するための措置であり

「障害」と「遺族」

の給付を受けるための要件は

変わっていません。

今回は、遺族年金について

誤った期待感をもってしまった

人のお話です。

昭和27年6月生まれのKさんは

学校を卒業してから家業を手伝い

そのまま受け継ぎました。

自営業ですから、自分で

「国民年金保険料」

を納める義務があったのですが

払ったことがありませんでした。

定年のあるサラリーマンと違って

老後の収入を心配する必要は

ないと思っていたのです。

ところが50歳になる頃、事業が

続けられなくなり、知り合いの会社

に雇い入れてもらって、初めて

厚生年金保険に加入しました。

65歳まで勤めましたが、公的年金制度

の加入期間が15年しかないため

老齢年金は受給できずにいました。

昭和30年5月生まれの妻・T子さん

妻のT子さんは昭和30年5月生まれで

独身時代に5年間厚生年金保険に

加入しましたが、Kさんと結婚して

寿退職した後は、夫とともに

国民年金保険料を未納に

していました。

Kさんが厚生年金保険に加入して

国民年金の「第3号被保険者」

となりましたが、受給資格期間

の25年には足りず、

「特別支給の老齢厚生年金」

の支給開始年齢である60歳に

なっても受給できず

夫婦でパート勤務をして

暮らしていました。

そんなKさん夫妻のもとに

2017年の6月、日本年金機構から

黄色い封筒で年金請求書が

送られてきました。

2017年8月分(10月支給)から

10年以上の加入期間で老齢年金

が受給できるようになったためです。

年金請求書が送られてきた

Kさん夫妻は、

「これからは、パートの時間を減らせるね。」

と喜びました。

ところが、そんな夫妻に突然の不幸が訪れました。

2018年の春、Kさんが心筋梗塞で急死しました。

T子さんは、夫を亡くした悲しみも

さることながら、これからの生活が

不安でした。

そんなとき、T子さんの姉が

「Kさんは、厚生年金を受けていたん
 でしょ? だったら、T子は
 遺族厚生年金がもらえるはずよ。」

お姉さん自身も、亡き夫の

遺族厚生年金で暮らしています。

T子さんは、年金事務所へ

遺族厚生年金の手続きに

ついて相談に行きました。

ところが、

「あなたの場合は、残念ですが
 遺族厚生年金は受給できません。」

と言われてしまいました。

Kさんは、「10年以上」の

受給資格期間短縮により

老齢厚生年金を受給しました。

しかし、受給資格期間が

短縮されたのは、老齢年金

に関してのみで、

老齢厚生年金を受給している人

が亡くなったときの

「遺族厚生年金」

は、「老齢厚生年金」の

受給資格期間が25年以上

あることが必要です。

(2026年3月末までの間に現役の
 被保険者等が亡くなったときは
 「死亡日の前々月までの
  直近1年間に未納がなければよい」
 という特例がありますが
 65歳以上の人には適用されません)

今回は受給資格期間の短縮が絡んだ

問題でしたが、「特別支給の老齢厚生年金」

の「定額部分」があった世代とない

世代では

加給年金(厚生年金の家族手当のようなもの)

の支給開始年齢も違うなど、世代の違いに

は気を付けなければなりません。

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