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2016年10月19日

274.Dragon Age II

Dragon Age II (ドラゴンエイジII)



 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「ドラゴンエイジ2」のレビューです。

 前作ドラゴンエイジ:オリジンズにて描かれる「ブライト」の戦火から逃れるため、海を渡ってとある街に辿り着いた主人公ホークとその家族たち。
 彼、もしくは彼女がこの街で英雄と呼ばれるまでになった過程を描いたRPGです。

 世間では、世界の危機「ブライト」とそれを鎮めた救世主の物語であるオリジンズに比べ、街とせいぜいがその郊外でイベントが決着し、いわゆるサクセスストーリーに終始する本作はあまり評価が良いとは言えません。
 しかし個人的には本作の方が楽しめた感があります。

 オリジンズの攻略がかなり以前のことなので、大分記憶があやふやなのですが、当時私がオリジンズに感じたのは、ほとんどのキャラクターがそれぞれの種族の代表のような立ち居振る舞いをしており、あまり個性やその人個人を感じられず、常に大局を眺めているような気分に陥ったことでした。

 その点、本作でのストーリー視点はかなりミクロ寄りになり、種族ではなくそのキャラ個人の性格や人生観が浮き彫りにされているように感じます。
 もっと言えば、前作およびAwakening(未プレイ 汗)でも登場したアンダースは、もっとも好きになれず、また客観的に見ても多くの人に好かれないだろう性格をしていました。
 というのも彼はオリジンズで私が感じたままのマクロすぎる立ち位置に固執しており、なんというか「自分と世界」の間に「あなた」がいない、思春期特有の人格成型途中の気が見て取れるのです。
 ありていに言えば中二病であり、それは彼が人生の大半をサークルでの幽閉に費やしたと考えると、Act3メインミッション「野放し」に出てくるあのボンボン貴族のように、「大人になれずに大人になった」ようにも思え、そこを意識してキャラ作りをしているなら、やはりさすがはバイオウェア、人物描写の技術は飛びぬけていると思います。

 アンダースは二言目には教会は〜、テンプル騎士団は〜、魔道士は〜と宣い、線引きされたカテゴリの中で物を語ろうとします。
 その癖自分の中に棲みつく精霊を出汁に「俺は危険な奴なんだ、近づくな」と自分にもレッテルを貼り、その思想を他人に押し付けようとします。
 嫌な奴ではないんだけれど、他のパーティーメンバー全員が各々の問題と良識と、他人に対する一定の距離を持っているのに対し、彼だけが喧嘩腰で、どうにも精神年齢が一回り低く見えるんですよね。
(仲間クエストの最終盤において、ストーリー序盤から抱えていた問題を解決するにあたり、唯一その道を諦めさせられないキャラでもあります)

 まぁ、アンダースについてはこの辺にしておいて、そんなわけで本作では人と街そのものが主役でもあり、世界であり、その世界の問題はやや簡潔にまとめられています。
 政治と、二つの集団の対立と、外からの脅威です。

 街は初めから危ういバランスの元に成り立っており、この秩序がいつ崩壊してもおかしくない状況でした。ここに住むすべての人が、この状況から脱し、安定を求めて動き回っている結果でもあります。
 主人公はこの問題に巻き込まれ、成り行きで権力を手にしたと見ることが出来、「こいつが来なきゃこんなことにはならなかったんじゃないか」とか、「よくわからんうちに英雄になっちゃった」とか、否定的な意見を見ることもできます。
 ただ、もう少し深読みすると、前述の通り街は既に危ういバランスに瀕しており、ホークが手を出さずともいずれ崩壊していたはずです。
 ご都合主義的にたまたまホークが注目され英雄となったのかもしれませんが、彼/彼女自身もまたこの街に生きる一市民として、街の現状に疑問を抱き、彼/彼女なりのやり方で皆と同じように動き回り、住みよい街に、故郷と呼べるよう自分の好きな場所にするべく走り回った結果だと、私は思うのです。

 ドラゴンエイジ=竜の年という「時代」をテーマにした本シリーズですから、この歴史に大きな亀裂を残すブライトを描くのは当然ですが、この激動の時代に在った一つの街を舞台にその群像劇を表現するのも、タイトルにしっかりとマッチしたやり方だと思います。
 本作もまた非常にドラゴンエイジらしい、と感じました。

 たとえば戦国時代、というと合戦の様子ばかりが描かれますが、安土桃山文化に生きる人々の暮らしや悲喜こもごもを著(あらわ)すのも、戦国時代という時代の一つの描き方ではないでしょうか。

 ちょっと難しい? 話になってしまったけど、それぞれのキャラがどいつもこいつも皮肉屋で会話スキルが妙に高く、その辺がまたドラゴンエイジらしくて、でもってドワーフのヴァリックの感嘆するほどの面倒見の良さや、鉄面皮のアヴェリンの思わずにやけるラブコメやら、非常に楽しめたんですよ。
 Actが進むごとに三年刻みで年代も進み、その都度街の様子が少しずつ変わっていくのが味わい深いです。
 あたかもハイファンタジーの世界の、一つの都市の中で、様々な人と触れ合いながら暮らしているようです。

 また本作の良い点は好感度の仕様が見直されたことだと思います。
 前作では仲が悪くなるとパーティーを離脱してしまうことがあり、八方美人の良い子ちゃんを演じなければならない向きがありました。
 しかし本作では(選択肢次第ではやはり離脱もあるのですが)、仲が悪いのではなく意見が対立する、というシステムに変更されており、たとえ自分と意見が合わなくとも自らの主義を信じ突き進む姿には尊敬の念を覚える、という感覚がよく表現できていると思います。
 これによってたとえば魔道士は悪であり、テンプル騎士団によって管理されるべきだ、と考えるフェンリスと真っ向から対立し、魔道士は不当に扱われていて、解放されるべきだと主張する主人公とロマンスを開始し、成し遂げることだってできるし、「テンプル騎士団のやり方は気に食わないけど、お前にはついていくよ」と説得することも可能です。
 初回プレイにおいてより自分らしい(プレイヤーらしい)選択肢を選べるようになって、これは良いシステムだと思いました。

 ただ、このシリーズを通してちょっとした不満があります。
 それは、「発展」しない、という点です。

 正+反=合

 という式があります。
 これは対立する二つの意見を鑑み、そのどちらも凌駕する、あるいはまったく別の方向へと導く別の回答を提示する、という考え方で、私は小説専門学校に通っている際に先生から教わりました。

 ドラゴンエイジには、この考え方が存在しないのです。

 プレイヤーには選択する自由という采配が与えられており、それによってプレイヤーだけの歴史を作ることができます。
 しかしそれはいつだって、対立する二つの立場のどちらを選ぶか、ただそれだけのなのです。
 作中では、どちらの陣営の良い部分も悪い部分も存分に描かれます。
 だからこそどちらの陣営を選ぼうとも痛みと喜びがついて回り、それがプレイヤーに一つの感動と次周へのモチベーションを与えるのですが。
 ゲーム内キャラクターはどちらの陣営も、我が陣営こそが正義であり、まぁ多少まずいところはあるんだけれども、あらゆる物事、要素にたいして相手には譲れない、清濁併せ呑んだ上で支配するか、あるいはされるか、という頑固者たちです。

 どうして自らの非を認め、自浄する、自らが自らを見つめなおすという行為をしないのでしょうか。
 テンプル騎士団は魔道士たちに冷酷すぎると非難することは出来ても、「それはしょうがないことだ」と一蹴され、魔道士たちに対する新しいルールを考えるという道はありません。
 同様に魔道士側にも、絶対悪であるブラッドマジックの存在を黙認し、テンプル騎士に対する切り札としている節があります。
 テンプル騎士団が魔道士にもう少しの自由を与える代わりに、サークル自体が魔道士を管理し、ブラッドマジックの撲滅を誓えば、それはなかなかに住みやすそうな街が出来上がるのですが……。

 この辺の考え方をゲームに落とし込もうとすると、それはもうゲームではなくなってしまうのかもしれませんが。
 やはりどちらかを切り捨てるだけの選択は、個人的には辛いものがあります。

 まぁ、クナリ族を見て「やっぱり共産主義っていつも叩かれてるなぁ」とか、DLCの配信が止まって久しいので「あぁ〜DLCもやりたかったぁ、やりたかったなぁ〜……(中古で買ったので付属のコードは使用済みでした 泣)」とか、誤字をちょいちょい見かけるけど翻訳の質は非常に高く、追従を「ついしょう」と読んでくれたことに感動したり(追従には「ついじゅう」と「ついしょう」と二つの読み方がありますが、私は単純に付き従う意味を「ついじゅう」、へりくだってちょっと嫌味を持つ時を「ついしょう」と読んでいます。本作ではその意味を正しく使ってくれたと感じて感動しました)、そんなくだらないことも考えながらちゃんと楽しみました。

 ONEも持ってないくせに今からインクイジションが楽しみで仕方ないっす(笑)
*日向さんのプレイ日記やすっごい綺麗な画像を見てると、ため息が漏れます。

攻略サイト


この記事へのコメント
つい指名してしまいました(汗)
おはようございます、ここではお久ですね。ギアーズ4が楽しそうで何よりです。

DA2待っててくれたんですね! 嬉しいです。オリジンズのデータを残しておいたので効率を求めれば一周で終わらせられたのですが、別に二周やってもいいやという気持ちで、ほとんど攻略を見ずに進めていきました。

一周目は真面目お姉さんで旦那はフェンリスでした。まぁ、消去法ですね(笑)
もしも可能ならばヴァリックを選んでいたかも。仲間たちを陰から見守る甲斐性は男の私でも惚れました(笑)
魔道士解放ルートだったのでライバル度マックスなフェンリスとはある意味ドキドキなロマンスでしたが、最後にぎゅってしてくれたのは結構感動ものでした。
仲間同士の会話で、私が見ている横でイザベラがちょいちょい旦那に色目を使うのがなんだかジェラシーでした(笑)

二周目は真面目で短気な両手剣男子。大槌や大剣を振り回してザクザクするのが気持ちよかったです。
もちろんテンプル騎士寄りなんですが、どこで選択肢を間違ったのかAct3序盤の口論でポコンが来なかった時は密かに三周目を覚悟しました(笑)
その後のメインクエスト中にもまだチャンスが残されていたので事なきを得たのですが、結構ハラハラしました。
(でもまぁ三周目は仮面マークのお茶目ホークを楽しむのもいいかなと、何気に三周目のモチベーションもありました)

一周目は葉っぱのマークの真面目ちゃんで聞ける話は全部聞く、二周目は拳マークの短気君で必要最低限の会話しかしませんでしたが、二つとも印象ががらっとかわりますねぇ。

一周目は和気あいあいとして、かなり気持ちがよく、自宅のボヤキなんかも笑えましたし、ストーリーの繋がりもすんなりいってると思いました。
逆に二周目はすごく殺伐としていて、全ての仲間から嫌われ、サークルに送られた妹と決別し、裏切り者も抹殺し(笑)、海賊にはお宝を持ち逃げされ、残った仲間にも散々嫌味を言われました。
あ、ちなみにこの時の嫁はメリルです。
彼女のクエストの展開を知っているので、涙を飲んでパーツを取り上げましたが、最後にはわかってくれたようです(Act3はちょっと疲れて駆け足だったので、仲間クエストは最後までやっていません)

仲間たちに、ギフトを突き返された時は笑いました。どんだけ嫌われてんねん(笑)

自分語りが多くなってしまいました……。衝撃のラストに感動、とか、余韻に浸る、というより本作は過程を楽しむゲームですね。それだけに語りたいことが尽きません。

ONEについてですが、実は最初にプレイするゲームを決めてあったりします! たぶん、「えー? これかよ〜……」みたいな反応が多そうですが、私はどうしてもやりたいんですっ!

ヒント:「どうしてもやりたいなら別にONEじゃなくても……」

他にもやりたいものはたくさんあるのですが、ONEにも溜まりまくったGwGを消化するのにヒーヒー言いそうです。
Posted by あるへ at 2016年10月20日 10:55
あるへ様、コチラではお久しぶりです!
実はこのゲームのレビューが上がる日を楽しみに待っておりました♪
しかも、わたしへの私信付きっ! ご指名ありがとうございます(笑)。

アンダースは、わたしもあまり好きになれなかったのですが、
あるへ様とは理由が違います。

パッと見、志村けんを外国人にしたような見た目で
(あの髪型と、おデコの広がり具合などが…)、
どうしてもわたしの中では恋愛対象になりませんでした(笑)。
でも、時々ハートのアイコンを選んだりして
アンダースをからかっていた記憶が残っております(←オイ)。
ちなみにわたしの『嫁』はフェンリスでした♪

このゲーム内での行動が、後のOneの DA:I の内容にも響きますので、
どうぞお気を付けて下さいね!

Oneを早くご購入出来ると良いですね!
本体と一緒に何のゲームをご購入なさるのでしょうか?
XBLAでも面白そうな物がたくさんございますが、
全てプレイするには時間が足りなさ過ぎますよね。
Posted by 日向 at 2016年10月20日 07:45
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