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2017年04月11日

数学: 圏の骨格が圏になること, および HP-42S の数値の内部表現と表示方法について

圏の骨格の構成と, それが圏になることを証明する問題への解答を LaTeX で書いている. やっとここまできた.

これだけ時間がかかったのは, 書いている途中にどんどん解答の粗が見えてきて, そのたびに全部書き直していたからだ.
ずいぶん手間取ったが, 細かい部分にまで考えが及ぶようになってきた道すがらと思えば嬉しい.

$\mathscr{C}$ を任意の圏とする. $\mathscr{C}$ の対象の集まり $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ は同型であることを同値関係 $\backsimeq_{0}$ として, その商空間 $\hat{O} = \mathrm{Ob}(\mathscr{C})\,\big/\!\backsimeq_{0}$ を考えることができる. また, $\mathscr{C}$ の 2 つの射 $(f : X \rightarrow Y), (g : X' \rightarrow Y') \in \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ が同型であることを, 2 つの同型射 $h : X \rightarrow X'$ と $k : Y \rightarrow Y'$ の対 $(h, k)$ が存在して図式
\[
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[r]^{h} \ar[d]_{f} & X' \ar[d]^{g} \\
X' \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{xy}
\] が可換図式になることと定めると, これを同値関係 $\backsimeq_{1}$ として商空間 $\hat{A} = \mathrm{Ar}(\mathscr{C})\,\big/\!\backsimeq_{1}$ を考えることができる.
このとき, 圏 $\mathscr{C}$ の骨格 $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ を次のように構成できる.
(1) 商空間 $\hat{O}$ の各元 $o$ から 1 つ代表元 $X_{o}$ をとって族 $O = \left\{\, X_{o} \,\big|\, o \in \hat{O} \,\right\}$ を構成する;
(2) (1) の $O$ に対して, 商空間 $\hat{A}$ の各元 $\alpha$ から代表元を,
 (i) $\alpha$ がある $X \in O$ に対して恒等射 $\mathrm{id}_{X} : X \rightarrow X$ の同値類であるとき, $\alpha$ の代表元を $f_{\alpha} = \mathrm{id}_{X}$ とする.
 (ii) (i) 以外のとき, $\alpha$ の代表元 $f_{\alpha} = (f : X \rightarrow Y)$ を $X, Y \in O$ を満たすように選ぶことができる;
 (iii) (i), (ii) より $\hat{A}$ の各元 $\alpha$ から 1 つ代表元 $f_{\alpha}$ をとって族 $A = \left\{\, f_{\alpha} \,\big|\, \alpha \in \hat{A} \,\right\}$ を構成する;
(3) $O$ と $A$ の組を $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ とおく. これが圏 $\mathscr{C}$ の骨格となる.
(4) $O$ を対象の集まり, $A$ を射の集まりとして, 各々の射のソースとターゲット, 各々の対象の上の恒等射, 射の合成を適切に定義すれば $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ は圏になる.

こういう構成で証明を書いている. (3) の途中まで書いた. 焦らず慎重に進める.



HP-42S という電卓では, 数値は内部では 12 桁の数値部分と 3 桁の指数部分からなっている.
表示方法は次の 2 種類に分けられる.
(1) 数値を指定の桁数に丸めるフォーマット. 3 種類ある.
 ・ FIX (固定小数点表示)
 ・ SCI (科学向け指数表示)
 ・ ENG (工学式指数表示)
(2) 数値の全桁を表示するフォーマット. ALL フォーマットと呼ばれる.

これを現在一所懸命に理解しようとしているところ.
教科書にしている HP-42S のマニュアルではこれについて丁寧な説明があるのだが, なかなか理解できないでいる.
数値データの構造に関わる説明が頭に入ってこない.
何らかのイメージを頭の中に構築したいと思うのだがなぜだかとても難しい.

それで気が付いたのは, 自分にとってアルゴリズム的な思考が未だに困難だという原因の一つに, ここで遭遇したデータ構造を把握する能力の欠如があるのではないかということである.

以前, 本を読むのが著しく困難だったときには, 文章を繫げている論理の連鎖を頭の中で辿ることができなかった.
それが去年の夏にやっとできるようになり, 読書が再びできるようになった.

同様にプログラミングを行うための思考・アルゴリズムの思考は, データ概念の認識が行えるようになったときに一段階進むのではないか.

さしあたりは, 根気よく考え続けるしか無い.
posted by 底彦 at 22:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学
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