最近の研究でうつ病と不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害などの神経症とが併発することがわかってきた。
過去に購入した本に興味深いことが記載されていたので、
今回は強迫性障害(強迫神経症)について述べてみようと思う。
神経障害のひとつに強迫性障害というのがある。
最近の精神医学の研究結果から、神経症やうつ病を発症する人の何割かは、
神経症とうつ病が併発するか、またはどちらかの疾患が完治後に発症することが明らかになってきている。
強迫性障害にせよ、パニック障害にせよ不安障害には強烈な不安感や恐怖感がともなうことは共通している。
また、不安障害、強迫性障害、うつ病、自律神経失調症の症状が混在しているケースのほうが多いという臨床データがある。
例えばうつ病の場合、不安障害の症状である病的な不安感もあるだろうし、
強迫性障害の症状である過去の失敗のことの記憶で頭の中がいっぱいになり、
その観念を自分の意志で打ち消すことができずに気になって仕方ないなどの症状が出る場合が挙げられる。
また、それらの観念や不安感、恐怖感が生じるイメージや考えが何度も繰り返されて頭をよぎり、
自分の意志ではコントロールできずに苦しみ生活に支障をきたす。(反復常同という)
その中で、強迫性障害の主な症状は以下のようなことであるといわれおり、「自分の意志でそれらの感情を抑制できない」状況である。
1、強迫観念の例
1)ホコリやばい菌や環境汚染など不潔な状況がひどく気になってしかたがない。(潔癖恐怖)
2)怖い夢をみたり、服が急に破けたりすると、何か恐ろしい出来事が起きるのではないかと強い不安が生じたりする。
3)自分の体の健康のことがやたらに気になり、ささいな体調不良でも大きな病気の初期ではないかと不安でしかたがなくなる。(ヒポコンドリー性格)
4)形の左右対称でないことや物事が正確でないことに不安やイライラ感が生じる、自分で制御できない。
(公務員やお堅い仕事の人ってこうゆう性格の人が多い、民間業者からすればはた迷惑である)
5)家の鍵のかけ忘れや、ガスの元栓の閉め忘れ、ストーブの消し忘れなどが気になり、
自宅に確認しに戻らずにはいられない。
6)人が死んだらどうなるのだろうなどという観念が頭に浮かびそれが繰り返し思い出され、不安と恐怖のため不眠や食欲不振などの症状に悩まされ苦しむ。(正常な人ではそのような気持ちが浮かんでも気にならない)
7)自分が倫理に反することをしてしまうのではないかという観念が浮かび、そのような観念が頭から離れない。
(実際そのようなことは起きない)
8)自分が他人に被害を与えたのではないか、与えてしまうのではないかということが頭から離れない。(加害恐怖)
例えば、車の運転中に人を轢いてしまったのではないという観念にとらわれ、その場所に戻って確認しないときがすまないとか。
以上は代表例であるが、要するに過剰な自己防衛本能が根底にあり、普通人なら自己防衛本能が生じて、
それが一過性で終了するものが、
事実がなくなっても、またはそのような事実が現実に起きていなくとも頭の中でいつまでも不愉快だったことが繰り返しよ
みがえり、気になり、強烈な不安感が終息せず、精神的に苦しい思いをするのである。(反復常同)
また、そのことが他人にばれるのを恐れ、隠そうとする。
この症状の時、脳内ではどのようなことが起きているかを説明したいと思う。
それは脳内の視床の周辺の神経回路での神経伝達の異常であることがわかってきた。
まず最初に強迫観念が生じる過程として、普通に慣れたことには恐怖や不安は生じないが、
初めてやることや未知のことを考えたとき、生物的な自己防衛本能として、
今の事象は過去に自分が苦痛を受けたパターンなのか快楽を受けたパターンのどちらに類似しているかを記憶回想から無意識に判断する。
その際、苦痛を受けたパターンに似ていたり、どちらのパターンにも該当しないと判断した場合、不安感や緊張感が生じる。
その不安感や緊張感が生じる時、過去の不安や恐怖を感じた際のイメージが頭に浮かんでくる。
普通の人はここで不快事項が現実的でなかったり、危機が回避を行い、それで情報処理は完了し安定するのだが、
強迫性障害の人はその観念がいつまでも減弱しない。同じ考えやイメージが自分の意志に関係なく繰り返しよみがえり
苦しむ。
この状態の時、大脳新皮質から入力された情報から視床周辺脳では
「前頭葉眼か面----線条体----淡蒼球----視床-----再度の前頭葉眼か面」に至る一連の神経回路での
情報伝達が異常になり、反復常同が生じる。
これは上記の神経回路部分での血流が活発化していることが確かめられており、
神経回路どこかの部分が興奮状態であったり、興奮の抑制不能状態であることがわかってきた。
したがって、これらの神経伝達はドーパミン作動性神経の過剰興奮、セロトニン作動性神経の不活性による抑制不足によると考えられている。
その証拠に、日本では平成9年以降に国内でも医療機関で投与が可能になった選択的セロトニン阻害剤(SSRI)が
強迫性障害の治療に効果を上げている。また、物事にこだわるのはこの回路でのドーパミン神経の過剰活動によるものが
考えられているため、スルピリドというドーパミンD2受容体を選択的に阻害する薬も効果を発揮している。
また、強迫性障害の治療には薬物療法と併用した認知行動療法などの精神療法も有効であることが確かめられている。
私は以上のようなことを知っているため、多少なりともこころを安定させるすべを知っている。
それは、現在、自分がどうしてこのような気分になるかを自己の脳内の機構を知ることで理解することで得られるのである。
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