「荷 車」(2)(フィリップ短編集より)
LA CHARRETTE
−−−−−−−−−【2】−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Il fit1 confectionner2 par le charron3 quatre petites
roues⁴ pleines⁵, en bois. Le charron ne voulut pas
qu'il⁶ les⁷ lui⁸ payât.⁹
−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−−
彼は車大工に木製の4つの小さな車輪を作ってもらった.
車大工は彼がその代金を支払うのを望まなかった.
−−−−−−−−《単語等》−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1) faire + 不定詞 〜させる
2) confectionner (他) (料理や服などを) 作る、製造する
confectionner une sauce / ソースを作る
confectionner une robe / ドレスを仕立てる
3) charron (m) (昔の)車大工
4) roues (名複女) <roue (f) 車輪
5) pleines (形複女) <plein 中身の詰まった
roue pleine 中身の詰まった車輪 → スポーク[輻(や)]のない車輪
6) qu'il:このil はラルティゴー
7) les: このles は4つの車輪
8) lui: この lui は車大工
9) payât (接続法半過去3単) <payer 支払う ≪文法2≫参照
−−−−−−−−−≪文法1≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
「faire + 不定詞 〜させる」の構文で不定詞が他動詞のときは
その不定詞の動作主はpar (またはà)によって導かれます.
J'ai fait construire une maison par un architecte.
私は一軒の家を建築家に建てさせました.
par un architecte は à un architecte も可.
◉ フランス語では不定詞の主語に当たる名詞は、faire と不定詞の間に
はいることができません.faire と不定詞の結びつきが緊密なのです.
文法上の呼び名がわからないので、とりあえず「親和力」があると
いうことでご理解下さい.
ということで、前半の文、Il fit confectionner par le charron quatre
petites roues pleines, en bois. は
le charron (車大工)がconfectionner (作る) の主語に当たるの
ですが、fit (faire の単純過去)と不定詞の間にはいれないので
主語指標のparもしくはà を介して、不本意乍ら、不定詞の
直後に置いています.
「彼は車大工に4つの小さな
−−−−−−−−−≪文法2≫−−−−−−−−−−−−−−−−−
Le charron ne voulut pas qu'il les lui payât.
車大工はラルティゴーが車輪代金を支払うのを望まなかった.
一般に接続法が要求される文では
主節の動詞 voulut (vouloir の単純過去3単)が過去のときは
その従属節は、現在もしくは未来の場合は、「接続法半過去」
過去ならば、「接続法大過去」が用いられるのが本来なのですが
日常語としては接続法現在と接続法過去だけでやりくりしてい
ます.
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