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2024年09月18日

花村嘉英 研究一覧

【研究発表】 

●ドイツ・チュービンゲン大学新文献学部ドイツ語学科のゼミ(1989年−1990年)で統語論について発表し、オランダ語のゼミ(1989年−1990年)は、演習に参加した。また、言語学科のゼミは、音韻論(1993年)と意味論(1994年)で発表し、博士論文(HPSG für Textanalyse – zur Ironie Thomas Manns)(1995年)を作成した。
●文理シナジー学会で「文学とカリキュレーション」という組み合せで4回研究発表をした。(1998年、2004年、2006年、2007年)私の計算文学の目標は、作家の執筆時の脳の活動(シナジーのメタファー)を分析することにあり、「トーマス・マンとファジィ」、「魯迅とカオス」、「森鴎外と感情」、「ナディン・ゴーディマと意欲」、「川端康成と認知発達」などがその例である。
●武漢科技大学外語外事職業学院で「中国から伝わった日本のことばや文化」及び「日本語会話のトレーニング−場面のイメージ作り(状況意味論)」と題して2回発表をした。(2009年、2010年)
●中国・延辺大学の中日韓朝言語文化比較研究シンポジウムで「中日翻訳の高速化−比較言語学からの考察」及び「20世紀前半に見る東西の危機感」と題して2回研究発表をした。(2011年、2013年)
●日本語教育国際研究大会(名古屋大学)に於いて、「読む・書く」というテーマで教案を脳トレとリンクさせる要約法について研究発表をし、さらに「研究でつながる広場」で「日本語教育におけるシナジー論」と題して意見を交わした。(2012年)
●北京日本学研究センター及び中華日本学会が主催した「日本研究の新展開」国際シンポジウム(北京外国語大学)で「魯迅から鴎外へ-比較文学による考察」と題して研究発表をした。(2012年)
●四川外国語大学の国際シンポジウム−文化の越境と他者の表象で「『狂人日記』から見えてくるカオス効果について−認知言語学からの考察」と題して発表をした。(2013年)
●南京農業大学で開催された中国日語教学研究会江蘇分会で「森鴎外の『山椒大夫』のDB化とその分析」と題して研究発表をした。(2014年)
●上海外国語大学で開催された中日対照言語学研究会で「産業日本語の学習法とその応用例−2段階の処理法について」と題して研究発表をした。(2015年)
●南京林業大学で開催された中国日語教学研究会江蘇分会で「森鴎外の『佐橋甚五郎』のDBとバラツキによる分析」と題して研究発表をし、懇親会でも意見を交わした。(2016年)
●上海の同済大学で開催された中国日語教学研究会上海分会で「シナジーのメタファーの作り方」と題して研究発表をした。(2017年)
●上海の同済大学で開催された中国日語教学研究会上海分会で「川端康成の『雪国』から見えて来るシナジーのメタファーとは」と題して研究発表をした。(2018年)
●杭州師範大学で開催された中国日語教学研究会暨日本学研究国際研討会で「マクロの文学分析のための一考察−作家の条件として危機管理者を想定する」と題して研究発表をした。(2019年)
●中国日語教学研究会上海分会主催の日本語教育と日本学研究国際シンポジウム(ZOOM開催)において「三浦綾子の『道ありき』でうつ病を考える−人文科学から病跡学へ」と題して研究発表をした。(2020年)

【学術関連表彰】
「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」華東理工大学出版社 2015年
●栄誉証書 大連外国語大学(文献学)2017年3月
●栄誉証書 南京農業大学(文献学)2017年3月、2017年5月
●捐赠証書(奨励)北京大学 2017年3月
●捐赠証書(奨励)北京外国語大学 2017年3月

【著作・論文・研修・資格】
【日本語】
◎言語系
●論文題目 日本語の会話や作文からやさしい翻訳へ−中国人に日本語を教授する 武漢科技大学外語外事職業学院 2010年
●論文題目 中国語ネイティブに向けた日本語の作文のトレーニング 日本語教育国際研究大会(名古屋2012)2012年
●論文題目 人文科学のための人材育成ついて 日本語教育のためのプログラムに収録 日本語教育国際研究大会(名古屋2012)
●論文題目 人文科学から始める技術文の翻訳−英日 独日 中日(レポート)上海外国語大学 2015年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」のデータベース化とその分析 中国日語教学研究会江蘇分会論文集 2015年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」のデータベースとバラツキによる分析 中国日語教学研究会江蘇分会論文集 2016年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」のくるバラツキについて 2018年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」の相関関係について 2018年
●著書名 日语教育计划书 面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017年
●論文題目 シナジーのメタファーを外国語教育に応用する ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 ビジネス日本語の攻略法 ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 中国から日本に伝わったことばや文化について−欧州との比較も交えて 武漢科技大学外語外事職業学院 2019年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて森鴎外の「山椒大夫」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-森鴎外「山椒大夫」2019年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」の交絡について 2021年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「山椒大夫」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」の相関関係について 2018年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて森鴎外の「佐橋甚五郎」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-森鴎外「佐橋甚五郎」2019年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」の交絡について 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 森鴎外の「佐橋甚五郎」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 森鷗外の「渋江抽齋」を感情で読む 2021年
●論文題目 森鷗外の「衛生新篇」で研究ノートを作成する 2021年
●論文題目 森鴎外の病跡学−人間鴎外と作家鴎外 2021年
●論文題目 森鷗外の「舞姫」でテキストマイニングを考える 2022年
●論文題目 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」中国日語教学研究会上海分会論文集 2018年
●論文題目 川端康成の「雪国」のバラツキについて 2018年
●論文題目 川端康成の「雪国」の相関関係について ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 川端康成の「雪国」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて川端康成の「雪国」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-川端康成「雪国」 ファンブログ 2019年
●論文題目 川端康成の「伊豆の踊子」でテキストマイニングを考える 2022年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」で執筆脳を考える−連合野の働き 2021年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」のバラツキについて 2019年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」の相関関係について 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて井上靖の「わが母の記」を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 井上靖の「我が母の記」と認知症の関係について ファンブログ 2020年
●論文題目 井上靖の「わが母の記」から三角関数の応用例を考える 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」で執筆脳を考える−不安障害 ファンブログ 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」のバラツキについて 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」の相関関係について 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて小林多喜二の「蟹工船」を考える 2019年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」の交絡について 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 小林多喜二の「蟹工船」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」で執筆脳を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」のバラツキについて 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」の相関関係について 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて三浦綾子の「道ありき」を考える 2019年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」の交絡について 2020年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でファイ係数を考える 2020年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」から三角関数の応用例を考える 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」で寄与危険を考える 2021年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」で執筆脳を考える−自然や文化の観察者の立場から ファンブログ 2020年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」のバラツキについて 2020年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の相関関係について 2020年
●論文題目 島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2020年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて島崎藤村の「千曲川のスケッチ」を考える 2020年
◎文学系
●論文題目 中島敦の「山月記」で執筆脳を考える−パーソナリティ障害 ファンブログ 2019年
●論文題目 国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年 ファンブログ 2020年
●論文題目 芥川龍之介の「河童」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 坂口安吾の「肝臓先生」で執筆脳を考える−漠然とした不安 ファンブログ 2020年
●論文題目 志賀直哉の「城の崎にて」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 佐藤愛子の「沢村校長の晩年」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 有島武郎の「小さき者へ」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 横光利一の「蝿」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年 ファンブログ 2020年
●論文題目 横光利一の「蝿」でテキストマイニングを考える 2022年 
●論文題目 幸田文の「父」で執筆脳を考える−臨終 ファンブログ 2020年
●論文題目 泉鏡花の「外科室」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 有吉佐和子の「華岡青洲の妻」で執筆脳を考える−乳がん手術法 ファンブログ 2020年
●論文題目 水上勉の「海の牙」で執筆脳を考える−水俣病 ファンブログ 2020年
●論文題目 遠藤周作の「あの世で」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 谷崎潤一郎の「盲目物語」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 開高健の「裸の王様」で執筆脳を考える−アスペルガー症候群 ファンブログ 2020年
●論文題目 古井由吉の「水」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 五木寛之の「冬のひまわり」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 武者小路実篤の「愛と死」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 永井荷風の「濹東綺譚」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 田山花袋の「蒲団」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 田山花袋の「田舎教師」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 太宰治の「ヴィヨンの妻」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 宮沢賢治の「ひかりの素足」で執筆脳を考える−共生故の幸福 
●論文題目 井伏鱒二の「山椒魚」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年 ファンブログ 2020年
●論文題目 柴田翔の「鳥の影」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 宮本百合子の「播州平野」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 三島由紀夫の「潮騒」で執筆脳を考える ファンブログ 2021年
●論文題目 三浦綾子の「道ありき」でうつ病から病跡学を考える 中国日語教学研究会上海分会論文集 2021年
●論文題目 川端康成の病跡学−人間川端と作家川端 2022年
●論文題目 夏目漱石の「坊ちゃん」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 広津和郎の「神経病時代」で執筆脳を考える−反射的な痙攣 ファンブログ 2023年
●論文題目 長塚節の「土」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 堀辰雄の「風立ちぬ」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 江川晴の「看護婦物語」で執筆脳を考える ファンブログ 2023年
●論文題目 上山明博の「関東大震災を予知した二人の男」で執筆脳を考える ファンブログ 2024年
●著書名 小説をシナジーで読む−森鴎外から川端康成へ データベースと病跡学に備えて V2ソリューション 2024年 
●データベース 森鴎外「山椒大夫」「佐橋甚五郎」「安井夫人」「魚玄機」、井上靖「わが母の記」「天平の甍」、川端康成「雪国」「伊豆の踊子」、中島敦「山月記」、小林多喜二「蟹工船」、三浦綾子「道ありき」、島崎藤村「千曲川のスケッチ」、志賀直哉「城の崎にて」、国木田独歩「武蔵野」、芥川龍之介「河童」、坂口安吾「肝臓先生」、有島武郎「小さき者へ」、横光利一「蝿」、泉鏡花「外科室」、幸田文「父」、佐藤愛子「沢村校長の晩年」、有吉佐和子「華岡青洲の妻」、水上勉「海の牙」、遠藤周作「あの世で」、谷崎潤一郎「盲目物語」、太宰治「ヴィヨンの妻」、宮沢賢治「ひかりの素足」、堀辰雄「風立ちぬ」、田山花袋「蒲団」「田舎教師」、永井荷風「濹東綺譚」、堀辰雄「風立ちぬ」、古井由吉「水」、開高健「裸の王様」、幸田露伴「五重塔」、五木寛之「冬のひまわり」、武者小路実篤「愛と死」、井伏鱒二「山椒魚」、広津和郎「神経病時代」、三島由紀夫「潮騒」、阿部公房「飢餓同盟」、柴田翔「鳥の影」、長塚節「土」、夏目漱石「坊ちゃん」、宮本百合子「播州平野」、壷井栄「二十四の瞳」、瀬戸内寂静「紹興」、石坂洋次郎「若い川の流れ」、大江健三郎「アトミックエイジの守護神」、三浦哲郎「忍ぶ川」、上山明博「関東大震災を予知した二人の男」、渡辺淳一「光と影」、新田次郎「神通川」、安保邦彦「明けない夜の四日市」、北條民雄「ライを病む青年」、紀貫之「土佐日記」、竹西寛子「蘭」、曽野綾子「椅子の中」、江川晴「看護婦物語」、樋口一葉「たけくらべ」

【中国語】
◎言語系
●論文題目 中日翻訳の高速化−比較言語学からの考察 延辺大学中日朝韓言語文化比較研究国際シンポジウム 2012年
●論文題目 「狂人日記」から見えてくるカオス効果について−認知言語学からの考察(統合失調症)四川外国語大学国際シンポジウム 2013年 
●著書名 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015年 
●論文題目 サピアの「言語」と魯迅の「阿Q正伝」−魯迅とカオス 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品に収録 2015年
●Babel 中日契約書翻訳講座修了 2017年10月
●論文題目 魯迅の「狂人日記」のバラツキについて ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」の相関関係について ファンブログ 2018年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて魯迅の「狂人日記」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−魯迅の「狂人日記」2019年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」から微分法の応用を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」の交絡について 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「狂人日記」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」のバラツキについて ファンブログ 2018年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」の相関関係について ブログ シナジーのメタファー 2018年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて魯迅の「阿Q正伝」を考える 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−魯迅の「阿Q正伝」2019年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」の交絡について 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」でファイ係数を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 魯迅の「阿Q正伝」でカイ二乗検定を考える 2021年
●論文題目 莫言の「蛙」で執筆脳を考える−帝王切開 ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」のバラツキについて ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」の相関関係について ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」の多変量解析−クラスタ分析と主成分 ファンブログ 2020年
●論文題目 心理学統計の検定を用いて莫言の「蛙」を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」の交絡について ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」でファイ係数を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 莫言の「蛙」でオッズ比を考える 2021年
●論文題目 莫言の「蛙」でカイ二乗検定を考える 2021年
●著書名 小説をシナジーで読む−魯迅から莫言へ シナジーのメタファーのために V2ソリューション 2023年 
◎文学系
●論文題目 魯迅の「祝福」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 魯迅の「藤野先生」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 高行健の「朋友」で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 高行健の「円恩寺」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 高行健の「车祸」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 高行健の「文学の理由」について考える 2022年
●論文題目 谌容の「人到中年」で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 王安憶の「小鮑庄」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 阿城の「棋王」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 阿城の「孩子王」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 陸文夫の「美食家」で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 汪曽祥の「橋辺小説三篇」で執筆脳を考える 2023年
●データベース 魯迅「阿Q正伝」「狂人日記」「祝福」「藤野先生」、莫言「蛙」、高行健「朋友」「円恩寺」「车祸」、谌容「人到中年」、王安憶「小鮑庄」、阿城「棋王」「孩子王」、陸文夫「美食家」、汪曽祥「橋辺小説三篇」

【ドイツ語】
◎言語系
●発表題目 トーマス・マンのイロニーとファジー理論 文理シナジー学会 東海大学 1998年
●発表題目 計算文学のすすめ−Thomas Mannの “Der Zauberberg”(魔の山)を考える(発表)文理シナジー学会 東京文化会館 2005年
●著書名 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎(出版証明書付) 2005年 
●論文題目 論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用 計算文学入門に収録 2005年
●論文題目 やさしい曖昧な数学(ファジィ集合)−「魔の山」をマージする 計算文学入門に収録 2005年 
●発表題目 計算文学の基礎固め:トーマス・マンの “Joseph und seine Brüder”(ヨーゼフとその兄弟)を考える(発表)文理シナジー学会 日本アムウェイ 2006年 
●発表題目 計算文学のすすめ−トーマス・マンと鴎外の比較(発表)文理シナジー学会 日本アムウェイ 2007年 
●論文題目 Thomas Mannの“Der Zauberberg”(魔の山)のデータベース化と推定からの分析 ブログ シナジーのメタファー 2017年
●論文題目 ラフ集合でThomas Mannの「魔の山」を考える−テキストマイニングのトレーニング ブログ シナジーのメタファー 2017年
●論文題目 トーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)のバラツキについて ファンブログ 2018年
●論文題目 トーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)の相関関係について ファンブログ 2019年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること−トーマス・マンの「魔の山」2019年
●論文題目 トーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)の多変量解析−クラスタ分析と主成分 ファンブログ 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてトーマス・マンの“Der Zauberberg”(魔の山)を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 トーマス・マンの“Joseph und seine Brüder”(ヨーゼフとその兄弟)の「ヤコブ物語」に見るファジィ測度について Puboo 2019年
論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”(旅人よ、汝スパ…にいたりなば)で執筆脳を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”のバラツキについて 2019年
●論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”の相関関係について 2019年
●論文題目 ハインリッヒ・ベルの “Wanderer, kommst du nach Spa…”の多変量解析-クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてハインリッヒ・ベルの“Wanderer, kommst du nach Spa…”を考える 2019年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”(幸せではないが、もういい)で執筆脳を考える−実母のうつ病 ファンブログ 2020年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”のバラツキについて 2020年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”の相関関係について 2020年
●論文題目 ペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”の多変量解析-クラスタ分析と主成分 2020年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてペーター・ハントケの“Wunschloses Unglück”を考える 2020年
●論文題目 ハントケの“Wunschloses Unglück”から三角関数の応用を考える 2020年
●論文題目 今後のAIの活用について−自然言語処理技術を文学分析に応用する Gaccoのレポート 2020年
●論文題目 Anfangen、beginnen、aufhörenにおける様相因子の動きから生まれる文の曖昧性−モンタギュー文法による形式意味論からの考察 ブログ シナジーのメタファー 2020年
●論文題目 ドイツ語の話法の助動詞をモンタギュー文法から考える 2022年
●論文題目 モンタギュー文法の意味公準について考える−階層的な様相表現を中心にして 2022年
●論文題目 モンタギュー文法からGPSGへーイディオムの構成性をめぐるモデル理論の修正 2022年
●論文題目 イディオムーMGからGPSGそしてHPSGへ 2022年
●著書名 計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る V2ソリューション 2022年 
◎文学系
●翻訳書名 Johan Wolfgang von Götheの“Italienische Reise”(イタリア紀行)(共訳、監修)2010年 バベル出版
●論文題目 エリアス・カネッティの “Die Stimmen von Marrakesch”(マラケシュの声)で執筆脳を考える ファンブログ 2019年
●論文題目 フランツ・カフカの“Die Verwandlung”(変身)で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 ヘルマン・ヘッセの”Schön ist die Jugend”(青春は美わし)で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 ハインリッヒ・ マンの”Der Tyrann”(専制君主)で執筆脳を考える ファンブログ 2020年
●論文題目 ハインリッヒ・ マンの”Die Branzilla”(ブランツィッラ)の執筆脳について ファンブログ 2020年
●論文題目 ゴットフリート・ベンの”Gehirn”(脳)で執筆脳を考える ブログ シナジーのメタファー 2020年
●論文題目 シュテファン・ツヴァイクの”Angst”(不安)で執筆脳を考える−不安障害 2021年
●論文題目 ギュンター・グラスの”Katz und Maus”(猫と鼠)で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 ゲアハルト・ハオプトマンの”Der Schuß im Park”(公園での発砲)で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 パオル・ハイゼの”Unvergeßbare Worte”(忘られぬ言葉)で執筆脳を考える 2023年
●データベース トーマス・マン “Der Zauberberg”(魔の山)、ハインリッヒ・ベル “Wanderer, kommst du nach Spa…”(旅人よ、汝スパ…にいたりなば)、エリアス・カネッティ “Die Stimmen von Marrakesch”(マラケシュの声)、ペーター・ハントケ “Wunschloses Unglück”(幸せではないが、もういい)、フランツ・カフカ “Die Verwandlung”(変身)、ヘルマン・ヘッセ”Schön ist die Jugend”(青春は美わし)、ハインリッヒ・ マン”Der Tyrann”(専制君主)、”Die Branzilla”(ブランツィッラ)、ゴットフリート・ベン”Gehirn”(脳)、シュテファン・ツヴァイク”Angst”(不安)、ギュンター・グラス”Katz und Maus”(猫と鼠)、ゲアハルト・ハオプトマン”Der Schuß im Park”(公園での発砲)、パオル・ハイゼ”Unvergeßbare Worte”(忘られぬ言葉)

【英語】【フランス語】【スペイン語】
●論文訳 Linguistics of Sapir and the world of “The True Story of Ah Q” – Luxun and chaos, 2015
●論文訳 Chaotic effect expected from “A Madman’s Diary”-Consideration from cognitive linguistics, 2015
●エイブス・メディカル翻訳講座英和上級修了 2016年2月(同講座初級修了 2015年9月、同講座入門修了 2014年5月)
●論文訳 Study to make a database of “Sansho the Bailiff of Ogai Mori”, July 2018
●論文訳 To make a database of Jingoro Sahashi of Ogai Mori and its deviation, July 2018
●論文訳 How to make a synergic metaphor, January ブログ シナジーのメタファー 2018  
●論文題目  “The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)から見たゴーディマの意欲について−脳の前頭葉・前頭前野の活動を中心に 2018年
●論文訳 About motivation of Nadine Gordimer viewed from “The Late Bourgeois World”, ブログ シナジーのメタファー 2018年
●著書名 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲−適応障害 華東理工大学出版社 2018年
●論文題目 ナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”のバラツキについて ファンブログ 2018年
●論文題目 ナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”の相関関係について ファンブログ 2018年
●論文題目 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできること-ナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World” ファンブログ 2019年
●論文訳 Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata – from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive, ブログ シナジーのメタファー 2019
●論文題目 ナディン・ゴーディマの “The Late Bourgeois World” の多変量解析−クラスタ分析と主成分 2019年
●論文題目 心理学統計の検定を用いてナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”を考える 2019年
●論文題目 ジョン・マックスウェル・クッツェーの “Age of Iron”(鉄の時代)で執筆脳を考える ブログ シナジーのメタファー 2020年
●論文題目 ドリス・レッシングの “Hunger”(飢え)で執筆脳を考える 2021年
●論文題目 アルベール・カミュの “L'Étranger”(異邦人)で執筆脳を考える−不安障害 2021年
●論文題目 パトリック・モディアノの “Fleurs de ruine”(廃墟に咲く花)で執筆脳を考える 2021年
●論文訳 Research on a synergic metaphor of “Frog” by Mo Yan, ブログ シナジーのメタファー 2022
●論文題目 ガルシア・マルケスの “Amargura para tres sonámnulos”(三人の夢遊病者の苦しみ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 バルガス・リョサの “El abuelo”(祖父)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 パール・バックの “The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)で執筆脳を考える−発達障害 2022年
●論文題目 アリス・マンローの “Tell me Yes or No”(はっきりいってよ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アーネスト・ヘミングウェイ “The old man and the sea”(老人と海)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 ジャン・ポール・サルトルの “La Nausée”(嘔吐)で執筆脳を考える−吐き気 2022年
●論文題目 ル・クレジオの “Pawana”(パワナ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 クロード・シモンの “Le tramway”(路面電車)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アルフォンソ・ドーデの “ La Dernière Classe”(最後の授業)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アナトール・フランスの “Crainquebille”(クランクビーユ)で執筆脳を考える 2022年
●論文題目 アブドゥルザラク・グルナの“Departure of memory”(出発の記憶)で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 レイナルド・アレナスの“Antes que anochezca”(夜になる前に)で執筆脳を考える−エイズ 2023年
●論文題目 フランソア・モーリャックの“Génitrix”(母:ジェニトリックス)で執筆脳を考える−軽度認知症 2023年
●論文題目 アニー・エルノーの“L'occupacion”(嫉妬)で執筆脳を考える−意識障害 2023年
●論文題目 パトリック・ホワイトの“The Hanging Garden”(空中庭園)で執筆脳を考える 2023年
●論文題目 アンドレ・ジイドの“La symphonie pastrale”(田園交響曲)で執筆脳を考える 2024年
●論文題目 トニ・モリソンの“The bluest eye”(青い目が欲しい)で執筆脳を考える 2024年
●データベース ナディン・ゴーディマ “The Late Bourgeois World”(ブルジョワ世界の終わりに)、ジョン・マックスウェル・クッツェー“Age of Iron”(鉄の時代)、ドリス・レッシング“Hunger”(飢え)、パール・バック“The child who never grew”(母よ嘆くなかれ)、アリス・マンロー“Tell me Yes or No”(はっきりいてよ)、アーネスト・ヘミングウェイ“The old man and the sea”(老人と海)、アブドゥルザラク・グルナの“ Departure of memory”(出発の記憶)、パトリック・ホワイト“The Hanging Garden”( 空中庭園)、トニ・モリソン“The bluest eye”(青い目が欲しい)、ガルシア・マルケス“Amargura para tres sonámnulos”(三人の夢遊病者の苦しみ)、バルガス・リョサ“El abuelo”(祖父)、レイナルド・アレナス“Antes que anochezca”(夜になる前に)、アルベール・カミュ“L'Étranger”(異邦人)、パトリック・モディアノ“Fleurs de ruine”(廃墟に咲く花)、ジャン・ポール・サルトル“La Nausée”(嘔吐)、ル・クレジオ“Pawana”(パワナ)、クロード・シモン“Le tramway”(路面電車)、アルフォンソ・ドーデ“ La Dernière Classe”(最後の授業)、アナトール・フランス“Crainquebille”(クランクビーユ)、フランソア・モーリャック“Génitrix”(母:ジェニトリックス)、アニー・エルノー“L'occupacion”(嫉妬)、アンドレ・ジイド“La symphonie pastrale”(田園交響曲)

【比較言語・比較文学】
●論文題目 魯迅から鴎外へ−比較文学からの考察(レポート)北京外国語大学「日本研究の新展開」国際シンポジウ 2012年
●論文題目 20世紀前半に見る東西の危機感−魯迅、鴎外、トーマス・マン 延辺大学中日朝韓言語文化比較研究国際シンポジウム 2014年       
●論文題目 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖(病跡学)中国日語教学研究会上海分会論文集 2018年
●論文題目 ことばの呼応とその運用を比較する−英語、ドイツ語、日本語、中国語を中心に ブログ シナジーのメタファー2018年
●論文題目 日本語から見た東アジアと欧米諸語の比較−言語類型論における普遍性を中心に ファンブログ 2018年
●論文題目 リスク社会学の観点から文学をマクロに考える−危機管理者としての作家について 中国日語教学研究会上海分会論文集 2020年
●論文題目 観察社会学の観点から文学をマクロに考える−自然や文化の観察者としての作家について 2020年
●論文題目 医療社会学の観点から文学をマクロに考える−データ分析者としての作家の役割について 2021年
●論文題目 家族社会学の観点から文学をマクロに考える−小説から社会と家族の関連性を考える 2021年
●論文題目 数理社会学の観点から文学をマクロに考える−不満がもたらす問題をランダムに比較する 2021年
●論文題目 文化社会学の観点から文学をマクロに考える−都市と地域の時空の現象 2021年
●論文題目 環境社会学の観点から文学をマクロに考える−四大公害病を中心に 2021年
●論文題目 福祉社会学の観点から文学をマクロに考える−ケア、看取り、貧窮を中心に 2021年
●論文題目 スポーツ社会学の観点から文学をマクロに考える−陸上を中心に 2022年
●論文題目 時間の比較社会学の観点から文学をマクロに考える−南部アフリカを中心に 2022年
●論文題目 老年社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 子ども社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 教育社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 法社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 農村社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 都市社会学の観点からマクロに文学を考える 2023年
●論文題目 終活の社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 宗教社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 看護社会学の観点から文学をマクロに考える 2023年
●論文題目 災害社会学の観点から文学をマクロに考える 2024年

【社会・システム】
●論文題目 「日本経済入門」の講義とその応用例(レポート) ファンブログ 2018年
●論文題目 リスク社会論からトップダウンで作家の執筆脳を考える−中島敦の「山月記」を交えて 2019年
●埼玉西部消防組合 甲種防火管理新規講習修了 2019年5月
●日本学術振興会 研究倫理 eラーニング 「事例で「学ぶ/考える」研究倫理 誠実な科学者の心得」修了 2019年8月
●ICR臨床研究入門 倫理審査委員会向けの倫理研修 eラーニング修了 2019年8月
●JTEX 知的財産権入門講座修了 2019年12月
●Fisdom修了講座 10進法を2進法に変換、暗号化、パリティチェック、情報リテラシー Office2016、統計学入門、Python入門、学校における無線ネットワークの作り方、安全学入門、インターネットセキュリティ、情報法 2019年12月
●INPIT 工業所有権研修・情報館 eラーニング 20講座受講済 2020年5月
●日本能力開発推進協会 マインドフルネススペシャリスト検定試験合格 2020年10月、上級心理カウンセラー検定試験合格2021年7月、行動心理士検定試験合格 2023年1月
●特許庁 「シナジーのメタファ―」の商標登録許可 2021年3月
●Gacco修了講座 セキュリティ・プライバシ・法令、公衆無線LANセキュリティ対策、SDGs(持続可能な開発目標)入門 、Memento Moriー死を想う、大学生のためのデータサイエンス、社会人のためのデータサイエンス 、多変量データ解析法 、統計学−データ分析の基礎、誰でも使えるオープンデータ、進化発生学入門、心理学スパイラルアップ、推論・知識処理・自然言語処理、クラウド基盤構築演習、アーキテクチャ・品質エンジニアリング、スマートIoTシステム・ビジネス入門、IoTとシステムズアプローチ、クラウドサービス・分散システム、センサ、機械学習、深層学習、社会の中のAI、ビジネスフィールドでのAI・データ活用スキル 2024年9月現在

【バイオ・メディカル】
●日本成人病予防協会(JAPA)健康管理士一般指導員認定 2015年3月、健康管理能力検定1級取得 2015年3月、健康管理士一般指導員ゴールド認定 2017年4月、食育セミナー「身体を強める食動学」参加 2017年10月、ステップアップ講座(横浜)参加 2017年12月、健康管理士上級指導員認定 2020年3月、健康管理士統括指導員認定 2023年10月
●予防医学・代替医療振興協会修了講座  予防医学指導士 2015年12月、代替医療カウンセラー 2016年4月、認知症ケアカウンセラー 2016年12月
●フードデリバリー  熱中症対策アドバイザー認定 2018年7月
●ソラスト修了講座 医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト)養成講座 2018年10月、医療事務講座クリニックコース(2019年3月)
●技能認定振興協会(JSMA)医師事務作業補助者検定試験合格 2019年4月
●日本癌治療学会 Cancer eラーニング 104講座修了 受講証明書有 2019年8月
●日本人間ドック学会 遺伝学的検査検討委員会 eラーニング修了 2019年8月
●日本医療ガス学会 医療ガス安全管理研修 eラーニング修了 2019年8月
●ICR臨床研究入門修了講座 臨床研究の基礎知識講座、臨床研究のデータベースマネージメント入門、再生医療研究のインフォームド・コンセント、事例から学ぶ研究倫理 2019年8月
●JTEX 製薬・医薬品の基礎講座修了 2019年10月
●東京女子医科大学 教育・学習支援プログラム 100講座修了 2020年2月
●動脈硬化予防啓発セミナー eラーニング 55講座修了 2020年5月
●Gacco修了講座 がんゲノム医療オンライン講座2020(ノート作成済)2021年3月
●日本糖尿病学会 リアルタイムCGM研修 eラーニング修了 2021年4月
●日本臨床腫瘍学会 市民公開講座「正しく知ろう!がん免疫療法とがんゲノム医療」受講済 2021年4月、がんゲノムネット eラーニング 受講済 2021年5月
●厚生労働省 Peace 緩和ケア研修 eラーニング修了、IHEAT 新型コロナウイルス感染症等に対する人材育成eラーニング 受講済 2021年5月
●MPラーニング(薬学) 50講座修了 2022年2月
●医療情報処理学会医療情報技師育成部会 eラーニング 受講講座 医療情報基礎用語集、個人情報の保護法、医療統計セミナーB、 医療情報学研究の最前線と医療現場を繋ぐ 2024年9月現在

【所属研究会】
●日本成人病予防協会 
https://fanblogs.jp/macroresearch/履歴書

【連絡先】
電話 04-2921-1820、メール hanamura36@gmail.com

シナジーのメタファーのメリット

 作家の執筆脳を探るシナジーのメタファーの研究は、@LのストーリーやAデータベースの作成、さらにB論理計算やC統計処理が必要になる。しかし、最初のうちは、ある作品について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(@、A、Bまたは@、A、C)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。以下に、シナジーのメタファーのメリットをまとめておく。

【メリット】

・作家の執筆脳を分析して組み合わせを作る際、定番の読みを再考する機会が得られる。
・定番の読みは、外国語の場合、客観的に読めているかどうかを確認するのに便利である。
・データベースの作成は、作品の重読と見なせるため、外国語の習得にも応用できる。理解できる言葉であれば、何語でもよい。
・データベースの作成が文献学だけでは見えないものを提供するため、客観性も上がり、研究者個人の発見に繋がる。
・その際、フロントのカラムだけではなく、セカンドのカラムも考えると分析が濃くなる。
・また、形態解析ソフトなど新たにインストールすることなく、マイクロソフトのWordやExcelで手軽に取り組むことができる。
・論理計算を習得すると、言語文学に関する認知科学の知識が増える。
・データ分析により平易な統計処理ができるようになる。
・作家違いでデータベース間のリンクが張れると、ネットワークによる相互依存関係も期待できる。
・バランスを取るために二個二個のルールが適用されれば、社会学の視点からマクロの研究に関するアイデアを育てることができる。
・人間の世界を理解するには、喩えだけでは物足りず、作家を一種の危機管理者または観察者と見なして、相互依存に基づいた人間の条件を理解することができる。
・作家の執筆脳は、世界中であまり研究対象になっていないため、研究に取り組めば、難易度の高い研究実績として評価が得られる。特に、自分自身の認知の柱を作成できるところがシナジーのメタファーの研究の面白いところである。
・ブログやホームページを公開する際、複数の言語を使用しながら、世界レベルの研究実績として紹介できる。

 例えば、シナジーのメタファーを外国語の習得に応用する際、エクセルファイルのカラムAに原文を順次入力していく。入力が終わったら、各行の原文を読みながら一行ずつ購読脳と執筆脳のカラムに数字を入れていく。これがリレーショナルとなり、単なる受容の読みとは異なるLの読みを提供するため、シナジーのメタファーを重読の一つに数えることができる。

 また、非言語情報のジェスチャーに、例えば、顔の部位の表情を加えると、脳の電気信号の流れをつかむための判断材料になり、セカンドのカラムも意義あるものとなる。

 今後は、作家の数を増やすことが課題になる。その際、バランスを意識して、東西南北とかオリンピックをイメージする。また、一作家の異なる小説間のリンクのみならず、作家違いでもデータベース間でリンクが張れると、予期せぬものが見えてくるため、シナジーのメタファーは分析力が上がっていく。文学をマクロに研究するには、やはり地球規模とフォーマットのシフトが必要十分な条件となる。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのトレーニング2

C 分析の組

 さらに、テーマを分析するための組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、理論と実践、一般と特殊、言語情報と非言語情報、強と弱など。

分析の組 ボトムアップとトップダウン 専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。
分析の組 理論と実践 すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの論理文法が理論で、翻訳のトレーニングが実践になる。
分析の組 一般と特殊 小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みであり、後者は共生の読みである。
分析の組 言語情報と非言語情報 前者は言語により伝達される情報、後者は感情や思考や判断といった非言語情報である。
分析の組 強と弱 組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に固執するため、テーマを展開させにくくなる。

 このようにして組のアンサンブルを調節しながら、トーマス・マンの「魔の山」や魯迅の「狂人日記」及び「阿Q正伝」についてLのストーリーを作成した。

花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より

シナジーのトレーニング1

 人文科学の人でもできるトレーニングとして組のアンサンブルを考える。シナジーという研究の対象は、元々が組からなっているためである。例えば、手のひらを閉じたり開いたりするのも、肘を伸ばしたり畳んだりするのも運動でいうシナジーである。Lのモデルができるだけ多くの組を処理できるように、シナジーの研究のトレーニングとして三つのステップを考える。

A シナジーの組
 
 例えば、社会とシステム、法律と技術(特許)、経営工学、金融工学、ソフトウェアとハードウェア、心理と医学、法律と医学、文化と栄養そして文学と計算などがこのグループに入る。これらの中から何れかの組を選択して、テーマを作っていく。もちろんこれらの組について複数対応できることが望ましい。

B テーマの組

 選んだ組からLに通じるテーマを作るには、人文科学と脳科学という組のみならず、ミクロとマクロ、対照の言語文学と比較の言語文学、東洋と西洋などの項目も必要になる。ここでミクロとは主の専門の研究を指し、マクロとはどの系列に属していても該当するように、地球規模とフォーマットのシフトを評価の項目とする。シナジーの研究は、バランスを維持することが大切である。
 「トーマス・マンとファジィ」は、ドイツ語と人工知能という組であり、「魯迅とカオス」は、中国語と記憶や精神病からなる組である。そこには洋学と漢学があり、また長編と短編という組もある。計算と文学のモデルは、こうした調整が土台になっている。

テーマの組 文系と理系 小説を読みながら、文理のモデルを調節する。
テーマの組 人文科学と社会科学 文献とデータの処理を調節する。
テーマの組 語学文学(対照と比較)対照言語と比較言語の枠組みで小説を分析する。
テーマの組 東洋と西洋 東洋と西洋の発想の違いを考える。例えば、東洋哲学と西洋哲学、国や地域における政治、法律、経済の違い、東洋医学と西洋医学。
テーマの組 基礎と応用 まず、ある作家の作品を題材にしてLのモデルを作る。次に、他の作家のLのモデルと比較する。
テーマの組 伝統の技と先端の技 人文科学の文献学とシナジーのストーリーを作るための文献学(テキスト共生)。ブラックボックスを消すために、テキスト共生の組を複数作る。
テーマの組 ミクロとマクロ ミクロは主の専門の調節、マクロは複数の副専攻を交えた調整。縦に一つ(比較)、横にもう一つ取る(共生)。

花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より

シナジーのメタファーのシステム2

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロの分析方法である。基本のパターンは、縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、各場面をLに読みながらデータベースを作成して全体を組の集合体にし、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探していく。
 執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。そのため、この小論では、井上靖に関する購読脳の先行研究よりも、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、執筆時の原稿の調査についても、編者は文字データに関する校正を担当するため、最終原稿の段階を前提にする。
 トーマス・マン、魯迅、鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。今回はそれに加えて、マクロの分析を意識し、地球規模とフォーマットのシフトについてもナディン・ゴーディマと井上靖を交えて説明する。
 筆者の持ち場が言語学であるため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅には言葉の比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファーのシステム1

 広義のシナジーのメタファーを考察するため、個々のデータベースを束ねたシステムの構築とその評価について検討が必要になる。例えば、危機管理者としての作家の執筆脳を社会学の観点から集団の脳の活動と見なし、人文科学が研究対象とする個人の脳の活動と組にする。通常、システムの構築は、エンジニアにより行われる。ここでは、何かと地球規模を想定しているため、グローバルなシステムを安定させるための方法やローカルとの連携などについて考える。





 イメージ図を見てみよう。人文と社会の間には文化があり、人文と医学の間にはカウンセリングがある。そして、人文と情報の組で見ると、例えば、コーパス、パーザー、機械翻訳、計量言語学(いずれも購読脳)さらには小説のLのデータベース(執筆脳)があり、一方で社会や医学と情報システムが組をなして全体的にバランスを取っている。図の中央にある縦横のシナジーの目は、脳科学の役割を果たし、司令塔としてそれぞれの系列に指示を出すイメージである。
 無論、イメージ図の中には地球規模として東西南北からオリンピックにまで広がる国地域があり、また、Tの逆さの認知科学の定規と縦横に言語と情報の認知を取るLの定規、さらにはロジックを交えたメゾの箱が含まれている。こうした地球規模とフォーマットのシフトを条件とする、総合的で学際的なマクロの文学研究が人生をまとめるための道標として人文科学の研究者たちにも共通認識になるとよい。



花村嘉英(2021)「医療社会学からマクロに文学を考える」より

シナジーのメタファーのプロセス

[フローチャート] 
@ 知的財産が自分と近い作家を選択する。
A 場面のイメージの対照表を作成する。場面が浮かぶように話をまとめる。
B 解析イメージから何れかの組を作る。言語解析は構文と意味が対象になる。
C 認知科学のモデルは、Lのプロセス全体に適用される。例、前半は言語の分析、後半は情報の分析。
D 場面ごとに問題の解決と未解決を確認する。
E 問題解決の場面では、Lに縦横ABを滑ってCに到達後、解析イメージに戻る。問題未解決の場面では、すぐに解析イメージに戻る。
F 各分野の専門家が思い描くリスク回避を参考にしながら、作家の意思決定を想定する。
G 問題解決の場面を中心にして、テキストの共生について考察する。

@、A、Bは受容の読みのプロセス、Cは認知科学の前半と後半、D、Eは異質のCとのイメージ合わせになり、Fで作家の脳の活動を探り、Gでシナジーのメタファーに到達する。DBの作成については、これらが全て収まるようにカラムを工夫すること。

@一文一文解析しながら、選択した作家の知的財産を追っていく。例えば、受容の段階で文体などの平易な読みを想定し、共生の段階で知的財産に纏わる異質のCを探る。この作業はAとBでも行われる。
A 場面のイメージが浮かぶような対照表を作る。
B テキストの解析を何れかの組にする。例えば、トーマス・マンは「イロニーとファジィ」、魯迅は「馬虎と記憶」という組にする。組が見つからなければ、@からBのプロセスを繰り返す。
C 認知プロセスの前半と後半を確認する。
D 場面の情報の流れを考える。問題解決と問題未解決で場面を分ける。
E 問題解決の場面は、異質のCに到達後、解析イメージにリターンする。問題未解決の場面は、すぐに解析イメージにリターンする。こう考えると、システムがスムーズになる。
F 各分野のエキスパートが思い描くリスク回避と意志決定がテーマである。緊急着陸、救急医療、株式市場、環境問題などから生成イメージにつながるようにリスク回避のポイントを作る。そこから、作家の意思決定を考える。
G これにより作家の脳の活動の一例といえるシナジーのメタファーが作られる。「魯迅とカオス」というシナジーのメタファーは、テキスト共生に基づいた組のアンサンブルであり、文学をマクロに考えるための方法である。

花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より

シナジーのメタファーとは2

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロの分析方法である。基本のパターンは、縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、各場面をLに読みながらデータベースを作成して全体を組の集合体にし、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探していく。
 執筆脳の定義は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読みとする。そのため、この小論では、井上靖に関する購読脳の先行研究よりも、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の執筆脳に関する私の著作を先行研究とする。また、執筆時の原稿の調査についても、編者は文字データに関する校正を担当するため、最終原稿の段階を前提にする。
 トーマス・マン、魯迅、鴎外の著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。今回はそれに加えて、マクロの分析を意識し、地球規模とフォーマットのシフトについてもナディン・ゴーディマと井上靖を交えて説明する。
 筆者の持ち場が言語学であるため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅には言葉の比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーの作り方について」より

シナジーのメタファーとは1

シナジーのメタファーとは

 小説を読むときは、通常、作品の受容を考えるため、読者の脳の活動が問題になる。一方、作家の執筆時の脳の活動を探るために、この小論では共生の読みについて考察していく。シナジーのメタファーは、受容と共生をまとめる一例である。考え方は、通常のメタファーを踏襲し、Aが根源領域、Cが目標領域、そしてBがその写像という関係になる。ここではAが人文科学、Bが認知科学、Cが脳科学である。
 論文の目的は、小説のデータベース(DB)を作るために必要なシナジーのトレーニングについて考え、受容と共生からなるDBを作成し、シナジーのメタファーを考察することにある。但し、シナジーのメタファーのイメージを整えるために、CからBへのリターンを想定している。文学研究をマクロにシステム化するためである。

Lのストーリーの作り方−文学と計算のモデル

@ 縦は言語、文学、○○語教育といった人文の軸、横は共生の軸で、奥に行くと双方を調整する脳科学がある。
A 縦は解析イメージであり、横は生成イメージである。表象とは、知覚したイメージを記憶して心で再現する人間の精神活動のことである。例えば、言語、記憶、感情、思考、判断といった精神活動は、脳が生み出している。また、シンボルは知覚するものであり、パターンはその処理に当たる。
B 縦横のテーマには、トーマス・マン、魯迅、鴎外そして英独中日といった東西の言語や文化の比較、リスク回避と意思決定による作家の脳の活動や知的財産などがある。
C このモデルの役割は、A(人文)+B(認知)の解析イメージとB(認知)+C(脳科学)の生成イメージをまとめることにある。情報の流れは、AとBから異質のCに到達後、解析イメージにリターンする。

花村嘉英「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”13

 Above is a visual representation of macro analysis. There is culture between arts and society, and counseling between arts and medicine. And when considering the combination of arts with informatics, there are corpus, parser, machine translation (memory), quantitative linguistics (reading brain) and the database of a novel (writing brain); while informatics combines with society and medicine and achieves a balance as a whole. Horizontal and vertical lines in the center of a figure play a role in brain science and issue an order to each group.
 There are global nations and regions in the figure and a T-inverted ruler of cognitive science and a L-ruler of linguistics and informatics are included. The comprehensive and interdisciplinary research will become a common view of humane researcher as a signpost of life in the near future.

Yoshihisa Hanamura Synergic metaphor viewed from“Snow Country”of Yasunari Kawabata - from“Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development” 2019

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”12

6 About the future

 I apply the Balcan principle in existential logic to adjust the output of the reading brain “nothingness and creation” and the goal of the writing brain “object achievement type cognitive development”. Assuming some logic, a balance between arts and science could be achieved, and it is critically useful in seeing the whole picture. Moreover, when using both brain activities to make synergic metaphors, I incorporate the facial expression and consider this method to enhance the analysis of the database. Because the facial expression also encompasses “nothingness and creation”.
 I will make a statement about the future. I construct a network with database of authors and global magnitude and set the crisis management or the risk avoidance as the human condition to analyze the interdependence of relationship as the brain activity of a group, and I will sociologize my research. That is, I will conduct research of the risk avoidance of several authors, for example, Thomas Mann, Luxun, Ogai Mori, Nadine Gordimer and Yasushi Inoue (Hanamura 2019).
 Furthermore, the research of synergic metaphors targets all countries in the world, therefore synergic metaphors can be applied to any language.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”11

Scene Analysis

A There is the expression to intend to love and the character is formed(the column of nothingness and creation). The information of eyesight and hearing is grouped and the facial expression is neutralized, for example (five senses) informative cognition 1 and facial expression. The feelings of AI become an affection. But the aim isn’t achieved (artificial feelings and cognitive development)
B There is the expression to intend to love and the character is formed.
The information of eyesight is captured by base and profile and the facial expression is cheek movement. The feelings of AI become an affection. But the aim isn’t achieved.
C There is the expression to intend to love and the character is formed.
The information of eyesight is captured by base and profile and the facial expression is lips movement. The feelings of AI become an affection. But the aim isn’t achieved.
D There is the expression to intend to love and the character is formed.
The information of eyesight is captured by base and profile and the facial expression is flesh color. The feelings of AI is the character. But the aim isn’t achieved.
E There is no expression to intend to love and the character is formed. The information of eyesight and hearing is grouped and the facial expression is neutralized. The feelings of AI is the character and the aim is achieved.

 As can be seen by formula(1)and the analysis of table 2, when each signal A, B, C, D and E flows from the reading brain to writing brain, the aim is achieved at the end, therefore the synergic metaphor “nothingness and cognitive development” comes into effect with some success.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”10

 Table 1 is the scene where Komako practices on the shamisen. Komako and Shimamura gave up in their minds while they reciprocate each other. If she would play three songs, her body remembers the usual practice and the listener could hear so. When she played “Urashima”, her aim was achieved.
 The setting of the second column in the database has the effect of analyzing precisely. For example, the writing brain of an author can be understood by considering the facial expression gestures of characters with a focus on the column of the behavior (ostension and metaphor). Because this is related to the way to transfer signals of the brain. The features of the columns are outlined in Table 1.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”9

Excerpt from database
Training of Shamisen

A When Komako started playing the third song “Miyakodori”, Shimamura had no goose bumps and saw her face warmly and peacefully because the song was very soft. Her feelings were deep and physical.
Nothingness & creation 1, 1
(five sens)infomatic cognition 1 & facial expression (1+2) 2, 11
Artificial feelings & cognition development 1, 2

B Thin high nose seems to indicate some loneliness, but cheeks were vividly flushed, and seemed to be whispering as if I was here.
Nothingness & creation 1, 1
(five sens)infomatic cognition 1 & facial expression (1) 1, 3
Artificial feelings & cognition development 1, 2

C Beautiful moist puckered lips move in the light and even if she opens her mouth, it shrinks the lily soon, therefore it seems similar to her bodily charm.
Nothingness & creation 1, 1
(five sens)infomatic cognition 1 & facial expression (2) 1, 4
Artificial feelings & cognition development 1, 2

D Bare skin that has no powder and is translucent by liquor trade and is dyed by mountain color and hides bulbs like lily or onion looks well up to her neck and seems very clean.
Nothingness & creation 1, 1
(five sens)infomatic cognition 1 & facial expression (1) 1, 10
Artificial feelings & cognition development 2, 2

E She sat up and held herself ready, but looked unusually as a girl. At the end she played a new song “Urashima” in rehearsal from the music and Komako tucked string under the thread silently and broke her body.
Nothingness & creation 2, 1
(five sens)infomatic cognition 1 & facial expression (1+2) 2, 11
Artificial feelings & cognition development

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”8

5 Creation and analysis of database

 When creating the database for “Snow Country”, I arrange the relational columns as follows. The reading brain columns are arranged by syntax as; particle, tempus, voice and modus and as semantics delight, anger, sorrow and pleasure, five senses (1 eyesight, 2 hearing, 3 taste, 4 smell and 5 touch), behavior (ostension and metaphor), nothingness and creation (1 with, 2 without).
 Next, I will create a figure as the second column of informative cognition 1 (1 base and profile, 2 grouping). For example, 1 move eyebrows, 2 move eyelids, 3 move cheeks, 4 move lips, 5 open mouth, 6 move jaw, 7 breath heavy, 8 move nose, 9 move eyes (squinted eye, half-closed eyes, wink, blink), 10 flesh color (blush, go pale, sunburn, makeup), 11 neutral. I will combine the figure of facial expression with the five senses and informative cognitive 1.
 Moreover, Kawabata’s literature sees affection out of basic expression of feelings like astonishment, fear, anger and dislike as important. Therefore, the element of artificial feelings is 1 original point (nothingness + love → affection) and 2 creation (ideal type + processing → character). If love combines with nothingness to become affection or to make a character, synergic metaphor comes into effect by objective achievement of cognitive development.

(2)Signal flow of each scene in the database

syntax 1(particle)→ syntax 2(tempus, aspect)→ syntax 3(voice)→ syntax 4(modus)→ semantics 1(five senses)→ semantics 2(delight, anger, sorrow, pleasure)→ semantics 3(behavior)→ semantics 4(nothingness and creation)(the output of linguistic cognition is “nothingness and creation” and the input is informative cognition)→ medical information → informative cognition 1(the way to acquire the information)→ second column: facial expression → informative cognition 2(memory and learning)→ informative cognition 3(problem resolution)→ artificial feelings(1 affection 2 character)→ cognitive development(1 objective achievement 2 not so)→(the output of informative development).

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”7

 Moreover, there is a model structure where the Balcan sentence and contrapositive Balcan sentence are not effective. Possible world α applies to the affirmation that an individual a is p, but no individual appears except a. Possible world β applies to the affirmation that an individual a is p.
 But b also appears except a and it is not p, therefore it becomes that the possible world is different from α. That is, the Balcan sentence doesn’t become efficient by the transition of the possible world. Therefore, one considers the world consists of substance without creation-annihilation, and individuality with creation-annihilation; and divides an existing concept into two kinds: subsist and exist. Considering so, for example, a character is a subsist by himself and there is the world of an individual where one inserts themselves in an ideal type and processes and nurtures themselves.
 When one moves from one area to another, the event of one area could not exist in another area. For example, the individual area is not only D, but also is divided into inner and outer area. And then it moves to multi-value logic and attempts to expand the semantic range of existential concept that existential quantum shows. That is, one recognizes not only actual, but also an existential person. (/∃y)(y=x) shows that x exists and (∃y)(y=x) shows that x is existing.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”6

5 Existential logic

 The problem isn’t what is the presence, but I consider logically that something exists. Hanamura (2019)explains that “nothingness and creation” appears in the analysis of the language of modal quantity logic and the model structure.
 There is a modal sentence called the Balcan principle. One part is the Balcan sentence ( (∀x) NPx → N(∀x) Px): N is necessity, P is existence) which means “if Q exists, Q already exists” to the model structure MQ <K,R,D>(K is a non-empty set of ‘possible world’, R is the reflexive relation with K, and D is the domain of individuality)and is the statement that dispels the creation from nothingness out of nowhere.
 The other is the contrapositive Balcan sentence (N (∀x) Px → (∀x) NPx) that means “Q is existing and it is impossible that Q can’t exist in future” and denies the extinction to nothingness.
 When the nothingness of Kawabata intersects with love, it sublates. In other words, it already exists and does so in future. Considering this, existing nothingness can adjust with the Balcan principle and the combination of “nothingness and creation” becomes possible. But what is it in terms of a scientific approach? To resolve the problem, I define Kawabata’s creation as the ideal form composed of theorem and formula, and see the characters as artificial and deformed processing.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”5

 Feelings are divided into instantaneous emotion and continual awe, and emotion can be classified into internal emergence and external inducement. Feelings are supposed to combine with behavior, and when I analyzed “Sansho the Bailiff” and “Jingoro Sahashi” of Ogai Mori, I explained how to make the synergic metaphor of “Ogai and feelings” (Hanamura 2017). Facial expressions get stimulated from five senses, therefore they are induced. But if repressed feelings appear for some reason, the feelings emerge.
 This paper explains the issue of whether the output of “nothingness and creation” of the reading brain can reach its objective or not. Moreover, I set facial expression as the second column of informative cognition 1 to combine with artificial feelings and I derive the formula (1).

(1)“nothingness and creation”(the output of the reading brain)
“(five senses)informative cognition 1 and facial expression”
“artificial feelings”
“cognitive development”

 Where I can confirm (1), the synergic metaphor of “Yasunari Kawabata and cognitive development” will come into effect.
 Hanamura (2019)explains that “nothingness and creation” appears in the analysis of the language of modal quantity logic and the model structure.
 There is a modal sentence called the Balcan principle. One part is the Balcan sentence ( (∀x) NPx → N(∀x) Px): N is necessity, P is existence) which means “if Word Q exists, Q already exists” to the model structure MQ <K,R,D>(K is a non-empty set of ‘possible world’, R is thea reflexive relation with K, and D is the domain of individuality)and is the statement that dispels the creation from nothingness out of nowhere.
 When the nothingness of Kawabata intersects with love, it sublates. In other words, it already exists and does so in future. Considering this, existing nothingness can adjust with the Balcan principle and the combination of “nothingness and creation” becomes possible. But what is it in terms of a scientific approach? To resolve the problem, I define Kawabata’s creation as the ideal form composed of theorem and formula, and see the characters as artificial and deformed processing.
 Hanamura(2019)explains that facial expressions show human character and the mental state or physiological state of human beings. Character is used to evaluate character physiognomically and psychology, and physiology uses the facial information to understand the other person and physical condition. The creation by Kawabata also tries to set the ideal type and to form the character including artificial abnormality.
 Moreover, artificial feelings are applied to create a photomontage of police.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”4

4 Cognitive development type robotics

 Conventional robotics set out as the coalescence between intelligence and body. But it is hard to fit in, therefore one would conclude that such a robot acts and learns by itself in the design stage. This is so-called cognitive development type robotics.
 Hanamura (2019)explains that cognitive development type robotics is the dynamic intelligence that initially starts with an incomplete robot (intelligence and body), and then lets the robot develop this from communication and behavior.
 Cognitive development robots start with undeveloped intelligence and body, and team up with objective achievement type robots. For example, a cleaning robot doesn’t understand at first where a room gets dusty. But, by cleaning repeatedly, the robot learns that the room gets dusty under the sofa. Then when it moves there, the suction action commences automatically.
 In Kawabata’s “Snow Country”, the nothingness that sublates by combining with love is an uneducated intelligence and love is the active body, and they disallow each other and develop into a higher unity. The unity is an affection which Kawabata wrote gratefully, and it combines with objective achievement type AI. Love is to appreciate and hold near and dear, for example, a love of study or embracement of man and woman or parent and child, and an affection is the heart to give someone their love.
 A main character originally exists as substance and there is an individual that Kawabata molds the main character and gradually shapes him. This is his creation. I will research the substance and the individual which Kawabata pursued, while associating the facial expressions read from “Snow Country”. The facial expression is used in every roman letter when explaining the characters, and it is compatible with the input and output of a facial system besides sense organs (five senses) receiving information from the external world.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”3

3 Synergic reading

 The output of the reading brain (linguistic cognition) seen as “nothingness and creation” slides aside during the input of informative cognition. This process needs to adjust to academic achievement by actual practice and qualification to prevent non-special lines (social science, informative science, biological science and medical science) from being kept intact as a black box (Hanamura 2015 and Hanamura 2017). Actually, there is a L format such as “culture and nourishment” and “law and energy” in cultural science and social science, but art and science do not have any L model or the like.
 However, in this paper I set the research format to the vertical axis as linguistic cognition and the horizontal as informative cognition on the L model because it is useful to merge the reading and writing brain. I can recognize what an author wanted to convey by writing because I can not only understand the language, but also my reading brain draws near to the writing brain of the author.
 When the research format is only vertical, I adjust the poles of art and culture or other minor subjects by sliding the cognitive ruler.
 When reading each sentence by L, I can find the goal gradually while creating the relational database. What does it show in the world of AI or the brain activity of healthy people? I believe that an uneducated AI will grow bit by bit in consideration of a specific purpose. In this sense, I could create the combination with Kawabata by imaging a person.
 Furthermore, the database of a novel is the relational research tool by which I can check against existing literature analyses and various science research. It is the combination between arts and informatics that humanities researchers should deal with besides corpus, parser, machine translation (memory) and quantitative linguistics.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”2

2 Nothingness and creation

 I interpret the reading brain of “Snow Country” with “nothingness and creation”, because a researcher Mizuho Takada defined his nothingness as follows.
 His nothingness is the feeling that can be seen as the origin of Kawabata who grew up as an orphan, in a wider, bigger and more free reality than all existence. The nothingness stemming from his little-known father and mother can lead to being bigger than a blue sky, and Kawabata’s literature came into the world with a fusion of love and death. In particular when nothingness goes with love, the implication of sublation, that is, an affection appears and with love comes death, the combination makes a grand leap forward to the sky, or it lies buried in the ground. Two conflicting concepts reply to each other by sublation, while they develop as a high level unit.
 Moreover Takada explains the creation of Kawabata. Kawabata plays with animal life and biology when writing his novels and defines an ideal form and grows it as artificial and deformed. For example in Snow Country, Shimamura is an introspective, muttering and emotional being, Komako is a woman with memorable fingers, and Yoko is a woman with a fire in her eye. These are the creations of Kawabata.
 Actually, his own background is lonely and the novels of Kawabata including Snow Country reflect a grateful heart. Shimamura reciprocates with Komako in Snow Country. For example, Komako thanks the old lady for her care of the child, but scolds her a little. Komako receives thanks as a servant for the small acts of kindness from the old lady, while she considers her own situation because nobody sets up a clean bed for her.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

Synergic metaphor viewed from “Snow Country” of Yasunari Kawabata - from “Nothingness and Creation” to “object achievement type cognitive development”1

1 Synergic metaphor

 The analysis of literature is based on the interpreting mind of a reader, while a synergic metaphor is the macro analysis method used to research the writing brain of an author.Basically, I use the shape of an “ L ” to denote the reading brain on its vertical arm and the writing brain on the horizontal arm.I then create a database by plotting each scene on the L graph.Next, I build an ensemble of many combinations to merge both cognitive activities, and look for the path of a signal within the brain.
 Synergic metaphors that I devised previously are “Thomas Mann and fuzzy”, “Luxun and chaos”, “Ogai Mori and feeling” and “Nadine Gordimer and motivation”. I considered the writing style as the writing brain of each author, in particular the problem-solving scene is a significant object of analysis. This time I selected “Snow Country” (1948) by Yasunari Kawabata (1899 - 1972) and consider “nothingness and creation” as his reading brain, and the object achievement type cognitive development as his writing brain.

花村嘉英(2019)「川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−『無と創造』から『目的達成型の認知発達』へ」より translated by Yoshihisa Hanamura

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成16

5 まとめ

 作家の執筆脳を探るシナジーメタファーの研究は、花村(2018)でも記したように、@LのストーリーやAデータベースの作成、さらにB論理計算やC統計によるデータ処理が必要になる。しかし、最初のうちは、一つの小説について全てを揃えることが難しいため、4つのうちとりあえず3つ(@、A、Bまたは@、A、C)を条件にして、作家の執筆脳の研究をまとめるとよい。ここでは、@、A、Cの条件を満たしているため、「川端康成と目的達成型の認知発達」というシナジーのメタファーは、成立していると考える。

参考文献

花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 森鴎外の「山椒大夫」のDB化とその分析 中国日语教学研究会江苏分会 2015a
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成15

【A、B、Cの相関係数の比較】

相関の特性
AとB 相関係数0.5 相関の特性 かなり正の相関
BとC 相関係数0.5 相関の特性 かなり正の相関
AとC 相関係数0.5 相関の特性 かなり正の相関

 この比較は、駒子が三味線の稽古をしている場面のカラムの相関の特性であり、Aの無と創造、Bの情報の認知1と顔の表情、Cの人工感情と認知発達それぞれの相関の特性を表している。購読脳と想定している無と創造と目的達成型の認知発達と正の相関関係があることがわかる。

【解説】
脳内は、電気信号が縦横無尽に高速で回っている。川端康成の「雪国」執筆時の脳の活動として、人間一般のものではなく、特筆すべきこととして、駒子三味線の稽古の場面で見えてくる目的達成型の認知発達を取り上げた。この論文の実験を通して、正の相関があることが分かった。平たく意義としたい。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成14

【AとCの相関係数】

◆ A、Cの偏差同士の積を計算する。
(Aの偏差)x(Cの偏差)=-0、4、0

◆ A、Cの偏差を2乗したものの合計を計算する。
Aの偏差の2乗したものの合計=4+4+0=8
Cの偏差の2乗したものの合計=0+4+4=8

◆ (Aの偏差)x(Cの偏差)の合計を計算する=0+4+0=4

計算表
A 4 0 2 合計6
偏差 2 -2 0 合計
偏差2 4 4 0 合計8
B 4 2 0 合計6
偏差 2 0 -2 合計0
偏差2 4 0 4 合計8
AB偏差の積 4 0 0 合計4

◆ 相関係数を求める

相関係数=[(A-Aの平均値)x(C-Cの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(C-Cの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、

相関係数= 4/√8 x 8= 4/√64= 4/8 = 0.5

従って、かなり正の相関がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成13

【BとCの相関係数】

◆ B、Cの偏差同士の積を計算する。
(Bの偏差)x(Cの偏差)=-0、0、4
◆ B、Cの偏差を2乗したものの合計を計算する。
Bの偏差の2乗したものの合計=4+0+4=8
Cの偏差の2乗したものの合計=0+4+4=8
◆ (Bの偏差)x(Cの偏差)の合計を計算する=0+0+4=4

計算表
B 4 2 0 合計6
偏差 2 0 -2 合計0
偏差2 4 0 4 合計8
C 2 4 0 合計6
偏差 9 2 -2 合計0
偏差2 0 4 4 合計8
AB偏差の積 0 0 4 合計4


◆ 相関係数を求める
相関係数=[(B-Bの平均値)x(C-Cの平均値)]の和/
√(B-Bの平均値)2の和x(C-Cの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、
相関係数= 4/√8x8=4/√64= 4/8 = 0.5
従って、かなり正の相関がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成12

◆ A、B、Cそれぞれの偏差をそれぞれ2乗する。
Aの偏差の2乗=4、4、0
Bの偏差の2乗=4、0、4
Cの偏差の2乗=0、4、4

【AとBの相関係数】
◆ A、Bの偏差同士の積を計算する。
(Aの偏差)x(Bの偏差)=4、0、0
◆ A、Bの偏差を2乗したものの合計を計算する。
Aの偏差の2乗したものの合計=4+4+0=8
Bの偏差の2乗したものの合計=4+0+4=8
◆ (Aの偏差)x(Bの偏差)の合計を計算する=4+0+0=4
計算表
A 4 0 2 合計6
偏差 2 -2 0 合計0
偏差2 4 4 0 合計8
B 4 2 0 合計6
偏差 2 0 -2 合計0
偏差2 4 0 4 合計8
AB偏差の積 4 0 0 合計4


◆ 相関係数を求める
相関係数=[(A-Aの平均値)x(B-Bの平均値)]の和/
√(A-Aの平均値)2の和x(B-Bの平均値)2の和
上記計算表を代入すると、
相関係数= 4/√8x8=4/√64= 4/8 = 0.5
従って、かなり正の相関がある。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成11

4.2 相関係数を求める−相関の実験

 表2のデータ分析に相関係数を求める統計処理を試みる。その際、データベースのそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて計算できるようにしたい。数値変換により特性があるかないかで識別していく。抽出したカラム「無と創造」、「情報の認知1と顔の表情」、「人工感情と認知発達」からその特性として「ありあり」、「ありなし」、「なしあり」を置く。

A無と創造(4、0、2)B情報の認知1と顔の表情(4、2、0)C人工感情と認知発達(2、4、0)

 A、B、Cそれぞれの平均値を出す。その際、分子に違いを出すために、「ありあり」に0.1加算する。相関の強さは「ありあり」に出るからである。Aの平均(4+0+2)÷3=2、Bの平均(4+2+0)÷3=2 Cの平均(2+4+0)÷3=2

◆ A、B、Cそれぞれの偏差を計算する。偏差=各データ−平均値
Aの偏差(4-2)、(0-2)、(2-2)= 2、-2、0
Bの偏差(4-2)、(2-2)、(0-2)= 2、0、-2
Cの偏差(2-2)、(4-2)、(0-2)= 0、2、-2

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成10

4  統計処理−相関

4.1  川端康成の「雪国」のデータベースについて考察してみよう。

 花村(2019)では、データベースを伝わる信号の中で相関の組合せとして「無と創造」、「情報の認知1と顔の表情」、「人工感情と認知発達」を抽出し、「川端康成と認知発達」というシナジーのメタファーが作れるかどうか考察した。また、表6は、表1に一ライン加えた場面である。

表2 データベースからの抜粋
 三曲目に都鳥を弾きはじめた頃は、その曲の艶な柔らかさのせいもあって、島村はもう鳥肌たつような思いは消え、温かく安らいで、駒子の顔を見つめた。そうするとしみじみ肉体の親しみが感じられた。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1+2、2、11
人工感情と認知発達 1、2
 細く高い鼻は少し寂しいはずだけれども、頬が生き生きと上気しているので、私はここにいますという囁きのように見えた。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、1、3
人工感情と認知発達 1、2
 あの美しく血の滑らかな脣は、小さくつぼめた時も、そこに写る光をぬめぬめ動かしているようで、そのくせ唄につれて大きく開いても、また可憐にすぐ縮まるという風に、彼女の体の魅力そっくりであった。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、1、4
人工感情と認知発達 2、2
 粉はなく、都会の水商売で透き通ったところへ、山の色が染めたとでもいう、百合か玉葱みたいな球根を剥いた新しさの皮膚は、首までほんのり血の色が上がっていて、なによりも清潔だった。
無と創造 1、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、1、10
人工感情と認知発達 2、2
 しゃんと坐り構えているのだが、いつになく娘じみて見えた。最後に、今稽古中のをと言って、譜を見ながら新曲浦島を引いてから、駒子は黙って撥を糸の下に挟むと、身体を崩した。
無と創造 2、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1+2、2、11
人工感情と認知発達 2、1
 急に色気がこぼれて来た。
島村はなんとも言えなかったが、駒子も島村の批評を気にする風はさらになく、素直に楽しげだった。
無と創造 2、1
(五感)情報の認知1と顔の表情 1、2、10
人工感情と認知発達 2、1

 表2は、駒子が三味線の稽古をしている場面である。駒子と島村は、やり取りをしている間に、お互いに気持ちの整理がついてきた。三曲目にもなれば、いつもの稽古の様子を体が覚えているし、聞き手にもそう聞こえてくる。新曲浦島を引いたところで駒子の目的は達成された。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成9

3.2 標準偏差による分析

 グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。(公式2)
 求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。 

◆グループA:五感(1視覚と2その他)
場面1(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、公式2により0となる。
場面2(特性1、5個と特性2、0個)の標準偏差は、公式2により0となる。
場面3(特性1、4個と特性2、1個)の標準偏差は、公式2により0.4となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、視覚情報が多いため、「雪国」は、五感の中で視覚情報が鍵になる作品といえる。

◆グループB:ジェスチャー(1直示と2隠喩)
場面1(特性1、3個と特性2、2個)の標準偏差は、公式2により0.49となる。
場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、公式2により0.49となる。
場面3(特性1、4個と特性2、1個)の標準偏差は、公式2により0.4となる。
【数字からわかること】
「雪国」は、川端が当時の日本の世相を描くために何度も書き直した作品であり、場面1、場面2、場面3を通して、隠喩が少ないことがわかる。

◆グループC:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
場面1(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、公式2により0.49となる。
場面2(特性1、2個と特性2、3個)の標準偏差は、公式2により0.49となる。
場面3(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、公式2により0となる。
【数字からわかること】
場面1、場面2、場面3を通して、新情報の2が多いため、ストーリーがテンポよく展開していることがわかる。

◆グループD:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
場面1(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、公式2により0.4となる。
場面2(特性1、0個と特性2、5個)の標準偏差は、公式2により0となる。
場面3(特性1、1個と特性2、4個)の標準偏差は、公式2により0.4となる。
【数字からわかること】
「雪国」は、戦中戦後の日本のストーリーといえる作品のため、場面1、場面2、場面3を通して、問題未解決が多いことがわかる。

【解説】
 リレーショナル・データベースの数字及びそこから求めた標準偏差により、川端康成の「雪国」に関して部分的ではあるが、既存の分析例が説明できている。従って、この論文の分析方法、即ちデータベースを作成する文学研究は、データ間のリンクなど人の目には見えないものを提供してくれるため、これまでよりも客観性を上げることに成功している。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成8

場面3 

駒子の叫びは島村の身内を貫いた。葉子の腓が痙攣するのといっしょに、島村の足先まで冷たい痙攣が走った。なにかせつない苦痛と悲哀とに打たれて、動悸が激しかった。
A2B1C2D2
葉子の痙攣は目にとまらぬほどかすかのもので、すぐに止んだ。
その痙攣よりも先きに、島村は葉子の顔と赤い矢絣の着物を見ていた。葉子は仰向けに落ちた。片膝の少し上まで裾がまくれていた。地上にぶつかっても、腓が痙攣しただけで、失心したままらしかった。
A1B1C2D2
島村はやはりなぜか死は感じなかったが、葉子の内生命が変形する、その移り目のようなものを感じた。
A1B2C2D2
葉子を落とした二階桟敷から骨組の木が二三本傾いて来て、葉子の顔の上で燃え出した。葉子はあの刺すように美しい目をつぶっていた。あごを突き出して、首の線が伸びていた。火明りが青白い顔の上を揺れ通った。
A1B1C2D2
幾年か前、島村がこの温泉場へ駒子に会いに来る汽車のなかで、葉子の顔のただなかに野山のともし火がともった時のさまをはっと思い出して、島村はまた胸が顫えた。
A1B1C1D1

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成7

場面2 東京

 「君が東京でさしずめ落ちつく先とか、なにをしたいとかいうことくらいきまってないと危ないじゃないか。」
「女一人くらいどうにでもなりますわ。」と、葉子は言葉尻が美しく吊り上がるように言って、島村を見つめたまま、
「女中に使っていただけませの?」
A1B1C2D2
「なあんだ、女中にか?」
「女中はいらんです。」
「この前東京にいた時は、なにをしてたんだ。」
「看護婦です。」
「病院か学校に入ってたの。」
「いいえ、ただなりたいと思っただけですわ。」
A1B1C1D2
島村はまた汽車のなかで師匠の息子を介抱していた葉子の姿を思い出して、あの真剣さのうちには葉子の志望も現れていたのか微笑まれた。
A1B2C1D2
 「それじゃ今度も看護婦の勉強がしたいんだね。」
「看護婦にはもうなりません。」
「そんな根なしじゃいけないね。」
「あら、根なしじゃいけないね。」
「あら、根なんて、いやだわ。」と、葉子は弾き返すように笑った。
A1B2C2D2
その笑い声も悲しいほど高くすんでいるので、白痴じみて聞こえなかった。しかし島村の心の殻を空しく叩いて消えてゆく。
「なにがおかしいんだ。」
「だって、私は一人の人しか看病しないんです。」
A1B2C2D2

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成6

3 統計処理−バラツキ

3.1 データの抽出

 作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、標準偏差によるバラツキを調べてみる。例えば、A:五感(1視覚と2それ以外)、B:ジェスチャー(1直示と2隠喩)、C:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。

場面1 三味線の稽古

三曲目に都鳥を弾きはじめた頃は、その曲の艶な柔らかさのせいもあって、島村はもう鳥肌たつような思いは消え、温かく安らいで、駒子の顔を見つめた。そうするとしみじみ肉体の親しみが感じられた。
A1B1C1D2
細く高い鼻は少し寂しいはずだけれども、頬が生き生きと上気しているので、私はここにいますという囁きのように見えた。
A1B2C1D2
あの美しく血の滑らかな脣は、小さくつぼめた時も、そこに写る光をぬめぬめ動かしているようで、そのくせ唄につれて大きく開いても、また可憐にすぐ縮まるという風に、彼女の体の魅力そっくりであった。
A1B1C2D2
白粉はなく、都会の水商売で透き通ったところへ、山の色が染めたとでもいう、百合か玉葱みたいな球根を剥いた新しさの皮膚は、首までほんのり血の色が上がっていて、なによりも清潔だった。
A1B2C2D2
しゃんと坐り構えているのだが、いつになく娘じみて見えた。
最後に、今稽古中のを言って、譜を見ながら新曲浦島を引いてから、駒子は黙って撥を糸の下に挟むと、身体を崩した。
A1B1C2D1

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成5

表2 場面の分析

A 愛を意味する表現があり人格形成もある(無と創造のカラム)。視覚と聴覚の情報は、グループ化とし、顔の表情は、中立にする((五感)情報の認知1と顔の表情のカラム)。AIの感情は愛情となる。しかし、目的は達成されない(人工感情と認知発達のカラム)。
B 愛を意味する表現があり人格形成もある。視覚の情報は、ベースとプロファイルで捉え、顔の表情は、頬を動かすにする。AIの感情は愛情となる。しかし、目的は達成されない。
C 愛を意味する表現があり人格形成もある。視覚の情報は、ベースとプロファイルで捉え、顔の表情は、唇を動かすにする。AIの感情は愛情となる。しかし、目的は達成されない。
D 愛を意味する表現があり人格形成もある。視覚の情報は、ベースとプロファイルで捉え、顔の表情は肌色にする。AIの感情は人格となる。しかし、目的は達成されない。
E 愛を意味する表現はなく人格形成がある。視覚と聴覚の情報は、グループ化とし、顔の表情は中立にする。AIの感情は人格となり、目的が達成される。 

 (1)の公式と表2の分析例から分かるように、駒子の三味線の稽古の場面でA、B、C、D、Eそれぞれの信号が購読脳から執筆脳へ流れていく中で、最後に目的が達成されているため、この場面では「川端康成と認知発達」というシナジーのメタファーが一応成立している。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成4

 表1は、駒子が三味線の稽古をしている場面である。駒子と島村は、やり取りをしている間に、お互いに気持ちの整理がついてきた。三曲目にもなれば、いつもの稽古の様子を体が覚えているし、聞き手にもそう聞こえてくる。新曲浦島を引いたところで駒子の目的は達成された。
 データベースのセカンドのカラムの設定は、分析をさらに詳細にする効果がある。例えば、振舞いのカラム(直示と隠喩)の焦点を絞って、特に登場人物の顔の表情というジェスチャーについて調べながら、これが脳の信号の伝わり具合とどのように関連しているのか考えることが作者の執筆脳との関係を解き明かしてくれる。表1のカラムの要素を確認していこう。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成3

表1 データベースからの抜粋

A 三曲目に都鳥を弾きはじめた頃は、その曲の艶な柔らかさのせいもあって、島村はもう鳥肌たつような思いは消え、温かく安らいで、駒子の顔を見つめた。そうするとしみじみ肉体の親しみが感じられた。
無と創造 1, 1
(五感)情報の認知1と顔の表情 (1+2) 2, 11
人工感情と認知発達 1, 2
B 細く高い鼻は少し寂しいはずだけれども、頬が生き生きと上気しているので、私はここにいますという囁きのように見えた。
無と創造 1, 1
(五感)情報の認知1と顔の表情 (1) 1, 3
人工感情と認知発達 1, 2
C あの美しく血の滑らかな脣は、小さくつぼめた時も、そこに写る光をぬめぬめ動かしているようで、そのくせ唄につれて大きく開いても、また可憐にすぐ縮まるという風に、彼女の体の魅力そっくりであった。
無と創造 1, 1
(五感)情報の認知1と顔の表情 (1) 1, 4
人工感情と認知発達 2, 2
D 粉はなく、都会の水商売で透き通ったところへ、山の色が染めたとでもいう、百合か玉葱みたいな球根を剥いた新しさの皮膚は、首までほんのり血の色が上がっていて、なによりも清潔だった。
無と創造 1, 1
(五感)情報の認知1と顔の表情 (1) 1, 10
人工感情と認知発達 2, 2
E しゃんと坐り構えているのだが、いつになく娘じみて見えた。最後に、今稽古中のをと言って、譜を見ながら新曲浦島を引いてから、駒子は黙って撥を糸の下に挟むと、身体を崩した。
無と創造 2, 1
(五感)情報の認知1と顔の表情 (1+2) 2, 11
人工感情と認知発達 2,1

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成2

2 データベースの作成と分析

 「雪国」のデータベースを作成する際、カラムが文理でリレーショナルになるように並べ方を工夫している。購読脳のカラムには、構文論として助詞、時制、態、様相を置き、意味論には、喜怒哀楽、五感(1視覚、2聴覚、3味覚、4臭覚、5触覚)、振舞い(直示、隠喩)、無と創造(其々1ある2なし)を置いている。
 次に、顔の表情については、情報の認知1(情報の捉え方 1ベースとプロファイル2グループ化))のセカンドのカラムとして数字を作りたい。例えば、1眉を動かす、2瞼を動かす、3頬を動かす、4唇を動かす、5口を開ける、6顎を動かす、7息を吐く、8鼻を動かす、9目を動かす(細目、薄目、ウインク、瞬き)、10肌色(赤らむ、青ざめる、日焼け、化粧)、11中立を置き、顔の表情の数字と五感及び情報の認知1を組みにする。
 さらに驚き、恐れ、怒り、嫌悪などといった感情の基本表現のうち、川端文学では愛情が重要となるため、人工感情の要素は、1原点(無+愛→愛情)と2創造(理想の型+加工→人格)にする。愛が無と組になって愛情となるか、または人格が形成されれば、認知発達でいう目的達成のときにシナジーのメタファーが成立する。

(2)データベースの各場面の信号の流れ

 「文法1(助詞)」→「文法2(時制、相)」→「文法3(態)」→「文法4(様相)」→「意味1(喜怒哀楽)」→「意味2(五感)」→「意味3(振舞い)」→「意味4(無)」→「意味5(創造)」→「意味6(数字)」(言語の認知の出力は「無と創造」、これが情報の認知の入力となる)→「医学情報」→「情報の認知1(情報の捉え方)」→「セカンド 顔の表情」→「情報の認知2(記憶と学習)」→「情報の認知3(問題解決)」→「人工感情(1愛情2人格)」→「認知発達(1目的達成2非ず)」(情報の認知の出力)

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成1

1 論文の方向性−Lのストーリー

 シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることを現状のレベルでまとめている。今後、統計処理など研究の技がさらに増えていくように日々精進していきたい。この論文では川端康成(1899−1972)の雪国を題材にする。
 「雪国」の購読脳を「無と創造」という組にする。無については、川端(1979)の中で高田瑞穂が次のように定義している。
 無は、孤児として育った川端の原点ともいえる感情であり、あらゆる存在よりも広くて大きい自由な実在である。無とはこの青空よりも大きい見たこともない父母に通じ、愛と死が融けあって康成の文学が誕生した。特に、雪国の中では、無が愛と組になると止揚の暗示、つまり愛情となり、愛と死が組になれば、天井へ飛躍したり、時には地下へ埋没する。二つの矛盾対立する概念は、止揚により相互に否定し合いながら、双方を包むより高次の統一体へ発展していく。
 また、創造についても、川端が作品を書きながら、動物の生命や生態をおもちゃにして、一つの理想の鋳型を定め、人工的に畸形的に育てているとする。「雪国」の中では、島村がふと思い、呟き、動く存在で、駒子については指で覚えている女、葉子も眼に火がついてる女として繰り返されるところに康成の創造がある。
 確かに孤独な生い立ちもあって、「雪国」のみならず川端の作品には、愛情に対して感謝の気持ちがあるといわれている。(川端康成1979: 153)愛とは、価値を認めて大切に思うこと、例えば、学問への愛とか男女や親子の抱擁であり、愛情とは、死んだ親とか恋人を慈しむ心である。「雪国」に記された島村と駒子が交わすやり取りの中に次のような一節がある。
 「でも、これが奉公かしらと思うことがあるくらい、うちの人はずいぶん大事にしてくれのよ。子供が泣いたりすると、おかみさんが遠慮して表へ負ぶって出て行くわ。なんの不足もないけれど、寝床の曲がってるのだけはいやね。帰りがおそいと敷いといてくれるのよ。敷布団がきちんと重なってなかったり、敷布がゆがんでたりでしょう。そんなのを見ると、情なくなって来るのよ。そうかって、自分で敷きなおすのは悪いわ。親切がありがたいから。」(川端康成1979: 84)
 おかみさんが子供を世話してくれることに対する駒子の感謝の気持ちと小さい注文が見え隠れする。奉公の身分にある駒子は、おかみさんの小さな親切がありがたい一方、布団もきれいに敷いといてもらえない自分の立場を考えもする。

花村嘉英(2018)「シナジーのメタファーのために一作家一作品でできることー川端康成」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について8

4 まとめ

 井伏鱒二の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「山椒魚」のLのストーリーをデータベース化し、最後に特定したところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

参考文献

井伏鱒二 山椒魚(解説 秋山駿)講談社文芸文庫 1997
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
花村嘉英 リスク社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日語教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 観察社会学の観点からマクロの文学を考察する−自然や文化の観察者としての作家について ファンブログ 2020年 

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について7

表3 情報の認知

A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1
B 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
C 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 1、情報の認知3 2
D 表2と同じ。情報の認知1 2、情報の認知2 1、情報の認知3 2
E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1

A:情報の認知1はBその他の条件、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。
B:情報の認知1はBその他の条件、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
C:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
D:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
E:情報の認知1はBその他の条件、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。  

結果     
 井伏鱒二は、この場面で自分を異化した山椒魚に蛙と口論させている。ばねのように弾力を利用してエネルギーを蓄えながらも衝撃を緩和する動的な文体のため、購読脳の「翻訳調と異化」から「異化と創造」という執筆脳の組を引き出すことができる。 

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について6

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)  
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の条件である。
 
情報の認知2(記憶と学習)  
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)  
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へである。

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について5

分析例

1 山椒魚と蛙が口論する場面。   
2 この小論では、「山椒魚」の執筆脳を「異化と創造」と考えているため、意味3の思考の流れ、異化に注目する。  
3 意味1@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚 、意味2 @喜A怒B哀C楽、意味3異化@ありAなし、意味4振舞い @直示A隠喩B記事なし
4 人工知能 @異化、A創造    
 
テキスト共生の公式   
 
ステップ1:意味1、2、3、4を合わせて解析の組「翻訳調と異化」を作る。
ステップ2:自分を山椒魚へ異化しながら、新たな文体を創出しているため「異化と創造」という組を作り、解析の組と合わせる。

A:@視覚+@喜+@あり+@直示という解析の組を、@異化+A創造という組と合わせる。
B:A聴覚+A怒+@あり+@直示という解析の組を、@異化+A創造という組と合わせる。
C:A聴覚+A怒+@あり+@直示という解析の組を、@異化+A創造という組と合わせる。 
D:A聴覚+A怒+@あり+@直示という解析の組を、@異化+A創造という組と合わせる。
E:A聴覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@異化+A創造という組と合わせる。   

結果 表2については、テキスト共生の公式が適用される。

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について4

【連想分析1】

表2 受容と共生のイメージ合わせ
山椒魚と蛙が口論し続ける

A 山椒魚は相手の動物を、自分と同じ状態に置くことのできるのが愉快であったのだ。「一生涯ここに閉じ込めてやる!」悪党の呪いの言葉は或る期間だけでも効験がある。蛙は注意深い足取りで凹みにはい上がった。そして彼は、これで大丈夫だと信じたので、凹みから顔だけ表して次のように言った。
意味1 1、意味2 1、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

B 「オレは平気だ」「出て来い!」と山椒魚が呶鳴った。そうして彼らは激しい口論をはじめたのである。「出て行こうと行くまいと、こちらの勝手だ」「よろしい、いつまでも勝手にしろ」「お前は莫迦だ」「お前は莫迦だ」彼等は、かかる言葉を幾度となく繰り返した。
意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

C 翌日も、その翌日も、同じ言葉で自分を主張し通していたわけである。一年の月日が過ぎた。岩屋の囚人達をして鉱物から生物に蘇らせた。そこで二個の生物は、今年の夏いっぱい次のように口論しつづけたのである。意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

D 山椒魚は岩屋の外に出て行くべく頭が肥大しすぎていたことを、すでに相手に見抜かれてしまっていた。「お前こそ頭がつかえて、そこから出て行けないだろう?」「お前だって、そこから出ては来れまい」「それならば、お前から出て行ってみろ」「お前こそ、そこから降りて来い」
意味1 2、意味2 2、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

E さらに一年の月日が過ぎた。二個の鉱物は、再び二個の生物に変化した。けれど彼らは、今年の夏はお互いに黙り込んで、そしてお互いに自分のため息が相手に聞こえないように注意していたのである。
意味1 2、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】

表1 「山椒魚」のデータベースのカラム

文法1 名詞の格 井伏鱒二の助詞の使い方を考える。
文法2 態 能動、受動、使役。
文法3 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3 思考の流れ 異化ありなし。
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。購読脳「翻訳調と異化」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 異化と創造 エキスパートシステム 異化とは、見慣れた表現によそよそしさを与えて異様なものに見せることで内容を一層よく感得すること。 創造とは、新しいものを造りはじめること。

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について2

2 「山椒魚」のLのストーリー

 井伏鱒二(1898−1993)は、1929年頃の創作期に翻訳調の文体で「山椒魚」などを創作していた。当時西洋を追いかけていたため、井伏には新しい文体を創造するという野望があり、何処か動的な調節については、ある程度責務を果たせているという自負もあった。少し先行する新感覚派の横光利一も新感覚派文学運動のリーダーとして翻訳調の文体を創始した。
 秋山(1997)によると、「山椒魚」の特徴には異化も当てはまる。横光利一やドイツ文学のフランツ・カフカも異化で有名な作家である。異化とは、日常見慣れた表現形式によそよそしさを与えて異様なものに見せることで内容を一層よく感じ会得するというものである。横光は、「蝿」の中で日常見慣れた馬車による住民の行き来を蝿の目を通して観察し、カフカの「変身」では、出張に間に合わないからとザムザを探し回る家族の様子を虫になったザムザが観察している。「山椒魚」の場合は、自分に山椒魚を近づけて心情を語るのではなく、その反対で自分を山椒魚に異化させて内容を考えている。これが井伏による新しい文体の創出に当たる。
 そこで、「山椒魚」の購読脳は、「翻訳調と異化」にし、イモリに近縁で姿形が似ている動物に自分を寄せながら静けさのうちにある動きを描いているため、執筆脳は「異化と創造」にする。「山椒魚」のシナジーのメタファーは、「井伏鱒二と異化」である。 

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。 
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 なお、メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える8

4 まとめ

 阿部公房の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「飢餓同盟」のLのストーリーをデータベース化し、最後に文献で留めたところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。
 
参考文献

阿部公房 飢餓同盟 新潮文庫 2011
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日語教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日語教学研究会上海分会論文集 2019
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日語教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−自然や文化の観察者としての作家について ブログ「シナジーのメタファー」 2020年 

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える7

表3 情報の認知

A 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
B 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
C 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
D 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
E 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1

A:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
B:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
C:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
D:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
E:情報の認知1はBその他の条件、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。    

結果     
 阿部公房は、この場面で革命を目指すも権力者に負けるという皮肉や登場人物の諧謔を見せながら、現実が寓話と非現実からなると眼と心で感じているため、購読脳の「アイロニーとユーモア」から「視覚と心的活動」という執筆脳の組を引き出すことができる。 

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える6

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)  
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の条件である。
 
情報の認知2(記憶と学習)  
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)  
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へである。

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える5

分析例

1 森四郎は飢餓同盟員であることを認める場面。
2 この小論では、「飢餓同盟」の執筆脳を「視覚と心的活動」と考えているため、意味3の思考の流れ、視覚に注目する。  
3 意味1@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚 、意味2 @喜A怒B哀C楽、意味3異化@ありAなし、意味4振舞い @直示A隠喩B記事なし  
4 人工知能 @視覚、A心的活動     
 
テキスト共生の公式    
 
ステップ1:意味1、2、3、4を合わせて解析の組「アイロニーとユーモア」を作る。
ステップ2:現実を寓話と見る眼と現実を非現実と感じる心が購読脳の出どころと考えているため、「視覚と心的活動」という組を作り、解析の組と合わせる。  

A:@視覚+@喜+Aなし+@直示という解析の組を、@視覚+A心的活動という組と合わせる。
B:@視覚+C楽+Aなし+@直示という解析の組を、@視覚+A心的活動という組と合わせる。  
C:[@視覚+A聴覚]+C楽+Aなし+@直示という解析の組を、@視覚+A心的活動という組と合わせる。 
D:@視覚+B哀+@あり+A隠喩という解析の組を、@視覚+A心的活動という組と合わせる。
E:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@視覚+A心的活動という組と合わせる。   

結果  表2については、テキスト共生の公式が適用される。

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える4

【連想分析1】

表2 受容と共生のイメージ合わせ

A 森がトランクをさげて、仲通リを駅の方に歩いていくと、おまつり気分の人なみがぞろぞろ西の方に流れていくのに出会った。森の顔を見おぼえている子供がいて、温泉が出たそうだよ、見に行かないの、と教えてくれた。意味1 1、意味2 1、意味3 2、意味4 1、人工知能 1

B まだ二十分ある、のぞくだけは、のぞいてみようかと、流れについてしばらく行くと、県道をこえた畠地のあたりかで、やがて大きな人垣にぶつかった。その向こうに、しろい上記の柱が、サーチライトの光に照らし出され、発狂した薄布の束のようになって、うなりながら見物人の上で渦まいているのが見えた。
意味1 1、意味2 4、意味3 2、意味4 1、人工知能 1

C 拍手がおこり、それから楽隊の演奏がはじまった。ふと後ろから、群衆をかきわける、警備員の声がする。こじ開けられた人垣のあいだを、かき分けてやってくるのは、なんと花束をかかえた振袖姿の藤野うるわしではないか。うるわしは、ちらっと森に無関心な視線を投げかけると、そのまま前をとおりすぎ、ゆうゆうと人垣の向こうに吸い込まれていってしまった。意味1 1+2、意味2 4、意味3 2、意味4 1、人工知能 1

D 森は思った。まったく、現実ほど、非現実なものはない。この町全体が、まさに一つの巨大な病棟だ。どうやら精神科の医者の出るまくなどなさそうである。われわれに残されている仕事と言えばせいぜいのところ、現実的な非現実を、かくまい保護してやるくらいのことではあるまいか。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 2、人工知能 1

E 森は人垣はなれて、歩き出した。しかし、駅の方にではなく、いまやって来た道を、もう一度診療所の方へ・・・新しい勤め先がきまるまで、どのみちたっぷり暇なのだ。傷だらけになった、飢餓同盟に、せめて包帯のサービスくらいはしてやるがいい。森ははじめて、自分が飢餓同盟員であったことを、すなおに認めたい気持ちになっていた。正気も、狂気も、いずれ魂の属性にしかすぎないのである。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 2

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】

表1 「飢餓同盟」のデータベースのカラム

文法1 名詞の格 阿部公房の助詞の使い方を考える。
文法2 態 能動、受動、使役。
文法3 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3 思考の流れ ありなし 。
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。購読脳「アイロニーとユーモア」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能(視覚と心的活動) エキスパートシステム 視覚とは、光のエネルギーが網膜の感覚細胞に対し刺激となって生じる感覚。 心的活動とは、経験者の報告や表情、身振り、手ぶりといったその人の振舞いにも表れる。

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える2

2 「飢餓同盟」のLのストーリー

 阿部公房(1924−1993)は、八方塞がりの壁を突破する可能性を探り続けている。戦後、長期保守政権下にあった日本の政治を壁に見立てて、その縮図から突破口を探求していく。町の秩序に順応できない余計者からなる飢餓同盟は、一応人間の絶対自由を実現するための集まりである。リーダー格の花井太助は、自身で湯が出ない町の復興を夢見る男で、地熱探査技師の友人識木順一を担ぎ出し、温泉の吹き上がる蒸気で地熱発電所を作ろうと考える。
 突破口を破るには、金を工面し、役所の認可も要請しなければならない。しかしながら、こうした花井の計画は、現状維持を掲げる町長や開業医のボスに横取りされ、狂人として病院に収容される。理想を掲げる運動が紆余曲折を経て変わっていく様子が日常目の当たりになる。そして風刺や寓意を得意とする阿部公房の真骨頂が発揮される。
 佐々木(2011)によると、「飢餓同盟」の特徴としてもじりの手法を挙げている。花井の夢は幻であり、所詮挫折に通じるといった寓話ではなく、ほろ苦いアイロニーとブラックユーモアからなっているためである。そこで、「飢餓同盟」の購読脳は、「アイロニーとユーモア」にし、その出どころとして現実を寓話以上に寓話と見る阿部公房の眼と、さらに現実こそ非現実と感じる彼の心を想定しているため、執筆脳は「視覚と心的活動」にする。「飢餓同盟」のシナジーのメタファーは、「阿部公房と意識」である。 

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

阿部公房の「飢餓同盟」で執筆脳を考える1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。 
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 なお、メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2020)「阿部公房の『飢餓同盟』の執筆脳について」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える9

4 まとめ 

 国木田独歩の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「武蔵野」のLのストーリーをデータベース化して、最後に特定したところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。 

参考文献

片野善夫 ほすぴ162号 日本成人病予防協会 2018
花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風社 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 2019
国木田独歩 武蔵野 新潮文庫 2012
滝藤満義 武蔵野の解説 新潮文庫 2012

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える8

表3 情報の認知

A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1
B 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1
C 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 1、情報の認知3 1
D 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2
E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1

A:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。
B:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。
C:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2は@旧情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。
D:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
E:情報の認知1はB条件反射、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。

結果

 国木田独歩は、この場面で武蔵野の自然について自分に同感する人がいるという前提のもと、武蔵野の自然の素晴らしさを伝えようと考えた。そして、誰にも幸福感が訪れるような計画と問題解決に到達している。そのため「誠実さと想像力」そして「イメージと同感」という組が相互に作用する。  

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える7

【連想分析2】

情報の認知1(感覚情報)
 
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、B条件反射である。
 
情報の認知2(記憶と学習)
 
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)
 
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へである。

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える6

分析例

1 武蔵野の自然を廻る場面。 
2 この小論では、「武蔵野」執筆時の国木田独歩の脳の活動を「イメージと同感」と考えているため、意味3の思考の流れ、誠実さのありなしに注目する。
3 意味1 @視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚、意味2 @喜A怒B哀C楽、意味3誠実さ@ありAなし、意味4振舞い @直示A隠喩B記事なし
4 人工知能 イメージ@ありAなし、同感@ありAなし 
 
テキスト共生の公式

ステップ1:意味1、2、3、4を合わせて解析の組「誠実さと想像力」を作る。
ステップ2:誠実な精神状態から「イメージと同感」という組を作り、解析の組と合わせる。

A:「@視覚+A聴覚」+C楽+@直示+A誠実さなしという解析の組を、イメージと同感からなる@イメージありとA同感なしという組と合わせる。 
B:@視覚+C楽+@直示+A誠実さなしという解析の組を、イメージと同感からなる@イメージありとA同感なしという組と合わせる。
C:@視覚+C楽+@直示+A誠実さなしという解析の組を、イメージと同感からなる@イメージありとA同感なしという組と合わせる。 
D:@視覚+C楽+@直示+A誠実さなしという解析の組を、イメージと同感からなる@イメージありとA同感なしという組と合わせる。 
E:@視覚+@喜+@直示+@誠実さありという解析の組を、イメージと同感からなる@イメージありと@同感ありという組と合わせる。 

結果 表2については、テキスト共生の公式が適用される。

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える5

【連想分析1】
表2 受容と共生のイメージ合わせ 

武蔵野の自然を廻る場面

A 武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。どの路でも足の向くほうへゆけばかならずそこに見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある。武蔵野の美はただその縦横に通ずる数千条の路を当てもなく歩くことによって始めて獲えられる。意味1 1+2、意味2 4、意味3 1、意味4 1

B 春、夏、秋、冬、朝、昼、夕、夜、月にも、雪にも、風にも、霧にも、霜にも、雨にも、時雨にも、ただこの路をぶらぶら歩いて思いつきしだいに右し左すれば、随処に吾らを満足さするものがある。
意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

C これがじつにまた、武蔵野第一の特色だろうと自分はしみじみ感じている。武蔵野を除いて日本にこのような処がどこにあるか。北海道の原野にはむろんのこと、奈須野にもない、そのほかどこにあるか。林と野とがかくもよく入り乱れて、生活と自然とがこのように密接している処がどこにあるか。じつに武蔵野にかかる特殊の路のあるのはこのゆえである。意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

D されば君もし、一の小径を往き、たちまち三条に分かる処に出たなら困るに及ばない、君の杖を立ててその倒れたほうに往きたまえ。あるいはその路が君を小さな林に導く。林の中ごろに到ってまた二つに分かれたら、その小なる路を撰んでみたまえ。意味1 1、意味2 4、意味3 1、意味4 1

E あるいはその路が君を妙な処に導く。これは林の奥の古い墓地で苔むす墓が四つ五つ並んでその前にすこしばかりの空地があって、その横のほうに女郎花など咲いていることもあろう。頭の上の梢こずえで小鳥が鳴いていたら君の幸福である。意味1 1、意味2 1、意味3 1、意味4 2

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える4

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容はそれぞれの言語ごとに構文と意味の解析をし、何かの組を作ればよい。しかし、共生は作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】

表1 「武蔵野」のデータベースのカラム
文法1 名詞の格 独歩の助詞の使い方を考える。
文法2 態 能動、受動、使役。
文法3 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1  五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3  思考の流れ 誠実さ、ありなし
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
意味5 数字 作品からとれる数字。
医学情報 臨床、精神、看護、介護、薬 受容と共生の接点。構文や意味の解析から得た組「」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。 
情報の
認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の
認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の
認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 エキスパートシステム イメージと同感 イメージありなし、同感ありなし。

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える3

 また、失業中の独歩が作家活動に再登場する際、驚きも必要であった。郷里を離れ都会での競争から故郷意識も生まれた。独歩は、生涯社会に関心があり、文学の手法は想像力を重んじ、作者の私にかかわる作品を正当とした。そこで、「武蔵野」の購読脳を「誠実さと想像力」にする。
 滝藤(2012)は、また、「武蔵野」が独歩自身を最も慰めてくれる自然の物語と位置づけ、言文一致の成功例でもあり、同じ気持ちを持つ人間たちに向けて語りかけているとする。そこで、「武蔵野」の執筆脳を「イメージと同感」と見なし、心の活動を脳の働きと考えた場合、シナジーのメタファーは、「国木田独歩と内面の写し絵としての思考」にする。課題や問題に対して生まれる一連の精神活動の流れで、周囲の状況に応じた現実的な判断や結論へと至っているためである。
 通常、五感情報の80%以上が視覚情報によるものである。片野(2018)によると、目で見たものは、物体から跳ね返ってくる光を受け取り物体の色や形、大きさ、立体感などを認識している。光は、角膜から眼球に入り、その量を調節する虹彩を経てさらに内側にある水晶体というレンズで屈折され、カメラのフィルムに当たる網膜で像になる。水晶体と網膜の間には、ゼリー状で透明な硝子体がある。網膜には光を感じ取る視細胞があり、光の刺激を電気信号に変える。さらに網膜から伸びた視神経の束がその信号を脳へ伝達する。
 網膜は、三層構造からなる。網膜に届いた光の刺激は、神経節細胞や双極細胞を通り三層目の桿体細胞と錐体細胞という視細胞で電気信号に変換される。そして今度は逆の方向に光が伝わり、神経節細胞から左右視交叉で情報が送られ、視床で整理された情報は、大脳皮質の視覚野で色、形、動きからそれが何か判断される。
凝視により認識したものは、心の痛手を癒すという課題と相互に作用する。例えば、独歩がここで見たものは、物体から跳ね返ってくる光を受け取り物体の色や形、大きさ、立体感などの認識になっている。 

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える2

2 「武蔵野」の思考によるLのストーリー  

 国木田独歩(1871−1908)は、父専八が裁判所書記官として山口県に赴任したため、多感な青年時代を山口で過ごした。滝藤(2012)によると、明治時代の青年に共通する政治や英雄を目標に掲げる生き方は、独歩にも見られた。しかし、精神的な革命が起こる。立身出世を夢見て上京しても開かれた将来が閉塞感に閉ざされもした。
 1891年(M24)1月、一番町の教会で洗礼を受けた。外を見ていた独歩の目が閉塞感から内に向かったためであり、出世争いが招く都会での孤独や不安を解消しようと、宗教や文学を救済とした。東京専門学校を中退し、一旦帰郷する。しかし、独歩は、田舎と都会、内と外、そして信仰と野心の間を振り子のように揺れ動いた。 
 1892年、再度上京し、洗礼を受けたこともあり、神を見続け、英雄に共通する誠実さを信仰の基本とした。その後の人生では、至福の時間の回復こそが理想となった。父の免職により、社会と関わるようになった独歩は、自由社記者、大分の田舎教師、海軍従軍記者と職歴を重ねるも、作家活動は失業中に行われたため、文学活動は揺れ動いた。
 確かに短編が多い作家である。滝藤(2012)は、作品中に誠実な眼で天地自然の存在を見出し、人物や自然に見る存在感を指摘している。また、人物描写は、明治時代に特有でしかも失意の人や慎ましい人に向けられた。文体は、言文一致の「武蔵野」でも誠実な自分が語り手のため、主観も客観も描写が可能であった。
 テーマで見ると、小民は、気持ちを落ち着かせるために必要であった。妻信子による離叛も影響がある。心の痛手を癒すために東京の郊外で過ごし、内面を持つ新しい個人の出現、独歩の内面の写し絵として武蔵野自然を使用した。

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

国木田独歩の「武蔵野」で執筆脳を考える1

1 先行研究
 
 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)に関する執筆脳に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なお、Lのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして検定に基づくミクロと医学も含めた観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2020)「国木田独歩の『武蔵野』で執筆脳を考える」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について8

4 まとめ

 壺井栄の執筆時の脳の活動を調べるために、まず受容と共生からなるLのストーリーを文献により組み立てた。次に、「二十四の瞳」のLのストーリーをデータベース化し、最後に文献で止めたところを実験で確認した。そのため、テキスト共生によるシナジーのメタファーについては、一応の研究成果が得られている。

参考文献

花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默−ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 2018  
花村嘉英 川端康成の「雪国」に見る執筆脳について-「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 2019
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−危機管理者としての作家について 中国日语教学研究会上海分会論文集 2020
花村嘉英 社会学の観点からマクロの文学を考察する−自然や文化の観察者としての作家について ブログ「シナジーのメタファー」 2020 
壺井栄 二十四の瞳(解説 鷺只雄)岩波文庫 2018
三・一五事件、四・一六事件、満州事変、上海事変 Wikipedia 

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について7

表3 情報の認知

同上
A 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 1
B 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
C 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
D 表2と同じ。 情報の認知1 2、情報の認知2 2、情報の認知3 2
E 表2と同じ。 情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2

A:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3は@計画から問題解決へである。
B:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
C:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
D:情報の認知1はAグループ化、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。
E:情報の認知1はBその他の条件、情報の認知2はA新情報、情報の認知3はA問題未解決から推論へである。    

結果  壺井栄は、この場面で喜びや悲しみの中で過ごした激動の昭和の歴史を確認し、瀬戸内に生きる庶民の知恵も描いているため、購読脳の「感情の共有と戦争の悲惨さ」から「ユーモアと母性愛」という執筆脳の組を引き出すことができる。 

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について6

【連想分析2】
情報の認知1(感覚情報)  
 感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、Bその他の条件である。

情報の認知2(記憶と学習)  
 外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。未知の情報は、またカテゴリー化される。このプロセスは、経験を通した学習になる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。

情報の認知3(計画、問題解決、推論)  
 受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へである。

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について5

分析例

1 大石先生が赴任して4年が過ぎる場面。 
2 本小論では、「二十四の瞳」の執筆脳を「ユーモアと母性愛」と考えているため、意味3の思考の流れ、母性愛に注目する。  
3 意味1@視覚A聴覚B味覚C嗅覚D触覚 、意味2 @喜A怒B哀C楽、意味3母性愛@ありAなし、意味4振舞い @直示A隠喩B記事なし  
4 人工知能 @ユーモア、A母性愛 
 
テキスト共生の公式    
 
ステップ1:意味1、2、3、4を合わせて解析の組「感情の共有と戦争の悲惨さ」を作る。
ステップ2:現実を寓話と見る眼と現実を非現実と感じる心が購読脳の出どころと考えているため、「ユーモアと母性愛」という組を作り、解析の組と合わせる。  

A:@視覚+@喜+@あり+@直示という解析の組を、@ユーモア+A母性愛という組と合わせる。
B:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@ユーモア+A母性愛という組と合わせる。  
C:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@ユーモア+A母性愛という組と合わせる。 
D:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@ユーモア+A母性愛という組と合わせる。
E:@視覚+B哀+@あり+@直示という解析の組を、@ユーモア+A母性愛という組と合わせる。   

結果 表2については、テキスト共生の公式が適用される。

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について4

【連想分析1】
表2 受容と共生のイメージ合わせ

大石先生が赴任して4年が過ぎる

A 海の色も、山の姿も、そっくりそのまま昨日につづく今日であった。細長い岬の道を歩いて本校にかよう子どもの群れも、同じ時刻に同じ場所を動いているのだが、よく見ると顔ぶれの幾人かがかわり、そのせいでか、みんなの表情もあたりの木々の新芽のように新鮮なのに気がつく。竹一がいる。ソンキの磯吉もキッチンの徳田吉次もいる。マスノや早苗もあとからきている。
意味1 1、意味2 1、意味3 1、意味4 1、人工知能 1

B この新らしい顔ぶれによって、物語のはじめから、四年の年月が流れさったことを知らねばならない。四年。その四年間に「一億同胞「一億同胞」は底本では「一臆同胞」]」のなかの彼らの生活は、彼らの村の山の姿や、海の色と同じように、昨日につづく今日であったろうか。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 2

C 彼らは、そんなことを考えてはいない。ただ彼ら自身の喜びや、彼ら自身の悲しみのなかから彼らはのびていった。じぶんたちが大きな歴史の流れの中に置かれているとも考えず、ただのびるままにのびていた。それは、はげしい四年間であったが、彼らのなかのだれがそれについて考えていたろうか。あまりに幼い彼らである。 意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 2

D しかもこの幼い者の考えおよばぬところに、歴史はつくられていたのだ。四年まえ、岬の村の分教場へ入学したその少しまえの三月十五日、その翌年彼らが二年生に進学したばかりの四月十六日、人間の解放を叫び、日本の改革を考える新らしい思想に政府の圧迫が加えられ、同じ日本のたくさんの人びとが牢獄に封じこめられた。そんなことを、岬の子どもらはだれも知らない。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 2

E ただ彼らの頭にこびりついているのは、不況ということだけであった。それが世界につながるものとはしらず、ただだれのせいでもなく世の中が不景気になり、けんやくしなければならぬ、ということだけがはっきりわかっていた。その不景気の中で東北や北海道の飢饉を知り、ひとり一銭ずつの寄付金を学校へもっていった。そうした中で満州事変、上海事変はつづいておこり、幾人かの兵隊が岬からもおくり出された。
意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1、人工知能 2

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容はそれぞれの言語ごとに構文と意味の解析をし、何かの組を作ればよい。しかし、共生は作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】
表1 「二十四の瞳」のデータベースのカラム
文法1 名詞の格  壺井栄の助詞の使い方を考える。
文法2 態 能動、受動、使役。
文法3 時制、相  現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3 思考の流れ  母性愛ありなし
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。購読脳「感情の共有と戦争の悲惨さ」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 ユーモアと母性愛 ユーモアとは、上品な洒落の感覚。母性愛とは、母親が持つ子に対する先天的で本能的な愛情。

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について2

2 「二十四の瞳」のLのストーリー

 壺井栄(1899−1967)の「二十四の瞳」は、1928年4月4日、瀬戸内海の寒村の小学校に大石という若い女性の先生が赴任する話から始まる。それ先駆けて、同年2月に普通選挙法の下で第一回の選挙が行われ、同年3月15日に三・一五事件が発生した。  
 鷺(2018)によると、当時人間解放を叫び、改革を目指す新たな思想に日本政府が圧力を加え、多数の日本人が検挙された。また、世の中が不景気になり、誰もが倹約を必要とした。続けて1931年9月に満州事変、1932年1月に上海事変が起こり、瀬戸内からも軍隊に招兵された。物語の始まりから激しい4年の月日が経った。しかし、海の色や山の姿は変わらず、子供たちは、大きな歴史の中に置かれているとは考えていない。
 「二十四の瞳」には、赤い先生の稲川が治安維持法にかかり教育界から追放される事件がある。それに託けて小林多喜二は、小説家として警察で死んだ人として登場する。1928年に行われた普通選挙で労農党の候補を応援した時、共産党への弾圧や国家維持法違反による労農組合員の逮捕を受けて、小林多喜二は強い憤りを覚えた。大石久子先生は、生徒たちにプロレタリアを知っているか質問した。誰も知らない。壷井栄は、同胞の一人として多喜二の遺体を清めている。
 船乗りの妻として過ごした大石先生は、大吉、並木、八津という男二人、女一人合わせて三人の子の母親となっていた。さらに4年が経ち、時代は日華事変、日独伊防共協定の締結、国民精神総動員という世の中になり、寝言でも国の政治を口に出してはならない状態であった。  
 1945年8月15日、ラジオ放送を聞くために学校へ召集された大吉は、原爆の残虐さがそのことばとして意味だけ伝えられたため、敗戦の責任を背負ってしょげていた。そこに妹の八津の死が重なる。青い柿の実を食べて付着していた卵が人体に摂取され、小腸に回虫が発生し急性腸カタルになった。八津は、戦争に殺された。
 鷺(2018)は、「二十四の瞳」の特徴として登場人物の無名性と場所の限定がないことを挙げている。この作品を読めば、喜びや悲しみの中で過ごした激動の昭和の歴史を確認することができる。戦争が一家の働き手の父や夫を奪い、40歳過ぎても臨時教師として大石先生は働いている。そこで、「二十四の瞳」の購読脳は、「感情の共有と戦争の悲惨さ」にする。辛い戦争体験が描かれる一方で、瀬戸内に生きる庶民の知恵もあるため、執筆脳は「ユーモアと母性愛」である。「二十四の瞳」のシナジーのメタファーは、「壺井栄と大母性」になる。 

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より

壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。 
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。

花村嘉英(2020)「壺井栄の「二十四の瞳」の執筆脳について」より
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花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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