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2024年03月04日

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について3

3 データベースの作成・分析

 データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
 こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容は、それぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は、作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。

【データベースの作成】

表1 「山椒魚」のデータベースのカラム

文法1 名詞の格 井伏鱒二の助詞の使い方を考える。
文法2 態 能動、受動、使役。
文法3 時制、相 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法4 様相 可能、推量、義務、必然。
意味1 五感 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味2 喜怒哀楽 情動との接点。瞬時の思い。
意味3 思考の流れ 異化ありなし。
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。購読脳「翻訳調と異化」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能 異化と創造 エキスパートシステム 異化とは、見慣れた表現によそよそしさを与えて異様なものに見せることで内容を一層よく感得すること。 創造とは、新しいものを造りはじめること。

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について2

2 「山椒魚」のLのストーリー

 井伏鱒二(1898−1993)は、1929年頃の創作期に翻訳調の文体で「山椒魚」などを創作していた。当時西洋を追いかけていたため、井伏には新しい文体を創造するという野望があり、何処か動的な調節については、ある程度責務を果たせているという自負もあった。少し先行する新感覚派の横光利一も新感覚派文学運動のリーダーとして翻訳調の文体を創始した。
 秋山(1997)によると、「山椒魚」の特徴には異化も当てはまる。横光利一やドイツ文学のフランツ・カフカも異化で有名な作家である。異化とは、日常見慣れた表現形式によそよそしさを与えて異様なものに見せることで内容を一層よく感じ会得するというものである。横光は、「蝿」の中で日常見慣れた馬車による住民の行き来を蝿の目を通して観察し、カフカの「変身」では、出張に間に合わないからとザムザを探し回る家族の様子を虫になったザムザが観察している。「山椒魚」の場合は、自分に山椒魚を近づけて心情を語るのではなく、その反対で自分を山椒魚に異化させて内容を考えている。これが井伏による新しい文体の創出に当たる。
 そこで、「山椒魚」の購読脳は、「翻訳調と異化」にし、イモリに近縁で姿形が似ている動物に自分を寄せながら静けさのうちにある動きを描いているため、執筆脳は「異化と創造」にする。「山椒魚」のシナジーのメタファーは、「井伏鱒二と異化」である。 

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

井伏鱒二の「山椒魚」の執筆脳について1

1 先行研究

 文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
 執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875−1955)、魯迅(1881−1936)、森鴎外(1862−1922)の私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923−2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。 
 筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある。文学の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
 なお、メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

花村嘉英(2020)「井伏鱒二の『山椒魚』の執筆脳について」より

2024年02月13日

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える12

5 まとめ
 
 受容の読みによる「空間と荒廃の中の不壊」という出力は、すぐに共生の読みの入力となる。続けて、データベースの問題解決の場面を考察すると、「大脳辺縁系と頭頂連合野」という人間の脳の活動と結びつき、その後、信号のフォーカスは、購読脳の出力のポジションに戻る。この分析を繰り返すことにより、「ハインリッヒ・ベルと頭頂連合野」というシナジーのメタファーが作られる。
 この種の実験をおよそ100人の作家で試みている。その際、日本人と外国人60人対40人、男女比4対1、ノーベル賞作家30人を目安に対照言語が独日であることから非英語の比較を意識してできるだけ日本語以外で英語が突出しないように心掛けている。
 
参考文献

佐藤晃一 ドイツ文学史 明治書院 1979
高島明彦 脳のしくみ 日本文芸社 2006
手塚富雄 ドイツ文学案内 岩波文庫別冊3 1981
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015 
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 東南大学出版社 2017
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁/戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019
藤本淳雄他 ドイツ文学史 東京大学出版会 1981
Heinrich Böll Wanderer, kommst du nach Spa… Reclam 1982

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える11

A 情報の認知1は、B条件反射、情報の認知2は、A新情報、情報の認知3は、A問題未解決から推論へ、人工知能は@、@である。
B 情報の認知1は、B条件反射、情報の認知2は、@旧情報、情報の認知3は、A問題未解決から推論へ、人工知能は@、@である。
C 情報の認知1は、Aグループ化、情報の認知2は、@旧情報、情報の認知3は、@計画から問題解決へ、人工知能は1@、@ある。
D 情報の認知1は、@ベースとプロファイル、情報の認知2は、@旧情報、情報の認知3は、A問題未解決から推論へ、人工知能は@、@である。
E 情報の認知1は、B条件反射、情報の認知2は、A新情報、情報の認知3は、A問題未解決から推論へ、人工知能は@、@である。

結果
 言語の認知の出力「空間と荒廃の中の不壊」が情報の認知の入力となり、まずギムナジウムにある黒板の筆跡に反応する。次に、黒板にある自分の筆跡が情報の認知で新情報となり、結局、「空間と荒廃の中の不壊」は、ベンドルフのギムナジウムにある黒板の自分の筆跡に象徴される一つの変わらぬ空間が、記憶という大脳辺縁系が担う機能と頭頂葉の空間認識を担う連合野からなる組みと相互に作用する。
 記憶については、A、B、Cは個人の経験にまつわる長期記憶で、D、Eは、学習した知識や経験と照合して目的を達成していく作業記憶になる。この場面では空間認識が強いため、ベルの執筆脳は、頭頂葉や頭頂連合野に特徴があるといえる。

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える10

分析例

(1)“Wanderer, kommst du nach Spa…”執筆時のベルの脳の活動を「大脳辺縁系と頭頂連合野」という組からなると考えており、その裏には、先にも書いた、コンパクトなスケッチ風の空間描写を好むベルの文体がある。頭頂連合野は、視覚野とか側頭連合野から視覚の感覚や空間認識の情報を受けて処理している。
(2)頭頂連合野の働きが悪いと、空間認識の情報を処理することはできない。
(3)情報の認知1(感覚情報)
感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、@ベースとプロファイル、Aグループ化、B条件反射である。
(4)情報の認知2(記憶と学習)
外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。また、未知の情報はカテゴリー化されて、経験を通した学習につながる。このプロセルのカラムの特徴は、@旧情報、A新情報である。
(5)情報の認知3(計画、問題解決)
受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、@計画から問題解決へ、A問題未解決から推論へ、である。
(6)人工知能1、2 執筆脳を「空間と荒廃の中の不壊」としているため、心の働きのうち@記憶絡みで大脳辺縁系が重要となり、そこに@空間認識が関係してくる。

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える9

【連想分析2】
表3 情報の認知
主人公が自分の筆跡を黒板で確認する場面

A Irgendwo in einer geheimen Kammer meines Herzens erschrak ich tief und schrecklich, und es fing heftig an zu schlagen: da war meine Handschrift an der Tafel.
情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 1

B Oben in der obersten Zeile. Ich kenne meine Handschrift:es ist schlimmer, als wenn man sich im Spiegel sieht, viel deutlicher, und ich hatte keine Möglichkeit, die Identität meiner Handschrift zu bezweifel
情報の認知1 3、情報の認知2 1、情報の認知3 2、人工知能 1

C Alles andere war kein Beweis gewesen, weder Medea noch Nietzsche, nicht das dinarische Bergfilmprofil noch die Banane aus Togo, und nicht einmal das Kreuzzeichen über der Tür: das alles war in allen Schulen dasselbe, aber ich glaube nicht, daß sie in anderen Schulen mit meiner Handschrift an die Tafeln schreiben.
情報の認知1 2、情報の認知2 1、情報の認知3 1、人工知能 1

D Da stand er noch, der Spruch, den wir damals hatten schreiben müssen, in diesem verzweifelten Leben, das erst drei Monate zurücklag: Wanderer, kommst du nach Spa...
情報の認知1 1、情報の認知2 1、情報の認知3 2、人工知能 1

E Oh, ich weiß, die Tafel war zu kurz gewesen, und der Zeichenlehrer hatte geschimpft, daß ich nicht richtig eingeteilt hatte, die Schrift zu groß gewählt, und er selbst hatte es kopfschüttelnd in der gleichen Größe darunter geschrieben: Wanderer, kommst du nach Spa...
情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 1

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える8

分析例
(1)主人公が自分の筆跡を確認する場面。
(2)文法2 テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。 
(3)意味1 距離(現実と心理)、意味2 喜怒哀楽、意味3 視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、意味4 振舞いの直示と隠喩。

テキスト共生の公式
(1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「空間と荒廃の中の不壊」とする。ベルのスケッチのような描写は、荒廃の中でも変わらぬものを主人公の告白調で伝えている。
(2)文法2のテンスとアスペクトや意味1の現実とか心理の距離には、一応ダイナミズムがある。また、空間には、ベンドルフのギムナジウムが設定されている。連想分析1の各行の「空間と荒廃の中の不壊」を次のように特定する。

A 空間と荒廃の中の不壊=ベンドルフのギムナジウム、テンスは過去形、距離は近い。
B 空間と荒廃の中の不壊=空間は同上、テンスは現在形と過去形、距離は中位。
C 空間と荒廃の中の不壊=空間は同上、テンスは過去形、距離は中位。 
D 空間と荒廃の中の不壊=空間は同上、テンスとアスペクトは過去形と過去完了形。距離は中位。
E 空間と荒廃の中の不壊=空間は同上、テンスとアスペクトは過去形と過去完了形。距離は中位。

結果 上記場面は、「空間と荒廃の中の不壊」という購読脳の条件を満たしている。

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える7

【連想分析1】
表2 言語の認知(文法と意味)
主人公が自分の筆跡を黒板で確認する場面

A Irgendwo in einer geheimen Kammer meines Herzens erschrak ich tief und schrecklich, und es fing heftig an zu schlagen: da war meine Handschrift an der Tafel. 文法2 2、意味1 1、意味2 3、意味3 5、意味4 1

B Oben in der obersten Zeile. Ich kenne meine Handschrift:es ist schlimmer, als wenn man sich im Spiegel sieht, viel deutlicher, und ich hatte keine Möglichkeit, die Identität meiner Handschrift zu bezweifeln.
文法2 1⁺2、意味1 2、意味2 3、意味3 1、意味4 1

C Alles andere war kein Beweis gewesen, weder Medea noch Nietzsche, nicht das dinarische Bergfilmprofil noch die Banane aus Togo, und nicht einmal das Kreuzzeichen über der Tür: das alles war in allen Schulen dasselbe, aber ich glaube nicht, daß sie in anderen Schulen mit meiner Handschrift an die Tafeln schreiben.
文法2 2、意味1 2、意味2 5、意味3 1、意味4 2

D Da stand er noch, der Spruch, den wir damals hatten schreiben müssen, in diesem verzweifelten Leben, das erst drei Monate zurücklag: Wanderer, kommst du nach Spa...
文法2 2⁺5、意味1 2、意味2 3、意味3 1⁺2、意味4 2

E Oh, ich weiß, die Tafel war zu kurz gewesen, und der Zeichenlehrer hatte geschimpft, daß ich nicht richtig eingeteilt hatte, die Schrift zu groß gewählt, und er selbst hatte es kopfschüttelnd in der gleichen Größe darunter geschrieben: Wanderer, kommst du nach Spa...
文法2 2⁺5、意味1 2、意味2 3、意味3 1⁺2、意味4 2

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より

ハインリッヒ・ベルの「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」で執筆脳を考える6

【データベースの作成】
表1 「旅人よ、汝スパ…にいたりなば」のデータベースのカラム
項目名 内容    説明
文法1 ヴォイス  能動、受動、使役。
文法2 テンス、アスペクト 現在、過去、未来、進行形、完了形。
文法3 モダリティ 様相の表現。可能、推量、義務、必然。
意味1 距離(現実+心理) 近い、中位、離れている。
意味2 喜怒哀楽  @喜A怒B哀C楽D記事なし。
意味3 五感    視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
意味4 振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
医学情報 メンタルヘルス 受容と共生の接点。構文や意味の解析から得た組「情動と尊敬の念」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を入れる。
記憶  短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
情報の認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化または条件反射。
情報の認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報についてはカテゴリー化する。学習につながるため。記憶の型として、短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述)を考える。
情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
人工知能(大脳辺縁系)エキスパートシステム 本能や情動を司る領域で、記憶、好き嫌いの感情、やる気の窓口を担当している。
人工知能(連合野)エキスパートシステム いくつもの部位に分かれそれぞれ固有の働きを持っている。記憶の側頭連合野、感覚や空間認識の頭頂連合野、最後に情報を統合し最適な行動を導く前頭連合野などがある。

花村嘉英(2005)「ハインリッヒ・ベルの『旅人よ、汝スパ…にいたりなば』で執筆脳を考える」より
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プロフィール
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花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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