アルト・ハイデルベルク(83)
−−−−−−−−−−【83】−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Käthie:(lacht). Des glaub' i a. Jetzt werden mer's einstudieren. Da
.............steht der Herr Onkel, da steht die Frau Tante, da die Frau Großt-
.............ante. So. Jetzt kommt der Prinz dahier nein. Jetzt tret i vor.
.............Jetzt sag i − nein, 's war falsch. 's ist so: Da steht der Herr
.............Onkel und halt den Buschen in der Hand. Und wie der Prinz
.............neinkommt, tret i vor, und der Herr Onkel halt mi den Buschen
.............entgegen. und i nehm ihn sag (hört den Lärm der ankommenden
.............Studenten, Jessus Maria, die Sachsen !
Rüder: Nu komma die au schon angefahre ! 's ischt zu viel für an
..............einzelnen !
−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ケティー:私もそう思うわ.さあ、リハーサルをしておきましょう.
............... 叔父様はそこに立っていらして.叔母様はそっち.大叔母様は
................そこ、そうよ.そこに公子殿下様がお入りになる.それで私が
................前に歩み出るの.そして私がこれを申し上げる−−いいえ、
................違うわ.そうじゃなくて、こう.伯父様がそこに立って手に
................花束を持っているの.そして公子殿下様が入って来られると、
................私が前に出るから、伯父様は私に花束を差し出してちょうだい.
................それから私がそれを受け取って言うの.(到着した学生たちの
................騒ぎ声を聞いて)あら、大変.ザクセン学生団よ.
リュウーダー:もう他の学生さんたちもやって来るぞ!
我々だけでは、とても(準備は)無理だ.
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
des glaub' i a. → das glaube ich ja. の訛りだと思います.
「私は然りだと思います」.
ein/studieren (他) [ある役・歌など⁴を] (練習して)覚えこむ、習得する
❷[バレエ・オペラなど⁴の] けいこをする
jetzt werden mer's einstudieren. →jetzt werden mehr es einstudieren.のことか?
「さあ、もっとリハーサルをしましょう」.
普通の語順はたとえば、jetzt studieren wir es mehr ein !
と思うのですが、方言のためかなと想像しています.
jetzt kommt der Prinz dahier nein → これも自信がないのですが
jetzt kommt der Prinz da herein (そこに公子殿下様が入って来られる)
der Prinz{en/en} 王子、皇子、この物語の設定はKronprinz なので皇太子
ただし、第1幕での訳語を持って来る方が自然と思い公子殿下と
しました.
herein/kommen (i/s) 中に入って来る
jetzt tret i vor → jetzt trete ich vor. のことと思います.
「そこで私が前に歩み出るのよ」.
vor/treten (i/s) 前の方に歩み出る
falsch (形) 間違った
der Buschen →(方言と思います)→ der Busch 大きな花束
entgegen/halten (t/h) (3に4を) 差し出す
der Lärm {es/ナシ} 騒音、雑音、喧噪
(今後、複数形のない名詞は語尾表示をしません)
der Lärm {es/ナシ}はder Lärm {es/}と表示します.
Nu komma die au schon angefahre!
「さあもう他の学生さんたちもご到着だぞ」.
nu は nun (今や、もう)の地方訛りと思います.
komma はkommen、
die は die andere Studenten 他の学生たち、
au は auch の、それぞれ省略された訛り発話と思います.
an/fahren の項目には、「やって来る」の意味はなかったのですが
アクセス独和の追い込みに
angefahren kommen (乗り物で) やって来る
がありました.
この場合、angefahrenを前綴りとする分離動詞
(angefahren/kommen) と考えてよさそうです.
einzeln (形) 個々の、いくつかの
's ischt zu viel für an einzeln → das ist zu viel für an einzeln
私たち数名の手ではとても追いつかない.
an einzeln 若干名の手で
für an einzeln 若干名の手では
zu viel 多すぎる、間に合わない、手に負えない
* 's ischt zu viel für an einzeln
この箇所を他の訳本で照合したところ、
「ひとりきりじゃやりきれんよ」という訳がつけられています.
einzeln には「ひとりの」という意味があるらしく、たとえば、
Einzelzimmer (ホテルの)個室、一人部屋
のように使われています.
私たちは、辞書に従って、「数名ではやってられない」
の訳をつけましょう.
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