コンベクションオーブン。コンベクション(対流)を利用したオーブンで、ヒーターの熱に風を組み合わせることで対流を起こし、熱風が庫内を循環して均一に熱を行き渡らせて、通常のオーブンとはまた違う仕上がりになるというもの。そしてこの熱風効果で、無駄な脂を落とせるというメリットもあって、近年とても人気の商品だ。




  1. そしてこの人気のコンベクションオーブンに、低温調理、乾燥調理、オーブントースター機能が付いた1台4役の、めっちゃくちゃ重宝するじゃないかー! という「低温コンベクションオーブン TSF601」が本日11月22日、テスコムより発売された。





























メーカー名テスコム
製品名低温コンベクションオーブン TSF601
価格(編集部調べ)16,280円


 











 

発売価格を聞いたときは、一瞬0ひとつ(1桁)勘違いしてしまった私。まさか1万円台中盤で、こんなに多機能なおもちゃ、いやもとい、家電が出るなんて! 料理好きにはこりゃ堪らないぞ! その実力やいかに!? と、思うがままに試してみました。







1台4役!? コンベクションオーブンと低温調理がタッグを組んだ





まずは見た目。デザイン家電と言っても良いくらい、シンプルなのにデザインも色目もとてもオシャレだ。これならキッチンにも馴染んでインテリアとしても素敵。サイズはパッと見、通常の食パンが2枚焼けるオーブントースターくらいだが、そこに奥行きがプラスされて、ほぼ正方形。実際には食パンなら4枚入るサイズだ。

付属品は焼き網、天板、そして焼き網や天板に乗せて使うあし付き網だ。操作部分は、全てダイヤル式。モード選択のダイヤルに、低温・高温用の各温度設定ダイヤル、そしてタイマー設定ダイヤルだ。スタートボタンなどはなく、タイマー設定すると自動で調理開始される仕組み。見た目はただ良いだけでなく、熱くなった正面扉をミトン付けたまま引っ掛けて開けられるような親切設計で、使い勝手も隅々まで考慮されているところが好感度高い。







コンパクトだけれど奥行きが結構しっかり






ヒーターは上下に4本








操作はクルクル回すダイヤルのみ






取っ手も開けやすい親切設計!
















コンベクションオーブンに低温調理まで!? と聞いた瞬間に「作りたい!」と1番に頭に浮かんだのは手ごねのピザだ。ピザ生地の発酵も焼きもこれ1台でできるんでしょ? と、これは中々衝撃で感動なのである。

薄力粉にイースト菌、塩とオリーブオイル、そこにぬるま湯を足してこねる。生地を丸くまとめてから、低温の40℃に設定して、30分間発酵させる。30分経つとふっくらピザ生地の完成である。その生地を伸ばして、クッキングシートを敷いた天板の上に載せる。ピザソース塗って好きな具材を載せて準備完了。

モードを高温+ファンに合わせて230℃で10分。冷蔵ピザは8分とレシピに書いてあったが、結構厚めのパン生地ピザなのでちょっと長めに焼いてみた。そこは作りながらでも微調整すると良いだろう。

焼き上がったピザは我ながらめっちゃくちゃ良い仕上がり。ふっくらジューシーなのに、いい感じのサクッと具合もあり、中々本格的で美味しいピザだ。コンパクトな1台で流れるように作業できるので、いつもより断然手軽さを感じられる。これは最高じゃない! 2人で1枚食べたらお腹いっぱいになるサイズ。もう1枚作りたい場合は生地を倍量発酵させて、1枚食べている間にもう1枚焼いたら、熱々ピザを順番に2種類食べられて良さそう。







ピザ生地作るぞ! 40℃の低温で発酵






30分でブンっと大きくなった








好きな具材のせてオーブンモード






めっちゃくちゃ美味しいんですけど!
















コンベクションオーブンが発売された頃、「揚げない唐揚げを作れる」と言う売りが定番だった気がする。対流を利用して焼き上げるので、余計な脂は落ちるし、カリッとサクッとジューシーに美味しい唐揚げができると言うのだ。コンベクションオーブンの得意技、揚げ物ももちろん作ってみる。

下味を付けた鶏肉に片栗粉をまぶして揚げる竜田揚げ風が、我が家の定番唐揚げだ。高温+ファンの230℃にセットして20分。ザクッとガリッとした衣が好きで、しっかりと片栗粉を付けて揚げるのだけれど、いつもの調子で片栗粉を多く付けてセットしたときからちょっと怪しい気はしていた。

油に入れるのと訳が違って、中から滲み出る鶏自身の脂で揚げ焼きにしていく感じの唐揚げは、片栗粉を全て溶かすほどの脂は出ない。ほぼ揚げ上がる頃、「ですよねー」と思わず言ってしまったほどに片栗粉が白く残っている。20分の調理完了後、一度軽く片栗粉をはたいてから、裏返して追加で5分調理すると、中々良い感じに仕上がったような……。

軽い失敗にちょっと不安になりながら食べてみたら、カリッとしていてとても美味しい! これは冷めても美味しそうなので、お弁当などにもバッチリ。「本当に揚げてないの?」と信じがたいくらいにちゃんと唐揚げだ。通常の揚げ物よりカロリーもグッと抑えられて、私のような揚げ物大好きだけどダイエット中の人間には最高のご馳走。







いつもの鶏肉を天板に並べる






ちょっと不安が募る








嫌な予感的中。唐揚げっぽいけど粉!






でも見るからに唐揚げ! 味も唐揚げ! 美味しい唐揚げ!





教訓としては、調理直前に片栗粉を付けるのではなく、付けダレと片栗粉を一緒にもみ込む感じで作るか、さらに衣に卵を入れるなど、竜田揚げよりも通常の唐揚げの方がもっと美味しくなると思う。

あと、食材自身の脂で焼き上げるので、脂の少ないエビフライなどを作りたい場合は、通常のエビフライと同じレシピだと美味しく仕上がらないので、天板に並べた後に霧吹きなどで油を吹きかけてから調理すると良さそう。パン粉とマヨネーズを混ぜてエビに付けると油+コクというおいしさを手に入れられるのでオススメだけれど、やりすぎると折角のヘルシーさが損なわれるので、良い加減で(笑)。











コンベクションオーブンってめっちゃ便利だなと感動するけれど、さらに低温調理機能まで付いているとか、嬉しすぎる。低温調理もとても人気の調理法で、高温で調理すると水分が逃げて硬くなってしまうお肉も、低温でじっくりと火を通すことで、柔らかくしっとりと旨味を閉じ込めた調理ができるのだ。私の周りでも「低温調理器ほしいけれど、そんなに頻繁に使わないしなぁ。でも美味しいんだよね」と購入を迷っている人がかなり多い。

そうなのだ。めちゃくちゃ美味しいのだ。そして、そうなのだ。そこまで頻繁に使わないのだ。それがオーブントースターと一体化されてたらすんごい便利じゃない! と、かなり目から鱗。通常のオーブンレンジよりも庫内が狭いので、長時間調理にも向くのかもしれない。高温調理は最大60分までだけど、低温調理は最大12時間まで設定できる。







モードによって温度も時間も設定できる範囲が違う





ローストビーフは美味しさを閉じ込めるために、塩胡椒などで下味を付けておいたブロック肉を先にフライパンで表面に焦げ目が付くまで強火で焼く。表面を焼いた肉をアルミ箔で包んで、低温+ファンの70℃にセットして2.5時間。扉から庫内は見えるのに、アルミ箔で調理具合が見えないという、ドキドキワクワク感。じっくり低温で美味しくなーれ! と祈りつつ、特になにもすることがないから好きに過ごす。洗濯しながらドラマを2本見た頃に「ピーピーピー」と仕上がりのお知らせ。

ドキドキオープン! 切りながらしっとり感が伝わってくるくらい! 絶対美味しいに決まってる。と見た目だけでわかる。食べてみると予想通りめちゃくちゃ柔らかいし美味しい。これはご馳走ディナーにもぴったり! 鶏肉でしっとり鶏ハムも作りたい。お肉だけじゃなくて、甘酒やヨーグルトや塩麹など、料理の幅も広がる低温調理。35〜90℃と幅広い温度設定ができるので、これはかなり使えるぞ! 低温でコンフィとかもご馳走に良いよね。







アルミ箔に包んでいざローストビーフ






絶対美味しいやつ! お肉がピンク!
















低温調理にファンを組み合わせることで、低温調理器としてだけでなく、食材乾燥器としても使えるので、ドライフードなども作れる。ドライフルーツが大好きだけれど、市販のドライフルーツは結構お砂糖が多く使われているので、手作りのドライフルーツはとても嬉しい。

付属のレシピブックに載っている「割り干し大根のはりはり漬け」「セミドライトマトとにんにくのオイル漬け」がめっちゃ美味しそう。オーブンで作るイメージが全くなかったレシピのラインナップに、流石この低温コンベクションオーブンの面白さを感じる。

そんな中、取り扱い説明書内の「調理例」の中にしゃぶしゃぶ用のお肉を使ったビーフジャーキーが載っていて、俄然食べたくなった。前日の晩ご飯に火鍋をして余ったしゃぶしゃぶ用の羊肉があったので、ラムジャーキーだ! と、癖のあるラム肉でジャーキーを試してみた。

塩胡椒、ガーリックパウダーをかけたラム肉をあし付き網の上に並べるのだけれど、もし網に肉が絡みついたら嫌だなぁと思い、天板の上にクッキングシートを敷いて作ってみた。低温+ファンの60℃で6時間。じっくりしっかり乾燥して頂きました。

6時間経つと本当にパッキパキ! 見事にジャーキーになってて感動。噛めば噛むほど肉の旨味が染み出すジャーキーは、美味しくてかなりハマりそう。これをツマミについつい飲んじゃう(笑)。レシピに「脂身を取り除く」と書いてあるけれど、これはちゃんと守った方が良い。脂身は乾燥しづらいだけじゃなくて、なんとまぁ美味しくない。脂身を外すことさえ忘れなければ、かなり美味しいジャーキーを食べられる。好きなスパイスを組み合わせると違った美味しさも発見できそうだ。







しゃぶしゃぶ肉を並べていく。ちょっと面倒






パキパキピーンの完全ジャーキー(笑)
















ダイヤルひとつで簡単に、そして豊富な調理ができるこの低温コンベクションオーブン。手軽さと万能さに感動しながら、おやつも食べちゃう。手の込んだ料理も美味しいけれど、サツマイモの美味しい季節だから焼き芋でも食べちゃうぞ。と、洗ったサツマイモをアルミ箔で包んで焼いてみた。

高温+ファンの230℃で、高温運転時に設定可能なMAX60分焼く。高温調理中は扉のガラス部分がかなり熱くなるので、低温調理時のように目を離すのは結構危険。特に子供やペットなどがいる場合は、手の届かない所に置いて、なおかつ絶対に目を離さないようにする必要がある。

30分もしないうちに、焼き芋の甘い香りに包まれてきて、ヨダレが出てきそう。焼き上がった芋をアルミ箔から出してみると、美味しそうな焼き芋が出来た! サツマイモの当分が蜜になって、ちょっと黒く焦げ目までできていて最高の仕上がりだ。甘くてねっとりとした食感の焼き芋は最高のオヤツ。芋の大きさにもよるけれど、3〜4つを1度に作れる。







高温調理時はかなり熱くなる。どれどれ? なぁんて触ってみてやばかった






美味しいさつまいも使ってみた。蜜出てるじゃん!








割ったときの感動ったら! めっちゃ美味しい焼き芋





私は焼き芋も大好きだけれど、干し芋に目がない。干し芋ってめっちゃくちゃ美味しくない? 普通は蒸した芋を乾燥させて作る干し芋だけれど、この焼き芋を乾燥させたら美味しいに決まっている! と思い立って、焼き芋の残りをスライスして、網に乗せて干し芋を作ることにした。

ドライフルーツや干し芋などの薄い食材を使うときは、焼き網とあし付き網を組み合わせて2段で乾燥させることができる。低温+ファンの70℃で3時間。焼き芋からの干し芋と2度の美味しさを味わえて幸せすぎる。これは低温コンベクションオーブンだからできる贅沢な合わせ技。めっちゃくちゃ使える!







2段で干し芋を作ってみよう






暴力的な美味しさだった。焼き芋からの干し芋は完全にやばい!
















オーブントースターあったら便利だよな。でも場所取るし。と敬遠しちゃう人も多いはず。朝トースト派でない我が家も同じくそんな状態。でも、ただ「焼く」と言うだけじゃなくて、幅広い調理が出来る調理家電としてかなり使えそうな低温コンベクションオーブン。

パンやグラタンのような焼く洋食だけじゃなくて、和食からスイーツまでアイデア次第で無限に広がる可能性にわっくわくする。低温調理器ほしかった人にも、ドライフードメーカーほしいなって思ってた人にもこんな選択肢があったか! とびっくりする1台なのではないでしょうか?

主張しすぎないオシャレさは、キッチンにも馴染むし、お手入れも苦にならない。パンくずトレイは取り外しできるので、引き抜いて洗うことができるし、天板や網もスポンジでじゃぶじゃぶ洗うだけ。本体は洗えないけれど、布巾で拭くのも楽々なサイズとシンプルさ。普段使いにもご馳走作りにも、保存食だって作れちゃうこの1台は今まであるようでなかった、ある意味新しいキッチンのシンプルな形のような気もしている。