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2018年08月23日

ビジネス日本語の攻略法3

2.2 ビジネスメール 

 2018年、大連で3年生のビジネス日本語のクラスを担当した。教材の内容は、ビジネスの中で使用する電子メールについてであり、例題も多く、学生が自分でビジネスメールを書く練習ができる。そのため、担当者が面倒くさがらずに添削してあげれば、楽しくビジネス日本語の勉強をすることができる。
教材は、基礎編、実践編、応用編の三つからなっている。基礎編は、ビジネスメールの構成要素についての説明であり、実践編は、電子メールの件例が内容別に17項目紹介されている。そして、応用編は、学生が自分で課題の電子メールに取り組めるように工夫されている。
 例えば、類型1では、カタログの送付や納期の延期、そして資料の送付の催促について、具体的なビジネスメールの例題、内容の要点の説明、例題と関連する表現、決まり文句の練習、ビジネス用語が見開き二ページに説明してある。
 参加者に課しているトレーニングは、ビジネス表現の例題の暗記、用語の小テスト、応用編の課題メール作 成、そしてそれぞれの類型の例題に対する返信である。最後の返信につては、例題の内容を踏まえた上で、敬語や婉曲表現そして準備のことば(铺垫语)を入れながら返信文を書いていく。これは、教材にある課題ではないため、教案として平時で回すには、早め早めにクラスの進捗を管理する必要がある。
【課題4】 以下の電子メールに返信文を書け。
受信メール
いつもお世話になります。
以前一度お聞きしたと思いますが、間違いであるといけませんので、改めてお支払い方法について教えていただけますでしょうか。申し訳ありませんが、こちらの経理処理の都合上、できましたら1月20日までにお知らせいただければと思います。(宛名、差出人省略、以下同様)
-----------------------------
返信メール
ご連絡ありがとうございます。
支払い方法は、弊社法人取引銀行の○○銀行を通じて、期日までに貴社の振込先ご指定口座へ送金する予定です。今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます。送金後、改めてこちらからご連絡いたします。
注意
支払い完了後の確認メールは、経理ではなく営業がすることになっている。できれば、自社の経理に確認して、支払日を先方に知らせておくとよい。

花村嘉英(2018)「ビジネス日本語の攻略法」より

ビジネス日本語の攻略法2

2 教授法からのアプローチ
 
 ビジネス日本語のクラスをこれまでに数回担当している。内容は、ビジネス日本語会話とビジネスメールの書き方についてである。教材は、「商务实战日语会话」、「新商务日语基础教程」、「日语会话商务篇」そして「职场日本语-邮件写作篇(しごとの日本語)」を使用した。

2.1 ビジネス日本語会話

 2009年当時、日本語のビジネスといっても翻訳のチェッカーと英日と独日翻訳者という経歴のため、武漢では、主に社内コーディネーターとのやりとりをイメージし、授業を進めていた。語順、活用のあるなし、「てにをは」など日本語と中国語の文法レベルによる違いだけでなく、日本語は敬語が発達しているという特性から、ビジネスに必要な言い回しについても説明した。
 例えば、お客様や上司、初対面のときのような社内でも社外でも改まった場面では、敬語を使う習慣がある。直接的な表現を多用する中国語とは異なり、婉曲表現による間接的な言い回しや本題の直近に入る準備のことば(铺垫语)を覚えることで、日本人に近いビジネス日本語を使用することができるようになっていく。
【課題1】
基本会話(ABA)に続けて、自分たちで会話を作ってまとめる練習。
A 日本では転職するのが難しいんですか。
B ええ、外国と違って同じ会社で定年まで働き続ける人が多いです。
A でも若者の考え方は随分変わったようですね。
B ―――
武漢では、翌年も教材を変えて、日常の簡単なビジネスの場面を想定しながら、ペアワークを中心にして学生に練習を課した。確かに会話だけで日本のビジネスを理解するのは難しいため、さらに、グループワークとして会議を想定し、役割を決め、議題を課してミーティング形式でトレーニングをするとよい。議題と構成員は、クラスの担当教員が予め決めておく。
【課題2】
新商品の紹介と営業の引き継ぎ(議長一人、社員二人、取引先営業二人)、課のメンバーの作業の進捗(課長一人、メンバー四人)、定例のイベントの準備(プロジェクトリーダー一人、メンバー四人)
【課題3】
寧波でもビジネス日本語の基礎編を担当した。
です・ます形式を許可と禁止の表現に変えて発音する練習。
A この件を上司に報告します⇒この件を上司に報告してもいいですか。
B まだ調査中です⇒すみませんが、まだ調査中ですから、報告しないでください。
最初に全体練習、次にペアワークで会話を覚えて発表する。

ビジネスで使用する手紙やスピーチの方法を練習して発表する。
近況報告、招待状、ワークショップ等を模して実践に近づけていく。

花村嘉英(2018)「ビジネス日本語の攻略法」より

ビジネス日本語の攻略法1

1 先行研究

 私の学歴や職歴について最初に説明する。元々、ドイツ文学やアメリカの言語学を専攻し、人文と認知科学を研究してきた。また、職歴は、日本語教授法と機械翻訳が中心で、実務や資格を重ねながら翻訳の作業単位(外国語+専門の系列)を調節してきた。例えば、ドイツ語と文学、中国語と法律(契約書)、英語と情報、ドイツ語とバイオ、英語やドイツ語とメディカルである。
 研究実績については、マクロの文学分析に取り組んでいる。人文でマクロというと、まず東西南北である。私の場合は、日本やドイツそしてアメリカが先行し、そこには東西があり、その後日本と中国やアパルトヘイトとナチスから東アジア及び南アフリカとドイツという南北が出てくる。これは、私の著作からもわかることであり、それが客観的な証拠になる。さらに、自分が読める言葉の国地域から小説を選択していくと、日本と豪州、北米と南米という組ができて、オリンピックに近づいて行く。
 さらにフォーマットのシフトという項目をマクロの評価に加えていく。Tの逆さの認知科学を崩して縦横それぞれに言語と情報の認知を置き、Lのフォーマットを作成する。その際、信号がスムーズに横をスライドするように、翻訳の作業単位で調節していく。自分が所属する専門の系列のみならず、他系列の実務や資格でも実績を作れれば、小説のデータベースを作る際に、テキスト共生の基礎として役に立ち、翻訳の実績が文学分析にも影響を及ぼす。
 文系、理系を交えて何か記事を書くとき、こうした実績を私なりに調整している。ビジネス日本語は、先行して技術文の和訳の品質を管理する際に母国語のトレーニングとなり、その後、中国の大学で日本語専門家としてビジネス日本語のクラスを担当したことが実績といえる。
 この論文では、ビジネス日本語に関する理論的な枠組みを教授法から考察し、実践レベルの取り組みを翻訳の実務やトレーニング方法から考えていく。

花村嘉英(2018)「ビジネス日本語の攻略法」より

2018年08月13日

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する11

5 まとめ
 
 ヴァイスゲルバーの意味内容文法を語彙、統語論、テキスト共生と拡大することにより、一応言語研究の流れを作ることはできた。これで卒論から現在までの最新の研究をお浚いすることができ、今後の展開次第では、地球規模とフォーマットのシフトからなるマクロの研究方法を確立するところまでいく。平時の教授法のみならず、学会などで折に触れて人文科学もシナジー・共生を目指した育成に取り組むべきであると述べていきたい。

【参考文献】

池上嘉彦 文化人類学と言語学 弘文堂 1980
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・
ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集(2017)
花村嘉英 シナジーのメタファーを外国語教育にも応用する ファンブログ 2018
福本喜之助・寺川央 現代ドイツ意味論の源流 大修館書店 1975
Leo Weisgerber Die vier Stufen in der Erforschung der Sprachen. Pädagogischer Verlag Schwann, 1963
Engel/Schumacher Kelines Valenzlexikon deutscher Verben. Gunter Narr Verkag Tübingen, 1978

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する10

C 分析の組

 さらに、テーマを分析するための分析の組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、理論と実践、一般と特殊、言語情報と非言語情報、強と弱など。

表2
分析の組                   説明
ボトムアップとトップダウン 専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える
              概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。              
理論と実践        すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの
              論理文法が理論で、翻訳のトレーニングが実践になる。
一般と特殊        小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みで
              あり、後者は共生の読みである。
言語情報と
非言語情報        前者は言語により伝達される情報、後者はジェスチャーのような非言語情報で
              ある。
強と弱          組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に
              固執するため、テーマを展開させにくくなる。
論理計算と統計      計算文学というと、情報科学の専門家が購読脳を分析するために数理や
             コンピューティングを駆使して研究するイメージがある。しかし、人文から
             寄せる計算文学は、購読脳と執筆脳を調節する論理計算やデータベースの
             統計処理が分析のツールである。

 日頃からこのような調節をしながら、トーマス・マンの「魔の山」、魯迅の「狂人日記」や「阿Q正伝」、森鴎外の「山椒大夫」や「佐橋甚五郎」及びナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”についてLのストーリーを作成した。
 テキスト共生に通じるには、文と理で語彙、統語論、テキストが調節できるようにならなければならない。そのために容易に応用ができる場の理論などで言語の研究から文理の共生を目指し、日々前を向いて勉強するとよい。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する9

A シナジーの組

 例えば、人文と情報(コーパス、パーザー、計量言語学、翻訳メモリー)、文化と栄養、心理と医学、社会とシステム、法律と技術(特許)、法律と医学、法律とエネルギー、社会と福祉、医療と経営、経営工学、金融工学、ソフトウェアとハードウェアそして文学と計算などがこのグループに入る。これらの中から何れかの組を選択して、テーマを作っていく。もちろんこれらの組について複数対応できることが望ましい。
 
B テーマの組

 選んだ組からLに通じるテーマを作るには、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照の言語文学と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目も必要になる。ここでミクロとは主の専門の研究を指し、マクロとはどの系列に属していても該当するように、地球規模とフォーマットのシフトを評価の項目にする。シナジーの研究は、何かとバランスを維持することが大切である。
 「トーマス・マンとファジィ」は、ドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は、中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。文学と計算のモデルは、こうした調整が土台になっている。

表1

テーマの組                 説明
文系と理系          小説を読みながら、文理のモデルを調節する。
人文科学と社会科学      文献とデータの処理を調節する。
言語文学(対照と比較)   対照言語と比較言語の枠組みで小説を分析する。
東洋と西洋          東洋と西洋の発想の違いを考える。例えば、東洋哲学と西洋哲学、
               国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
基礎と応用         まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家の
               Lのモデルと比較する。
伝統の技と先端の技     人文科学の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト
               共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。
ミクロとマクロ       ミクロは主の専門の調節、マクロは複数の副専攻を交えた調整。
               少なくとも縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する8

4 シナジーのトレーニング
 
 組のアンサンブルによるトレーニングを推奨するのは、文理共生・シナジーという研究の対象が元々組からなっているためである。例えば、手のひらを閉じたり開いたりするのも、肘を伸ばしたり畳んだりするのも運動でいうシナジーである。Lのモデルができるだけ多くの組を処理できるように、シナジーの研究のトレーニングとして三つのステップを考えている。(花村2017、95)
 人文から理系に向けた研究方法を何か工夫して、何とか異質のCに辿りつくようにしたい。どうすればよいのだろうか。この10年来小説のデータベースを作成する研究を試みている。既存の文学分析にも理系の研究にも照合ができるリレーショナルなデータベースを作成分析し、作家の執筆脳(シナジーのメタファー)を研究している。
 これまでに、「トーマス・マンとファジィ」、「魯迅とカオス」、「森鴎外と感情」、「ナディン・ゴーディマと意欲」というシナジーのメタファーを考案している。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する7

3 中国人に母国語(日本語)を教授する−母国語教育から試みるテキスト共生

 花村(2017)では、人文科学から共生を目指すためのトレーニングを紹介している。そこでは、組のアンサンブルという社会科学で分析の基礎をなす調整の方法が鍵になる。無論、平時で取り組む日本語教育は、人文学院や外国語学院の学生が対象となるため、人文と社会であれ、人文と理系であれ、とりわけ共生を目指したカリキュラムではない。しかし、組のアンサンブルを提唱するための問題提起はできる。
 人物評価をする際に、社会科学や理系は、縦の専門と横のシナジー・共生が調節できるようにLの研究フォーマットを採用している。社会系と理系の組み合わせは実務にもつながることから、それぞれが横も調節できるようにマクロの評価項目を設けている。しかし、議論の対象は、人文の人たちにこうしたLの評価がそもそもないことである。
 原因は何であろうか。人文科学の伝統の技は、文学、言語、思想そして文化などである。また、ことばごとに分かれていて専攻科目もたくさんある。人文の関係者が平時に取り組む教授法は、共通の実務である。教授法の周りに自分の専門分野があり、副専攻として専門以外にも通じたことばがある。しかし、実績を見るといずれも人文科学のもので、横に目安はない。では、どうすれば横に目安を置いて、評価を出すことができるのであろうか。
 ひとつは、人文の人も横に実務を作るとよい。つまり、テキスト共生をスローガンにし、同じ日本語の単語でも文理で系列を行き来すると、意味内容に違いが生まれる。母国語の受容の新たな段階がここにある。
 以下に紹介するシナジーのメタファーの研究は、Lの研究フォーマットを使用するため、人文→理系→人文→理系という具合に系列を入れ子にしてストーリーを作成していく。そこで、母国語のみならず外国語、特に対照言語でも場の理論が応用できるように、文理の意味内容の調節ができるようになるには、文系であるが機械翻訳に従事するなど日頃からのトレーニングが必要になる。それができれば、シナジーのメタファーが外国語教育にも応用できるとする仮説は、正しくなるであろう。(花村 2018)
 
花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する6

2.4.2 場の理論 

 卒業論文でも取り上げた場の理論について見てみよう。言語の記号は、動物の鳴き声のような自然の記号に対して人為的といわれる。この人為的な記号は、精神に対して意識の対象を形成する。このような精神的な世界は、どんな法則によって作られているのであろうか。言語については、個人の行為ではなく、ドイツ民族とか日本民族が使用する母国語を想定する必要がある。人為的記号は、個人の生活を越えた持続性とか集団全体の共有物という特徴を持っている。
 言語社会には音的な言語手段というものが存在し、それがその言語社会の他のメンバーに伝えられることは明白である。しかし、意味内容がいかにして限定され規定されているのか、母国語の世界像全体から考察しなければならない。それが場の理論である。つまり、それが一つの構造全体から生じてくる価値となる。全体の観点から、相互に作用し合うような全体という形で分節されている。このような母国語の言語手段の集まりをヴァイスゲルバーは、言語の場と呼んでいる。(池上1980、244)
 言語の場の考え方は、語彙レベルのみならず統語論においても重要であり、統語の場についても触れている。成績評価の語彙は、段階違いのみならず、一文の中に入りかつ状況を踏まえることで意味内容に違いが見られる。

(6) Der Aufsatz ist mit “gut” bewertet. (作文は良の評価で合格した。)

(6)は、先にも触れた段階別の評価により“gut” の意味内容が微妙に異なることがある。また、これに(6)の文を使用する状況が意味の調節のために加わる。例えば、ほとんどの学生が優であれば、あまりできる人ではないし、優が数人であれば、クラスの中で平均以上の評価になる。つまり、語彙のレベルよりも統語レベルの場の法則は、意味内容の微妙な違いをより複合的に評価することができる。無論、ヴァイスゲルバーは、言語の場には隙間があることも認めている。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する5

2.4 母国語教育

2.4.1 母国語の受容 

 言語の運用に関する考察は、まず言語共同体を単位にして包括的に進んでいく。続いて個人のレベルの考察となる。そのため、ヴァイスゲルバーの発想は、歴史や文化も含めた生活の中で言語の研究をまとめるためのものである。言い方を変えれば、集団の脳の活動とか個人の脳の活動という考え方である。
 ヴァイスゲルバーは、ヨーロッパの言語学者であるためフランス語などドイツ語以外の言葉にも通じていた。そのためドイツ以外の国地域を比較する伝統的な言語の研究について、例えば、場の理論からその意義を述べている。
 ことばの作用とは、相互作用に基づいた関係の一面と見なされ、歴史や文化の展開が言語にどのように作用しているのかを考察していく。そのため、言語学周辺の学問からの補足も他の側面として意味がある。そこで、上述にある、技術、法律、芸術、宗教に加えて、人文科学も脳科学を研究する時代であることから脳科学も考察の対象にする。
 母国語の世界観は、外界の存在が意識の中に入る過程で重要な役割を果たすという。すべての母国語の音声形式は、母国語の意味内容が従属しているためである。そのため、世界を言語化するプロセスの相互作用において母国語と言語共同体は、組にして考える必要がある。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より
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プロフィール
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花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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