お通夜でございます.
本来お通夜は、字の如く「夜を通す」だから夜通し、死者のそばに
いてあげるものでございます.ここでパソコン打っているのはお通
夜の精神に反するのであります.では「夜伽(よとぎ)」という言
葉にすればどうか?残念ながら、これも夜を徹して死者のそばにい
るというのが基本概念であります.
しかし不思議なことに、そのお通夜を死者本人が、死の1日前にや
っていたという、超ファイン・プレーを父はやってのけました.
3月13日(水)、いつものように「おやすみなさい」と言って私
は二階の部屋に上がった.午後9時半のことだった.いつものように、
語学学習(どちらかというと誤学学習)をして私自身の就寝時間、
午後11時に一階に降りて行ったら、父は寝ていません.
「お父さん、寝なくちゃ、デイで疲れているでしょ?寝ましょうね.」
「うん、わかったよ」
そう言っていたので、そのまま私も部屋に上がって寝ました.真夜中
(2時半ごろ)に降りていった(我が家はトイレは1階).そしたら
父は寝ずに起きている.ストーブに両手をかざして、ちょこんとベッ
ドに座っている.
「寝れないのかい?」
そう言って熱いお茶を入れてやった.私は眠たいので寝に上がった.
早朝5時半ごろ、降りていったら、父は依然ストーブに座ったままだ
った.
かくして、父は夜を徹してストーブの前で座っていた.
これが今思うと、自分の一生を振り返っていたのではないかというこ
となのです.
96年3か月の生涯を1夜で回想していたのかもしれない.
3月16日はお通夜でした
死顔は満足そうな顔立ちです.まあまあよかった人生じゃなかと思います.
息子が頼りないことを除いては、憂いのない人生だったのかと思います.
その頼りない息子は今、ブログで日記を書いています.
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