2022年8月更新 / 2017年初出掲載
処方薬や市販の睡眠薬の重篤な副作用に関する懸念が高まる中、睡眠の質を改善するために、消費者は安全かつ効果的な天然由来の製品に注目することが大切です。
天然型GABAを用いた研究で、この成分が安眠促進に優れた効果を発揮することが明らかになりました。
γ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)
γ‐アミノ酪酸(GABA)は、中枢神経系に広く豊富に分布している主要な神経伝達物質であり、脳を正常に機能させる最も重要な調節因子の一つとして機能しています。
GABAが不足すると、睡眠の質の低下をはじめ、不安や抑うつ気分を引き起こしたり、場合によってはてんかんなどの脳や神経系障害につながることがあります。1
GABAの異なる形態
不安や睡眠対策として処方される一般的な薬剤は、脳内でのGABAの作用を高めることで効果を発揮するのが狙いです。ただし、こうした薬剤の多くは習慣性があり、多数の副作用を生じるため、継続的な使用には不向きなものも少なくありません。
GABAの脳内作用を高めたい方がGABAのサプリメントを摂取するのは当然のことですが、実はそれほど単純なことではありません。というのも、まずはGABAの形態を知ることが重要であり、合成GABAではPharmaGABAなどの天然型GABAと同様の効果が得られないことが示されているためです。1,2
合成型GABAは、人体に安全ではないピロリジノンという工業用溶剤を原料として製造されています。一方、PharmaGABAは、キムチの生産に用いられるプロバイオティクス細菌であるラクトバチルス・ヒルガルディー(Lactobacillus hilgardii)を使用して自然発酵で作られたものです。
GABAの働き
詳細な臨床試験により、PharmaGABAは気持ちを落ち着かせながら集中力や思考力を高めるなど、さまざまな効果を発揮することが示されています。1
PharmaGABAは、次のような作用でリラックス効果を促します。
- 副交感神経の活性化
- 脳のβ(ベータ)波に対するα(アルファ)波の比率を増加。
- コルチゾール濃度などのストレスマーカー(指標)を減少。
PharmaGABAは副交感神経を活性化させます。摂取されたPharmaGABAは容易に吸収され、消化管にあるGABA受容体に結合します。そうして末梢神経系に送り込まれ、その情報を脳に伝達します。脳は、副交感神経の活性化につながるようにこの情報を処理します。交感神経が活性化するとストレスを感じ、よく言われる闘争・逃走反応(別名、戦うか逃げるか反応)が起こる一方で、副交感神経が活性化するとリラックス反応が生じます。PharmaGABAを摂取すると、5〜30分以内に副交感神経が活性化されることがわかっています。3 この効果は、ストレス対処や快眠のための準備に役立ちます。
-And-Improved-Sleep">PharmaGABAと睡眠改善に関する研究
PharmaGABAは、特に継続的に使用することで、睡眠の改善を促進する効果があることが明らかになっています。PharmaGABAを用いたある研究では、38人の高齢者にPharmaGABA100mgまたはプラセボを4週間にわたって投与しました。ストレス指標として唾液中コルチゾール濃度が測定され、睡眠と生活の質(QOL)に関するアンケート調査が行われた結果、2週間後と4週間後に、PharmaGABA群のコルチゾール濃度上昇はわずかでしたが、プラセボ群で有意な上昇が認められました。
また、アンケート調査では睡眠の質の向上が示され、PharmaGABA群の被験者から、入眠がスムーズになったという回答や、夜中の目覚め(中途覚醒)や朝の眠気が減ったり、回復力が高まったとの報告がありました。加えて、PharmaGABA群では夜間頻尿の回数も減少しました。4
その上、PharmaGABAは1回の投与でも睡眠を改善することが確認されています。別の二重盲検試験(医師・患者ともに、誰が本物のサプリメント・薬剤かプラセボを摂取しているかわからないように進行して効果を客観的に判定する方法)では、PharmaGABA100mgまたはプラセボを投与して脳波(EEG)が測定されました。5 その結果、PharmaGABAはプラセボよりも入眠に要する時間を5分短縮し、質の高い睡眠時間を増やすことが実証されました。さらに、アンケートでも、PharmaGABAを摂取した被験者の睡眠が改善され、特に覚醒時のエネルギースコアが高くなったことが認められました。
同試験ではPharmaGABA投与後のGABAの血中濃度も測定され、GABAが速やかに吸収され、経口投与後30分で血中濃度が最も高くなることが示されました。このことから、安眠を促すには就寝30分前にGABAを摂取するのが最も効果的であると研究者らは考えています。
睡眠改善効果をはじめとして、PharmaGABAには複数のメカニズムが提案されていますが、最も有力なのは副交感神経の活性化を介したメカニズムでしょう。別の研究では、PharmaGABAが副交感神経の活性化を介して中核体温をわずかに低下させることがわかっています。中核体温を下げることも睡眠改善を促す要因となるものです。1
まとめ
GABAは睡眠の質を向上させるだけでなく、ストレスを感じた際にも使用できます。より良い睡眠を促すには、就寝時に100〜200mgを摂取することが推奨されています。
PharmaGABAには既知の薬物相互作用はありません。なお、一般的なガイドラインとしては、6時間以内に600mg、24時間以内に1,200mgを超えないように摂取することが推奨されています。
GABAで効果を実感するポイントは、PharmaGABAのように発酵プロセスを経た天然型を使用することで