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2018年08月13日

ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する10

C 分析の組

 さらに、テーマを分析するための分析の組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、理論と実践、一般と特殊、言語情報と非言語情報、強と弱など。

表2
分析の組                   説明
ボトムアップとトップダウン 専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える
              概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。              
理論と実践        すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの
              論理文法が理論で、翻訳のトレーニングが実践になる。
一般と特殊        小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みで
              あり、後者は共生の読みである。
言語情報と
非言語情報        前者は言語により伝達される情報、後者はジェスチャーのような非言語情報で
              ある。
強と弱          組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に
              固執するため、テーマを展開させにくくなる。
論理計算と統計      計算文学というと、情報科学の専門家が購読脳を分析するために数理や
             コンピューティングを駆使して研究するイメージがある。しかし、人文から
             寄せる計算文学は、購読脳と執筆脳を調節する論理計算やデータベースの
             統計処理が分析のツールである。

 日頃からこのような調節をしながら、トーマス・マンの「魔の山」、魯迅の「狂人日記」や「阿Q正伝」、森鴎外の「山椒大夫」や「佐橋甚五郎」及びナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”についてLのストーリーを作成した。
 テキスト共生に通じるには、文と理で語彙、統語論、テキストが調節できるようにならなければならない。そのために容易に応用ができる場の理論などで言語の研究から文理の共生を目指し、日々前を向いて勉強するとよい。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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